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2021.05.31

次世代の製品を支える「LOOMIA Electronic Layer」

LOOMIA(ルーミア)は、ブルックリン発の電子機器製造会社だ。当社の特許技術LOOMIA Electronic Layer(ルーミア・エレクトロニック・レイヤー/以下LEL)は、従来のプリント回路よりも柔軟であり、これまでのプリント基板が対応できなかったソフトな製品に電力供給が可能な新しい形態の回路として注目を集めている。今回LOOMIAの創業者かつテクニカルリードを務めるMadison Maxey(マディソン・マクシー)氏に話を伺った。

LOOMIA のテクノロジー

創業者のマディソン・マクシーは、デザインとテクノロジーを架橋する、クリエイティブ・テクノロジストであり、これまでにForbes誌のArt&Style部門の「30 under 30」やアメリカ国内28歳以下のイノベーター選出プラットフォーム「NBCBLK28」に選出されている。「最も面白い製品は、デザインとエンジニアリングの交差点で生まれると考えているので、両方の要素を持っていることをとてもうれしく思っています。」と語る彼女のキャリアは、ファッションブランドでのインターンから、ファッションデザイナーとしてスタート。そして、ウェアラブルテクノロジーを中心に活動を広げ、現在はLOOMIAでの活動の傍ら、スタンフォード大学にてマテリアルサイエンスを専攻する、まさに二足の草鞋を履く人物である。

2013年に彼女の起業したLOOMIAは、デザイナーやエンジニアたちが次世代に向けた製品に使用できる素材を作ることを目標に掲げており、当社のコア製品である、LELは、「エンジニアが製品を作る際に電気機械の問題を解決するために使用できる、柔軟な回路」である。LELは、2016年に開発が始まり、3年に及ぶ開発とテストが実施された後、2019年より試用が開始。製品はこれまでに何度も改善が行われ、「最初のバージョンの製品は、自家製の導電性インクとプロッターで作られていて、いまでは懐かしい思い出です。」とマディソンは語っている。
LELは、LOOMIA独自の導体を使用しているため、通常のプリント基盤よりも柔らかいという。そのため、LELは、その柔軟性から可動域に制限がなく、ソフトな製品への組み込みが容易で、抵抗値の変化が少ないという特長がある。そしてこれまでにLELは、交通機関のシートやアンビエントライティング、医療向けソフトロボティクスにおける圧力センシング、アパレルやウェアラブルデバイス向けの加熱機能などに応用されている。このような大規模な供給は、製造パートナーであるEastprint社が支えており、一方で、研究開発などの少量生産の場合、米カルバーシティのLOOMIAオフィスにて生産されているそうだ。

豊富なR&Dプロジェクト

「R&Dを強化しようと決めたのは、eテキスタイルの研究プロジェクトがよく頓挫してしまう理由だからです。プロジェクトや製品によっては、プリント基板よりも柔軟な回路が必要になりますが、それを実現する明確な方法がないためプロジェクトが頓挫してしまうのです。そこで私たちは、エンジニアやデザイナーのためにこの問題を解決したいと考え、研究開発や製品開発に力を入れています。」とマディソンが語るように、LELはこれまでにFESTO社の「BionicMobileAssistant」やHYUNDAI社のコンセプトカーへ応用されている。
そして近年、次世代に向けた製品開発を支援するためのLOOMIA Lab(ルーミア・ラボ)を設立。当ラボは、LOOMIAの技術を導入しようと考えている企業のニーズに合わせ、コンサルティング、レポート作成、生産開発などの手厚いプロセスを提供。例えば、コンサルティングサービスには、ユースケースやユーザーエクスペリエンスの開発、競合製品との比較調査や分析、ワークショップによる製品コンセプトの創出、ビジネスモデルのフレームワークの提供、隔週ミーティングの設定などが含まれている。この一連のプロセスは大抵の場合12週間ほどを要し、最終的には顧客ごとにカスタマイズされたLELがデザインされる。
「R&Dの取り組みを通して、プロジェクト管理について多くのことを学びました。うまくいかないことも多々あり、プロジェクトを時間通り、予算通りに進行できるように真摯に取り組むように心がけています。」
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#Smart Textile
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