2022.11.03

一人ひとりが「ボディデータ」を所持する未来:SYMBOLの3Dボディスキャナーと体型分析

ECサイトで服を購入する場合、サイズの参考になるのは商品の採寸表だ。ところが、どれほどの人が自分の身体サイズを認識しているだろうか。もちろん、その都度メジャーで計測すれば良いのだが、体のあらゆる箇所を測定することは難しく、測定値も一定しないだろう。

そうしたなかで、株式会社SYMBOLが自社開発した3Dボディスキャナー「BodyCaptureⅡ」は、同社が独自開発したセンサによって身体サイズの正確な測定が可能となり、スマートフォンでいつでも客観的に自分のデータを知ることができる。

今回、同社シニア・マネージャーの文 賢士さんに、スキャン技術の特徴やその用途などを伺った。

自分の体型特徴を知る3Dボディスキャナー

同社が開発した骨格3Dボディスキャナー「BodyCaptureⅡ」は、私たちの長年の悩みである「自分に似合う」シルエットやファッションアイテムの選択をサポートしてくれる。

「BodyCaptureⅡ」の特徴は、IEC(国際電気標準会議)が定めるClass1という安全性をクリアした赤外線を使用し、全身をわずか0.8秒でスキャンすることができることだ。そのうえ、身体情報を約500万の点群情報として処理し、精度の高い3Dデータを作り出すことで、より詳細な身体の形を把握することが可能となる。

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こうして得られた詳細なデータは独自のアルゴリズム診断によって解析され、アプリケーション「MyRealBody®」を通じてユーザーに伝達される。こちらでは約30箇所の身体の採寸値や姿勢診断、3D骨格診断の結果を知ることができ、ユーザーは客観化された自身の身体形状の情報を確認できる。

注目したいのは、このアプリケーションは単なる個人の身体データを提供するだけでなく、様々な応用が可能な点だ。3Dによって詳細な身体の採寸が可能なため、ECサイトで商品を購入するときはサイズ感に悩む必要はなくなる。また体の歪みやねじれ、傾きなども可視化するため、フィットネスやパーソナルトレーニングの際にも自身の悩みを伝えることができるのだ。

このアプリケーションの利点は店舗側にもあり、顧客とのコミュニケーションやスタッフの測定スキルのサポートとして使用できる。実際、スタッフによる顧客の身体測定の結果が人によって異なることはあり得るし、また顧客のなかには測定されること自体を嫌う人もいる。こうした問題点を解決するためにも、「BodyCaptureⅡ」は一役買っている。

ボディメイクからの気づき

アパレルだけでなく、フィットネスでの活用を見据えた商品開発を行う同社が設立された経緯には、同社代表の今井賢一さんの「ファッションを自由に楽しみ、自分に合ったトレーニングをすることができれば、一人ひとりの生活がより豊かになる」という想いが大きく関わっているようだ。

今井さんは、もともとファッションに対する興味関心が高かった。しかし、トレーニングが好きで体を鍛えていたことから、自身の体型に合う服を探すことが難しかったという経験を持つ。この背景には、世の中の服が、いわゆる「標準」や「平均」を中心に展開されていることにあった。

そのため、こうした平均にとらわれずに、みんなが自分に合ったファッションやトレーニングを享受できるようにしたいという意識が、同社の出発点にある。

そこで2013年からアメリカで3Dボディスキャナーに開発投資を行っていた今井さんは、2016年に生体認証技術を強みとする株式会社ELEMENTSと共同出資して、株式会社SYMBOLを設立した。

同社の強みは、なによりも自社開発のスキャン技術だ。同社設立の当初から「体型を正確にとらえてデータ化すること」を信念として掲げて、開発に力を注いできた。

その開発過程で苦労したのは、コストと精度のバランスだという。世の中には様々な採寸サービスがあるが、そのなかでも手軽なものとして、スマホによる撮影と機械学習による統計的な手法によるものが有名だろう。しかし、2次元の撮影データから人間の身体を正確に測定することは非常に難しい。

同社の場合、ビジネスシャツや下着といった肌に密着するアパレルアイテムやヘルスケア分野など、より正確な採寸技術が必要な場面を想定しているため、どのような体型の人であっても、全身をミリ単位で計測・採寸できるスペックを実現したいと考えた。今回、そうした技術を実際の商業ベースで利用できるコストにまで抑えることができたのだ。

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この実現のために集まった同社のメンバーも、非常に興味深い。AIやCG技術などの経験を持つテックチームに加え、体型分析とファッション理論を科学的に紐づけるアパレルチーム、リテール領域を担当するチームが新たなサービスの形を模索している。それゆえ、アップストリームの研究からサービス化までを一気通貫で行える機動力の高いチームになっているとのことだ。

ボディからアクセサリーへ

同社では「1人ワンボディ」と称して、一人ひとりが自分のボディデータを持ち、自身のライフスタイルにポジティブに活用できる世界を実現しようと活動をしている。

「精度の高いボディデータを収集できることは当然のこととして捉えており、取得したボディデータをどのようにサービスに落とし込んでいくかをもっと具体的にユーザーに提示していきたいと考えています」

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そのためには、いくつかの課題を解決しなければならない。たとえば、身近にスキャンできる環境の整備が必要であり、また得られるデータを活用できるサービスやコンテンツの拡大も求められている。それゆえ、ファッションやヘルスケア分野を中心に、共に活用を模索するパートナーとの協業を進めているとのこと。

現在は「服」や「姿勢」に焦点を当てたコンテンツを展開しているが、ユーザーからは「アクセサリー」や「コスメ」に繋がる情報も欲しいという声があるという。今後は、そうしたユーザーからの要望を反映できるような情報の取得・解析を行い、「MyRealBody®」を通じて提供することも検討しているようだ。

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