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水陸両用のラッシュガードの知見から生まれた、 オーシャンパシフィック夏の人気素材「ペアテックス」
80年代にサーフカルチャーブームを牽引してきたオーシャンパシフィック。その機能性素材「ペアテックス」が今、タウンウエアとして人気を博している。高温・多湿の現在の日本で、吸汗・速乾性に優れた素材は数多くあるが、なぜペアテックスが選ばれているのか。その秘密をオーシャンパシフィックの田中弘健さんに聞いた。
PROFILE
田中 弘健(たなか ひろたけ )
ニッキー株式会社
オーシャンパシフィック ディレクター
70年代にアメリカ・カリフォルニアでサーフギアブランドとして誕生したオーシャンパシフィックは、70年代以降、アパレルブランドへとその舵をきった。80年代には日本でもサーフカルチャーブームが到来し、西海岸を思わせるカラフルなプリントが施されたTシャツや、海を感じさせるスタイリングは多くの若者を魅了した。そして1982年に日本上陸を果たしてからは、本場発のサーフブランドとして一躍人気を集めた。

「80年代から始まるサーフブームは、メンズが牽引していました。当時は派手なロゴやグラフィックのアイテムがすごく売れていましたね」
2000年代に入ると、サーフカルチャーは落ち着きを見せ始め、ブームではなくライフスタイルとして定着するようになる。
「2000年からは弊社で日本独自の商品を展開するようになり、2005年頃からは『カリフォルニアライフスタイルウエア』として提案をするようになりました。市場もこの頃から派手なデザインよりも、ベーシックなデザインやカラーリングが支持されるようになってきました」
サーフギアで培った技術を、カジュアルウエアに活用
トレンドが移り変わるなかで、新たな市場価値として目をつけたのが機能性素材だった。「元々オーシャンパシフィックはラッシュガードから始まったブランドで、ビーチウエアももちろん多く手がけてきましたし、今ではUVウエアと呼ばれる機能性ウエアも早くから手がけてきました。この海で培ってきた技術やノウハウを、タウンユースのアパレルに活用しようと考えたのです」

アウトドアで使っても型崩れしない形態安定性、ぬれてもさっと乾く吸水・速乾やラッシュガードのストレッチ性、アウトドアの日差しから肌を守るUV機能など、ビーチウエアには、暑さが厳しい街中でも活用できる機能や知見が詰まっていた。
「たとえば水着やラッシュガードは、特殊な縫製技術が必要で、どこの会社でも作れるわけではありません。その知識を積み上げてきたことが弊社の強みだと思っています」
さまざまな機能性素材を模索するなかで、2022年に生まれたのが「ペアテックス」だった。
「ラッシュガードを着て街中を歩くことはできませんが、同じような機能を持ったもので、日常でも着られるものを作れないかという観点から、この素材は生まれました。機能性素材は、コロナ禍が明けた頃から、スポーツアパレルなどを中心により広く扱われるようになってきました。
特に最近は暑さが長期化していることで、涼しさを感じられる吸水・速乾、UVカットを施した、似たような素材が山ほど出てきています。なかでもポリエステルというのはよく使われている素材なのですが、いかにも化学繊維というテカテカとしたマテリアルになることが多かったんです。
そこでポリエステルをよじらせた特殊な糸を使い、糸の表裏を計算して編むことで、ポリエステル100%でありながらも、コットンライクな生地を実現しました」

梨のような手触りがベタつきによる不快感を軽減
コットンは吸湿性が高いため、汗を吸うと体にまとわりつくだけでなく、衣服内の空気の循環が妨げられ、体温が上昇しやすいともいわれている。一方、ポリエステルは繊維内部に水分を保持しにくいため、乾きやすく、熱放散が促されやすい。「暑さによる不快感を和らげるもうひとつの特徴が手触りです。ペアテックスの『ペア』というのは、果物の梨から名付けられていて、生地の表面は梨の皮を思わせる、少しザラッとした手触りになっています。この少し凹凸のある梨のような表面が、汗をかいても肌離れをよくし、ベタつきを抑えてくれるのです」
ペアテックスのもうひとつのこだわりが軽量性だ。生地が軽い服と、重い服、どちらが暑く感じるかは、誰もが体感で知っているはずだ。
「軽いということは素材が薄いということです。ただ、薄い生地にはさまざまなリスクがあります。発売当初は生地が頼りない、安い素材じゃないかと言われたこともありました。
また淡い色だとすごく透けやすくなってしまい、白でも極力透けないように何度も改良を重ねました。努力の甲斐もあって、たとえばビッグシルエットのTシャツでも、本当に軽さを実感していただけるようになっています」

サーフブランドとしての原点ともいえるラッシュガードの知見も生かされている。
「耐塩素加工という文字通り塩素に耐えうる加工があります。プールの水や海水で繊維がぬれると、基本的に生地は色落ちをするものなのですが、この加工を施していると、水にぬれても色落ちをしません。
ラッシュガードなどにはよく使われているのですが、一般的なアパレル製品で、耐塩素加工が施されているものはほとんどありません」

この加工が施されているため、ペアテックス素材はタウンユースを意識したデザインでありながら、ビーチでも着られる“水陸両用”になっている。
「発売当初は水着売り場だけに置かれることが多かったのですが、最近ではカジュアルウエアの売り場でも取り扱われるようになりました。実はコットンのTシャツよりも売れているというのが、近年の傾向です。
また、『サーフブームはメンズが牽引してきた』とお伝えしましたが、近年ではデザインのバリエーションが豊富になったこともあり、現在はレディースの売り上げが圧倒的に伸びています。そのため、私たちはレディースのラインナップを年々拡充しています」

Tシャツやパーカ、ブラウスやワンピースといったラインナップを、気まわしやすいベーシックカラーを中心に展開している。洗濯機でガンガン洗えて、そのまま干してもシワになりにくく、すぐ乾くところも女性たちからの支持を集めている。
「お客様からは、使えるシーンが多くて助かる、さらっとして着ていて気持ちがいいなどといったお声をよくいただきます。またUV加工も施していて、UPF50+をキープしていますが、今後はより涼しく快適に過ごしていただけるよう、接触冷感の加工もプラスできないか試行錯誤をしているところです」
毎日大量に汗をかいて不快指数は日々高まるばかり。着替えることが増え洗濯回数は増すものの、乾かずに着る服がないということも少なくない。そんな過酷な日本の夏の困りごとを見事にクリアした「ペアテックス」は、まさに理想の素材といえるだろう。
Text by Junko Hayashida












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