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大阪・関西万博でアーバンリサーチが“すごい”をシェア! 技術の活用で見えたファッションの可能性
多くの企業が最先端の技術や取り組みを披露している大阪・関西万博。URBAN RESEARCH(アーバンリサーチ)は、「社内体制が切り替わるのを機に、新しいアーバンリサーチとして他ができないことに挑戦する機会にしたい」と、アパレル関連企業として唯一の単独出店を果たした。
「すごいをシェアする」という企業理念を掲げる同社は、大阪・関西万博でこれまでのファッションの常識を覆すような革新的な取り組みを展開している。
どのような“すごい”をシェアしているのか。テクノロジーを活用した取り組みや、ファッションの可能性、現在までの手応えについて、プロジェクトマネージャーの宮さんと下間さんにお話を伺った。
大阪・関西万博だからこそできる新しいチャレンジを

大阪・関西万博でアーバンリサーチが掲げるコンセプトは、「未来に繋がる“すごい”をシェアするサステナブルな未来型ストア」だ。万博だからこそ発信・表現できることをかけ合わせ、同社らしい取り組みを目指したという。
宮 「“未来に繋がる”というと、近未来的な技術をイメージする方もいらっしゃるかもしれませんが、それだけではなく、私たちが今から一歩踏み出せることへのアプローチも含めた出店内容になっています」

アーバン博と名付けられた今回の出店では、「ジャポニズム・スーベニア・テクノロジー」の3つのテーマを掲げ、それぞれに関連したプロジェクトやアイテムを展開する。
開幕から今日まで、「100 VOICES RECORD」「WEARABLE FOOD」「OCEANTECH」「JAPONISMART」という4つのプロジェクトを実施。いずれもファッションの未来につながる可能性を秘めた技術が採用されている。
下間 「アーバンリサーチが取り組むからには、今まで取り組んできたことの延長線上にあり、かつ今後お店や商品にも生かせるようなチャレンジであるべきだと考えました。私たちが今、何ができるのかを検討する中で、自然と集まってきたアイデアを組み合わせた結果、この4つのプロジェクトが決まりました」


アーバンリサーチが万博で目指すのは、単なる商品展示ではない。既存の枠を超え、未来を見据えた新たなファッションのあり方を模索し、その成果をユーザーと分かち合う場を創造することなのだ。
従来の服の役割を超えた、新しい可能性を探る
「100 VOICES RECORD」プロジェクトでは、クリエイターのISAさんとの協業により、声でデザインをした「鯉口シャツ」を展開した。
下間 「『100 VOICES RECORD』プロジェクトでは、音の振動を超音波で水面や砂に伝え、現れる波紋や模様を可視化する技術である『サイマティクス』を活用しました。選ぶ側の主観や好みを除いて平等に選定するために、全社員の中からAIによって選ばれた100人の声を収録し、それをデザインに落とし込んでいます」
100人に絞ったのは、製品化するためにある程度デザインのバリエーションを絞るためだった。似た模様はあるものの、今のところ声質によるデザインの傾向などは見られていないそうだ。

下間 「近年は、機能性素材などの開発が進んでおり、服は“トレンドに合わせておしゃれを楽しむもの”以上の役割を担うようになってきていると感じています。今回の取り組みを通して、今後はさまざまな技術を活用しながら、服がキャンバスのように使われていく可能性があるのではないかと感じました」
同様にISAさんとの協業で「食べる服」の展示も実現した。大根を溶かしてシート状にし、服の素材として活用する取り組みだ。

下間 「このプロジェクトは、『コミュニケーションツールのひとつとして服を食べる未来が来る』というISAさんの発想から生まれました。その背景には、デジタルの普及で人と人とのリアルな繋がりが減っていることが関係します。名刺交換をするように、身体の近くに存在する服を分け合うことで、より深く繋がることができるのではないかとISAさんはイメージしたそうです」
耐久性の観点から実用化にはさらなる技術開発が必要なものの、服の新たな可能性を大いに感じる面白い取り組みだ。
“すごい”リサイクル技術でサステナブルな製品を展開
6月からスタートした「OCEANTECH」では、水産業の支援と海洋環境問題へのアプローチという2つの大きなテーマが掲げられた。これまでアーバンリサーチでは、漁師ウェアのプロデュースをすることで「カッコいい」の観点から水産業を支援してきた。大阪・関西万博では、廃漁網を含むリサイクル素材100%で作られたファッションアイテムと、100%海に関わるごみのリサイクル板材で作られたキーチャームを展開している。


