ALLTERRAINの高品質なプロダクトはそのままに、異なるコンセプトを持つこれら2つのコレクションについて、デサントジャパン株式会社の大田晃輝さんと市場展大さんに伺った。
すべてに理由があり、機能をともなったデザイン
ALLTERRAINを語る前にまずは水沢ダウンの話しをしなくてはならない。水沢ダウンはALLTERRAINの源流となっている。ブランドのルーツについて大田さんに伺った。
「ALLTERRAINブランドの誕生の起点は、2008年に開発した水沢ダウンです。当初はバンクーバーオリンピックで日本代表の選手に着用してもらうために製作されたものでした。バンクーバーは雨や雪が多いため、防水性と高い機能性が求められました。売ることを意図したものではなく、選手に最高の品質を提供するという思いから水沢ダウンが誕生しました。
その後、2012年には水沢ダウンを扱うカテゴリーとして『ALLTERRAIN』を立ち上げました。アパレルブランドやセレクトショップなどに注目され、販売の場がスポーツショップからファッションのお店へと広がりました。この反響に後押しされ、水沢ダウンに加え、新たな製品の開発にも取り組むことになりました。
ALLTERRAINの名前は、『all(すべて)』と『terrain(地形)』を組み合わせた造語です。そのコンセプトは、『Form Follows Function(機能に従う形)』であり、DESCENTEが世界のトップアスリートと共に培ってきた、スポーツパフォーマンスウェアの開発におけるクラフトマンシップとファッション性を融合したものです」
体に寄り添った日常着、ALLTERRAIN I/O
ここからは新コレクションの1つALLTERRAIN I/Oについて引き続き大田さんに伺った。「2023年春夏から、ALLTERRAINの枠組みをさらに拡張して、2つの新しいコレクションが登場します。ALLTERRAINはこれまで、DESCENTEが持っている技術や素材開発の背景を凝縮したラインとして、10年以上にわたって多くの人々に支持されてきました。
そのALLTERRAINの考え方を、さらに広く発信していくことを目的として、ア イテムの構成や使う技術、仕様などを分けた2つのコレクションを導入し、新たなアプローチを試みることで裾野を広げたいと考えています。
ALLTERRAIN I/Oというラインは、ALLTERRAINと比べてそこまでテクニカルすぎず、それに合わせて価格も考慮されています。体にフィットし、日常的に着用でき、毎日使えるようなアイテムで、比較的アパレルブランドに近いアプローチを取りました。
日常着としてのアプローチですが、スポーツメーカーが作るコレクションとして1番意識したのは、運動量の確保です。
歩いたり座ったりする日常の動作に合わせた型紙を採用し、柔らかくストレッチが効いていて、夏に向けて吸汗性や接触冷感性を備えた素材を使用したラインナップになっています。また、ALLTERRAIN I/OはALLTERRAINの中で型数を最も少なくし、最低限必要なものだけをラインナップしました。