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2023.02.27

サトウキビとペットボトルを再資源化して作られた傘『ECO-CLEAR』:ビコーズ

傘をはじめとするレイングッズを手がける株式会社ビコーズが、自社のサステナブルブランドU-DAY(ユーデイ)より、サトウキビとペットボトルを再資源化して作られた傘「ECO-CLEAR(エコクリア)」を2月から販売開始した。
サトウキビ由来のバイオマスビニールを使用した透明部分と、リサイクルペットボトル生地を用いたリムカラー部分のコントラストが美しい製品となっている。
そこで今回、同社の営業担当である馬場貴大さんに、新アイテムの「ECO-CLEAR」を開発した経緯や、今後の展望について伺った。
PROFILE|プロフィール
馬場 貴大(ばば たかひろ)

株式会社ビコーズ
営業担当

サステナブルな取り組みとしてU-DAYを立ち上げ

同社は、1994年から傘の開発と卸しを行っており、社名を冠したbecause(ビコーズ)というブランドを展開。女性向けにファッショナブルな傘を販売していた。そのなかで、2020年にサステナブルをコンセプトにした新ブランド「U-DAY」を立ち上げることになった。
そのきっかけについて馬場さんは、「会社として、今の時代に合った新しい価値を提供するブランドを作りたいという思いがありました。長年にわたり傘を作り続けてきましたが、突然の豪雨や猛暑等の異常気象が多いなか、天候に深く関わる企業として新しいアプローチ=サステナブルかつ機能的、ユニセックスでシェアできるものづくりを考えました」と話す。
主力商品はリサイクルペットボトルを傘生地に利用した「RE:PET(リペット)」シリーズだ。展示会や市場での反響が大きく、同社はサステナブルな商品のニーズの高さを感じることができたという。

素材の循環だけでなく、長く使ってもらえる製品を目指す

それでは、U-DAYブランドにおける新アイテムとなったECO-CLEARは、どのようにして開発されたのだろうか。
ECO-CLEARに使われるバイオマスポリエチレン配合ビニールの原料樹脂は、サトウキビから砂糖を抽出した後に残った搾りかすだ。この新しいバイオマスビニールは日本の企業が開発した素材を使用している。
エコ素材の中でもバイオマスビニールを選んだのは、品質的に安定している点が大きい。強度も問題なく、ビニール生地にはバイオマスビニールのみが使用されている。
製品については、サステナブルな素材を使っただけではなく、あくまで品質の高さにもこだわった。
 「『ECO-CLEAR』の開発で気を付けたのは、お客さまに長く使ってもらえる品質にすることでした。たとえば、傘の手元とシャフトには温もりと高級感のあるウッド素材を採用して、親骨の部分にはグラスファイバーという軽量で丈夫な素材を使用しました。
 素材の循環だけでなく、お気に入りのアイテムを長く大切に使っていただくこともサステナブルの一つだと考えているので、愛着を持って使い続けたいと思える製品作りを目指したんです。
 また、リサイクルペットボトル生地とバイオマスビニールを用いたキッズ向けの傘も販売がスタートしました。親子でのコーディネートを通して『リサイクル素材からできた傘なんだよ』といった会話が生まれて、自然とサステナブルへの意識が生まれたらうれしい」と、馬場さんは話す。

製品だけでなく、会社もサステナブルに

同社の売り上げは、デザイン性のあるbecauseブランドが占めていたが、「U-DAY」の比率も上がってきている。
課題は、リサイクルした素材を使うためコストが高く、商品の値段にもそれが反映されてしまうことだが、「機能性の高さやデザインにも力を入れているので、まずはデザインを気に入っていただき、後からサステナブルな素材を使っていることを知ってもらえるのはさらにうれしい」と、馬場さんは手応えを感じている。
今後の取り組みについては「傘はさまざまなパーツを使っている分、リサイクルが難しいという問題があります。そのため、生産からリサイクルまで、すべて循環できるような傘作りができたら理想ですね」と語ってくれた。
現在、同社では製品作りだけではなく、会社で使う電気を再生エネルギーに転換したり、親子で行うゴミ拾いイベントにも参加したりしている。製品だけでなく会社全体でもサステナブルな社会に貢献しようと考えている、同社の取り組みに今後も注目したい。
#Sustainability
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