そんなメタバースの大本命とも呼ばれているサービスでゲームを企画・制作し、独特な企画と高いクオリティーで注目を集めているのが、
株式会社NEIGHBORだ。同社は、フォートナイトに特化して、メタバース空間を制作している。
2022年7月、実業家の古川健介氏のマスコットキャラクター「ロケスタくん」をフィーチャーしたアトラクション 「AIロケスタくん」を発表すると、来場者数が100万人を突破。フォートナイト公式が「イチオシ」するなど、日本のコンテンツが受け入れられる可能性を国内外に知らしめた。
そこで今回、同社のCEOであるノトフさんに、フォートナイトを活用する理由から、コンテンツ制作の内情、今後の展開まで話を聞いた。
PROFILE|プロフィール
ノトフ
株式会社NEIGHBOR CEO
1984年生まれ。フォートナイトに特化したメタバース制作スタジオ「NEIGHBOR」を運営し、フォートナイトのクリエーティブ機能を使って都市のメタバース化や、オリジナルゲームを開発している。
https://twitter.com/notf
なぜフォートナイトなのか
もともとフォートナイトのユーザーだったノトフさんは、ゲームをプレイする中で「フォートナイト=メタバース」が持つ可能性を非常に強く感じていたという。 「その理由には大きく2つあって、1つ目は単純にプレイヤー数が圧倒的に多いという強さがあること。そして、もう1つ目は技術力ですね。Epic GamesはUnreal Engine(世界中で使用されているゲームエンジン)を作っている会社で、非常に高い技術力があります。
加えて言うならば、同社はメタバースブームが来る前から『フォートナイトはメタバースだ』と言っており、未来を見ていた点がプラットフォームとして魅力的でした」
現在、日本国内でもさまざまなメタバースが立ち上がっているが、自社プラットフォームを作ったり、国内でゲームを展開したりすることは「1ミリも考えなかった」とノトフさんは語る。
「今の日本でメタバースを作る意味はないですし、勝ち筋もなさすぎます。勝つためのメタバースを構築するには、資金力、技術力、ネットワーク力などが必要になると思いますが、たとえばアメリカのEpic Gamesや中国のテンセントに対して、日本は1つも勝っていない。
それを踏まえた上で、プラットフォームでは勝負できないけれど、コンテンツでは勝てる可能性があると思いました。それはNetflixの中で韓国のコンテンツが頑張っているのと同じ構造。メタバース時代のコンテンツで日本が勝つというシナリオはあるので、そちらに振り切ったんです」
フォートナイト上では、各国のユーザーがクリエーターとなり、自身でオリジナルのゲーム作りをしているが、「世界レベルで見ても、日本人は段違いでレベルが高い」と言う。
「日本のクリエーターは、造形が細かい3Dのデザインやディテールの凝り方がすごいですね。それにより世界観を作り込めるのが強みです。
一方で、アメリカやヨーロッパのクリエーターが作るゲームはダイナミックで壮大、そしてスピード感があふれていて、日本人にはないセンスを感じます」
来場者数100万人を突破した作品
その中で、同社最大のヒット作となったのが「AIロケスタくん」だ。同キャラクターは、日本のIT業界では古川健介氏 のマスコットキャラクターとして有名だが、海外でその存在が知られているわけではない。しかし、その特異なビジュアルとゲーム性でフォートナイト公式から高く評価された。「『AIロケスタくん』は2つのパターンをリリースしていたんですが、3か月ほどで合わせて20万人くらいの来場者数がありました。その後にEpic Games公式の『EPIC’S PICKS』に掲載されると、すぐ100万人に到達しました。フォートナイトはそこに載ると一気に来場者数が伸びる仕組みになっています。