ジャケットとパンツは、製品全体の49%(重量比)が宮城県気仙沼市で回収した漁網由来の繊維だという。
宮 「産業廃棄物となっている漁具は世界中にありますが、それを持ち運ぼうとすると輸送コストなどの環境負荷が生じてしまいますから、サステナブルの観点で考えると、できる限りその国で回収・リサイクルができるのが理想だと思っています」
100%リサイクル素材で製品化できたのは、漁網繊維をリサイクルする『amu株式会社』と、複合プラスチックをリサイクルする『株式会社REMARE』と協業したから。どちらの企業も、リサイクルが難しい漁具や複合プラスチックを、高いレベルでリサイクルする技術を持つ。協業によって生まれた、まさにサステナブルな製品だ。

アーバンリサーチは、大阪・関西万博で多様な企業との協業を果たしているが、その背景にあるのは相手へのリスペクトと共感だ。自分たちが“すごい”と感じた技術を、プロジェクトを通してより多くの人に発信している。
7月以降は、「JAPONISMART」をテーマに“新しい日本らしさ”を展開していく予定だという。どんな“すごい”を見せてくれるのか楽しみだ。
テクノロジーを活用し、ファッションの未来を切り拓く
大阪・関西万博の店舗では、一般の店舗では見られない光景が日常的に繰り広げられているという。下間 「『ゴミをなくすためにやっているんだよ』と、親から子どもに商品の背景を説明するお客様の姿も見られました。一般の店舗ではなかなか見られない光景で、万博の会場ならではの商品やアプローチをしても、抵抗感なく見てくださっているのが伝わってきます」
海外からの来場者には、アーバンリサーチというブランドや会社について、まず基本的な情報を知ってもらう必要があった。一般の店舗よりも詳細に記載した掲示物を用意したり、翻訳機を活用してコミュニケーションを取ったりし、商品の背景を伝えている。

丁寧なオペレーションをしっかり受け止めてくれる人が多く、今回の出店内容に込めたメッセージへの共感を得られているそうだ。
宮 「サステナビリティは今後のファッション業界においても欠かせないアクションのひとつです。さまざまな技術がさらに発展し、サステナブルな取り組みが世の中のスタンダードになっていけばいいなと思います。
私たちも、新しい技術が生まれることを楽しみつつ積極的に取り入れて、新しいファッションのかたちを広める一助になれるよう取り組んでいきたいです」
ファッション業界が抱える課題に対し、テクノロジーを通じて解決策を模索するアーバンリサーチ。彼らの挑戦は、ファッションの未来を切り拓く、大きな一歩となるだろう。
PROFILE

宮 啓明(みや よしあき)
SDR(サステナブル推進) / シニアチーフ
1987年生まれ。
学生時に株式会社アーバンリサーチに入社。販売員、「アーバンリサーチ」のブランドPRを経て、2021年より現職に配属。
ブランドPR時、広報や販売促進、イベントの企画運営を行うなかで関わった人たちに刺激を受け、積極的に社のサステナビリティ推進に携わり、さまざまな取り組みを立ち上げる。
現在はアーバンリサーチのサステナビリティ推進として、社内外と連携しながら環境・社会課題解決への貢献を目指し奔走中。万博においては、同社のプロジェクトのなかで中核的な役割を担い、商品調達やプロモーションを中心に関わる他、会場外でもさまざまな企業、団体との連携に取り組む。
PROFILE

下間 祥子(しもつま しょうこ)
THE GOODLAND MARKET / ディレクター
イギリス・ロンドンでの商品企画を経験した後、2019年、株式会社アーバンリサーチにKBFの商品企画として入社。
その後、THE GOODLAND MARKETに移動し、立ち上げに携わる。
入社前より環境や社会問題への関心が高く、今後のファッションやライフスタイルのあり方を日々模索している。
Text by 奥山 りか















