近年、SDGsが課題となっているなか、株式会社ネキストが循環型社会を実現するために新たな取り組みを開始した。それが「UpcycleLino(アップサイクルリノ)」である。このサービスは衣服を生産する際に生じる裁断くずを再利用することで、処分される糸や生地に新たな価値を与えるものだ。 今回、同社のディレクター北之坊 敏之さんに「UpcycleLino」の取り組みや、来たるべきサステナブル社会の実現のためのビジョンをお伺いした。
裁断くず=残布のサーキュラーエコノミー
「UpcycleLino」における再利用の工程を簡単に説明すると、最初に裁断くずを細かく粉砕し綿状にする反毛という作業が行われ、バージン綿と一緒に撚糸が紡がれる。その後、機屋で生地が織られ、再び工場で製品が生み出されるという流れになっている。裁断くずの廃棄がなくなるだけでなく、産地をまたぐ循環した仕組みを生み出した点で、日本の繊維産地の応援も兼ね備えた国内唯一のサーキュラーエコノミーと言えるだろう。
上記のようなサービスを提供するきっかけとなったのは、アパレ ル産業と環境問題の切っても切り離せない関係がある。アパレルは世界的にも製品在庫の焼却処分など環境負担が非常に高い産業と捉えられてきた。