2022.04.18

株式会社Brillarによる人工宝石モアサナイトの独自な加工製造

人工宝石の市場はテクノロジーの発達とともに日に日に拡大している。先日、日本初のモアサナイトジュエラー「Brillar(ブリジャール)」が、京都大学大学院工学研究科教授 木本恒暢さんとの共同開発によりモアサナイトの製造方法を開発し、日本国内での特許を取得した。今回は、日本でまだ知らない読者も多いモアサナイトの概要や開発技術について、株式会社Brillarで代表取締役社長の小原 亦聡(おはらいそう)さんにお話を伺った。

人工モアサナイト市場の隆盛

モアサナイトは1893年に隕石から発見された天然素材だ。ダイヤモンドの2.5倍ともいわれる世界最高峰の輝きと高い耐久性を持ち、ダイヤモンドと非常に類似点が多く、衝撃への強さ(靭性)、曇りにくさ(低親油性)などにおいてはより優れた性質を持っていることに特徴がある。

天然モアサナイトは希少性が高く、市場には出回らなかったが、米国企業が製造に成功し、1998年に人工モアサナイトの販売が開始された。この際に取得した製造特許が2015年に米国で有効期限を迎え、以降世界各国で有効期限を迎えたことから、現在では米国や中国など各国で質の高い人工モアサナイトの製造が行われているようだ。人工で安定した品質で製造されるため、品質に対するコストパフォーマンスが非常によく、既にアメリカでは消費者に広く受け入れられており、婚約指輪の選択肢の一つとしても支持されている。

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日本でも、採掘に関わる諸問題から解放されたエシカルな点や、素材自体が優れている点、コストパフォーマンスが高いといった点から年々注目が高まり、消費者や日本国内での新規取扱ブランドが増加しているという。
小原さんによると、倫理的な問題、特にダイヤモンドをはじめとした天然の希少な宝石により引き起こされる紛争資金問題や強制労働といったから解放されている点は、モアサナイトの大きな魅力であるとのことだ。

もともと株式会社Brillarは、海外から厳選したルースを輸入しジュエリーを製造する会社だったが、自社での開発を模索するなかで半導体研究の権威である京都大学の木本恒暢教授との出会いがあり共同研究や特許取得に至ったのだという。

半導体デバイスで使用された結晶を人工宝石へ

今回の特許手法では、もともと半導体デバイスなどで使用される炭化ケイ素の結晶を加工することで人工モアサナイトを製造する。半導体デバイス用の炭化ケイ素の単結晶は通常琥珀色をしているため、そのまま宝石として利用するには不向きなのだという。

なぜ半導体デバイス用の炭化ケイ素結晶が有色なのかというと、半導体として低抵抗化を図るために不純物を含んでいるからだそう。そこでこの単結晶に電子線を照射することで、不純物の影響による光吸収をなくし結晶の無色化するというのが今回の特許の手法ということだ。

また人工宝石は製造にエネルギーや時間を多く必要とすることが多いそうだ。しかし、木本教授によると人工ダイヤモンド製造にかかる1カラットあたりのエネルギー消費量は天然ダイヤモンド採掘の半分以下、モアサナイトはさらにその100分の1以下と考えられるそうで、モアサナイトがとてもサスティナブルな宝石であるということがわかる。

さらに今回の研究成果により半導体として使えない炭化ケイ素結晶など本来廃棄品となる素材も宝石に再利用することが可能になると、製造エネルギーや製造時間の低減、廃棄物の削減など、より一層のSDGsへの貢献が期待できるというのが木本教授の見解だ。

画像: 株式会社Brillar代表取締役小原亦聡さん(左)と京都大学教授木本恒暢さん(右)
株式会社Brillar代表取締役小原亦聡さん(左)と京都大学教授木本恒暢さん(右)

新しい宝石の選択肢へ

小原さんによるとBrillarとしては、今回の製造によってモアサナイトがより日本で広まり、消費者の価値観が変わることによって海外市場と同じように「選択肢の一つ」として広まることを期待しているとのことだ。最後に小原さんは以下のようなコメントを残してくれた。

「各国でモアサナイトが製造され始めたことにより手に入りやすくなってきた一方で、ジュエリーとして充分なクオリティに達していないモアサナイトも一部流通しています。弊社では今回の特許のように素材の製造工程にも注視しているほか、実際に使用するモアサナイトルース(裸石)を選定する際にもピッキングルールを定めて基準をクリアしたもののみを使用するなど、ジュエリーを形作る前段階にも配慮した商品づくりを意識しております。一体どのようにを選べば良いモアサナイトジュエリーに出会えるのかわからないと迷ってしまわれる方もいらっしゃると思いますので、弊社の取り組みが信頼できるモアサナイトを扱っているブランドであると判断する材料の一助になればとも考えております。」

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