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2021.10.11

ブランド価値を維持した1.5次流通を目指す「RETAIL CONNECT」

ファッションにおける環境問題を背景として、2次流通に注目が集まっている。2次流通は一度着用された古着の再利用が多く、そこで見落とされるのが一度も着られることなく破棄されてしまうファッションアイテムたちだ。
それらに光を当てながら「1.5次流通」を掲げ、ブランド価値にも目を向けながらアイテムのリテールを促進するサービスを提供するのが、「RETAIL CONNECT」だ。今回は、株式会社RETAIL CONNECTで執行役員を勤める、迫愛華さんにブランドの概要や1.5次流通の特徴についてお話をうかがった。

小売りをつなぐ1.5次流通

「RETAIL CONNECT」は、ブランドアイテムを日本全国の商業施設で販売するサービスだ。アパレル企業は、商品を発送するだけで、あとは「RETAIL CONNECT」が店舗での接客販売・店内VMD・在庫管理までトータルで提供する。そのため、企業は店舗を構える際に通常は必要となるリーシング、家賃、内装工事、採用コスト、運営に関わるさまざまな業務の負担がなく、在庫の有効活用をすることが可能となる。
「RETAIL CONNECT」によって回収されたアイテムは、全国さまざまな店舗で販売される。現在は、イオンモール熊本・イオンモール岡山などの商業施設やベイクルーズグループとの取引が行われており、関西・関東方面の店舗が多いようだ。出店店舗やエリアに特に制限はなく、意向がマッチさえすれば多様な展開をしていきたいという。
多様なブランドから大量のアイテムが集まってくる「RETAIL CONNECT」では、販売店舗や販売ブランドとのマッチングなども考慮しなければならない。この点については、店舗側もブランド側も個々に培ってきたブランディングがあるため、出店時に両者がより良いバリューを出せるような取引であることを考え、「ブランディングに沿っているか」、「周辺のプロパー店の立地」などを精査することが多いのだという。
「お取引先のブランドのプロパー店との場所が近いと、顧客層を取り合ってしまう可能性がありますのでその場合は、商品内容をブランド様と話し合って、両者納得行く形をとっています」とのことだ。

ブランド価値に敬意を持つ

「RETAIL CONNECT」は、このように“1.5次流通”のようなサービスとして、ブランド価値やイメージを損なうことなく在庫活用を展開するために工夫が凝らされている。「RETAIL CONNECT」はただの催事、ただのアウトレットショップではない、ファッション業界の持続可能な未来を作るための「商品の消化」というミッションの達成を目指しているのだという。
商品タグに直接、衝撃的な価格を貼るような過度な値下げをしてしまうと、ブランド価値を毀損する懸念がある。作り手の思いが込められ、たくさんの人の手が加わってできた商品だからこそ敬意を持って扱い、お客様にも、ブランド様にも失礼の無いように取扱いたいと、迫さんは語ってくれた。
このような意図のもと、「RETAIL CONNECT」を経由してサービスを販売する場合の販売額の価格設定は、ブランドと綿密の話し合いをし、プロパーでの販売金額との差が開きすぎないように調整しながら決定している。
また、店頭ではSDGsカードというものが配布されており、これをレジに持参すると顧客には値引きがあり、その売り上げの一部が寄付される。このように、協賛企業やファッション業界全体にプラスの価値を与えられる試みも行っている。

それでも、服が好きだから

「RETAIL CONNECT」というサービス開発に着手した経緯は、シンプルに「それでも、服が好きだから」だったそうだ。ファッション産業の環境汚染の問題や倫理的問題があるなか、それでも服が好きで、なるべく早く、再度、服として手に取ってもらえるように“1.5 次流通”という仕組みを整えたいという想いから、「RETAIL CONNECT」のローンチへと至ったのだという。そのため、
アパレルをはじめとする、RETAIL(小売)の先を「つなぐ」という意図で「RETAIL CONNECT」というサービス名になった。
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#RetailTech
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