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2021.04.26

炭素排出量の少ない衣服製造とは?Citizen Wolfの構想する大規模な変革

Citizen Wolf(シティズン・ウォルフ)は、オーストラリア、シドニー発のファッションテクノロジー企業だ。カスタムフィットおよびカーボン・ネガティブな製品ライフサイクルの実現を掲げ、Tシャツを中心に製造方法を再検討している。同社のコア技術である、「Magic Fit® Technology (マジック・フィット®・テクノロジー)」は、顧客ひとりひとりのユニークな身体形状に合わせたTシャツのオンデマンド生産を実現している。顧客は、簡単な質問事項を3〜4つ答えるだけで、自分の体にフィットするTシャツを購入することができる。今回、3人の共同創業者のうちの1人である、Rahul Mooray(ラフル・モーレイ)氏にインタビューを行った。

「業界の変化を引き起こすために」

Citizen Wolfは、2015年にZoltan Csaki(ゾルタン・チャキ)氏、Eric Phu(エリック・フー)氏によって設立され、後にRahul Mooray(ラフル・モーレイ)氏が技術共同設立社として参加。創業以前は個人でレーベルやアクセサリーを扱う職についていたそうだが、彼らは「ファッション業界の人であったというわけではない」という。Citizen Wolfを開始したのは、「現在のファッション産業における構造が、いかに壊れているのかを目の当たりにした」ためであり、「サイズの合わない服に嫌気がさしていた」ことなどが挙げられるという。
「私たちのミッションは、とてもシンプルで、現在のスケールアップした衣服の製造方法をカーボンマイナスかつカスタムメイド、かつオンデマンドであるように再構築することです。現在のファッション産業の仕組みが壊れていると感じており、それが誰にとっても良いことではないのは明らかなことです。そこで私たちは、それらの構造を1から構築しなおすべく、開発をはじめました。そして、願わくば、これら業界全体のシフトを促すことです。」
そんなCitizen Wolfの提案する、「Magic Fit® Technology(マジック・フィット® ・テクノロジー)」は、eコマース購買体験の質を向上すべく開発されたフィッティングテクノロジーである。現在の購買傾向がeコマース前提であることを受け、eコマースのソリューションとして展開。Magic Fit® Technologyを主軸とするサイジング技術のみならず、素材選定やデザインから販促、さらには製品の終末期までを俯瞰したサービスを提供しているという特長がある。

3つの質問に答えるだけ、「Magic Fit® Technology(マジック・フィット® ・テクノロジー)」


「既にスーツやブライダルフェアといったフォーマルウェアにはテイラーリングが存在していますが、カジュアルウェアにはテーラリングの文化はありませんでした。世界中で誰もが着用しており、型紙や製造工程もシンプルなTシャツから着手し、Tシャツにおけるフィットの問題を解決することができてから、他のアイテムへと広げていこうと考えています。」
Magic Fit® Technologyを利用した、オーダーまでの順番はこうだ。まず、好きなTシャツのデザインを選ぶ。ここで半袖・長袖・タンクトップといった要件を選んだ後、希望の布やその色を選択。
そして、最後に、男性の場合は身長・体重・生年月日の3つの事項に、女性の場合はそれらに追加してブラジャーのサイズを入力、決済を行って完了する。生産の段階が1つずつ進むごとに、通知が来るため、常に自分のオーダーしたTシャツが生産のどの段階にあるのかが把握できる仕様となっている。
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#Sustainability
#Auto Measuring
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