Fashion Tech News symbol
Fashion Tech News logo
2023.05.12

NFTのポイントは“所有する楽しさ” きせかえNFT「sloth」が提案するデジタルペットの可能性

近年、さまざまなNFTプロジェクトがリリースされるなかで、アル株式会社によるNFT初心者に向けたサービス「sloth(すろーす)」が注目を集めている。slothとは、ナマケモノの「本体NFT」に、「衣装NFT」と「アイテムNFT」を着用させ、さらに着せ替えることで、自分だけのデジタルペットを楽しめる「きせかえNFT」だ。
ホルダーは購入したslothを着せ替えて一つのNFTとして販売できるだけでなく、衣装やアイテムも個別に売買できる。そして、クリエイターが衣装やアイテムをデザインして販売することで、収益を得ることができる機能の実装も予定している。現在、さまざまな個人クリエイターや企業とのコラボ衣装が発表されている。
また、slothは短期的で投機的なNFTを目指すのではなく、中長期的で「所有感を得られる」NFTの可能性を追求するところに特徴があり、現在主流のNFTとは異なる立ち位置となっている。
なぜ、このようなNFTを展開しようと考えたのだろうか。今回「sloth」の事業責任者である川地啓太さんに、プロジェクト立ち上げの経緯からサービスの特徴、今後の展開まで聞いた。

投機目的ではない、NFTの楽しさ

アル株式会社は、「クリエイティブ活動が加速する世界を実現すること」をミッションに、クリエイターを支援するサービスを開発している会社だ。
近年、NFTプロジェクトにも積極的に取り組んでおり、昨年9月にはslothに先駆けて初心者向けNFT「marimo」をリリースし、1万点を完売した。
marimoもまた、投機目的のNFTにならないように、育てる楽しみやホルダー同士のつながりを重視する取り組みを提示したことで、注目を集めた。slothはmarimoでの経験を生かしたサービスになっているという。
「marimoは、弊社がNFTに参入した初めてのプロジェクトで、NFTとして新しい価値を提供するような側面も持っていました。
現在のNFTは、短期的に利益を得ることが目的となっているプロジェクトが一定数存在します。もちろん、NFTの本質として、投機的な楽しみ方もあるので、その点を否定するわけではありません。
しかし、弊社としてはホルダーさんやクリエイターさんが幸せになれるNFTを考えたとき、それ以外の可能性も提案できるのではないかと思い、成長を長期的に楽しんでもらうNFTというコンセプトでmarimoを打ち出しました。
その結果、1万点のNFTが完売しました。さらに、われわれにとって想定外の発見がありました。ユーザーさんのNFTの楽しみ方として『所有感』が大きいことでした。
marimoのコンセプトは『育てる』だったわけですが、ユーザーさんの中には自分のmarimoに『marimo太郎』のように、独自で名前を付けて呼ぶ方が何人も見受けられました。そこで、われわれが公式に名前を付けられる機能をリリースしたところ、多くの方に使っていただき好評となりました。
marimoをご覧になるとわかりますが、シンプルなまんまるで、いわゆるクリエイターさんのアート作品のような表現のNFT作品ではないのですが、ホルダーのみなさんに所有してかわいがってもらえるという想像以上の反響がありました。
ホルダーさんはNFTを単に画像として保存しているのではない、と思いました。所有することに楽しさを感じていて、愛着も生まれている。そこに新しい可能性があるのではないかと考えるようになりました。
そこで、次回のNFTプロジェクトでは所有する楽しさをより実感できるデジタルペットにしたいと考えて、slothにたどり着きました」

slothが「きせかえNFT」となった理由

slothの特徴である着せ替え機能としては、本体に4つの衣装やアイテムを身につけさせることが可能だ。それぞれ、Clothes(身体に着る服)、Head Items(頭につけるアイテム)、Hand Items(手に持つアイテム)、Foot Items(靴)となっている。
1 / 2 ページ
この記事をシェアする