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2022.01.31

国内のオフプライス市場を開拓:Use up

ファッションに対する価値観は近年で大きな変化を迎えている。消費者の購入単価は減少傾向にあり、コストを抑えファッションを楽しむ人が年々増加している。
低コストファッションが楽しまれる一方で、製造された商品の約半分が売れ残り、環境を汚染する産業として深刻化している面もある。そんな状況のなか、余剰在庫を抱え悩む企業と洋服を定価より安く購入したいと考える消費者を繋げるサービスが生まれた。株式会社Use upが提供する在庫販売専用​プラットフォームだ。今回は同サービスについて、代表の二宮直輝さんに話を伺っていく。

アパレルDX化の課題

Use up」はアパレル商材の余剰在庫を専門に売買できるアプリケーション/サービスサイトだ。在庫商品を抱え、消化を考える企業がプラットフォーム上で商品の掲載を行い、利用者は気に入った商品があればそのまま購入することが可能。扱う商品はすべて新品・未使用のみで、製造過多や売れ残ってしまった商品を再び市場に出し衣服の廃棄ロスを削減することを目的としている。このように課題を抱える企業と消費者の消費行動を同サービスでマッチングさせ、地球にも優しく、さらなる業界の発展に繋げていく。
掲載企業やユーザー間で商品情報の共有や交流できるよう、モバイル版ではチャット機能や投稿機能を搭載しているのも特徴だ。さらに、企業にわかりやすくデータ管理してもらうための機能も搭載している。
「最も優先した点は掲載企業様にどれだけ負担をかけずに掲載していただくかというところを考えました。エクセルとスプレッドシートをアプリで連動させているので、企業様は商品情報をテンプレが組まれているシート上に打ち込んでいただき、CSVを運営側にメールで送るだけで複数の登録・商品編集ができるようになっています。多くの方が使い慣れているツールを利用すること、在庫掲載をする際になるべく少ないリソースで済むことを重視して開発を進めてきました。」
企業がデジタルツールとして使用しやすいよう設計された「Use up」。そこには二宮さんが感じている、日本のアパレル生産におけるデジタル化の遅れがあるという。
「近年、デジタルに関連した多様な開発が行われていますが、実績ベースではあまり大きな成果を得られてないように感じます。企業側の面では在庫管理が楽になるシステムや販売数を予測して生産数を算定するサービスも誕生していますが、そこに投資するくらい余裕のある企業は限られていると考えています。」
業界が遅れをとる大きな原因は、単純に洋服を買う人が少なくなっていることが考えられるという。服を大量生産し、店頭に出しておけば勝手に売れていた仕組みに頼りすぎたが故に多くの会社は苦しい期間が続き、新型コロナの影響でさらに苦しんでいると二宮さんは話す。
「アパレルのDX化もなかなか導入が難しいと考えます。生産、物流、在庫管理、販売実績データとあらゆる業務がアナログである会社が多いのは事実で、上記でも記載したようにまずは洋服が売れなければ利益が出ないため、多くの企業はどうやったら今の現状を打破できるかということで頭がいっぱいだと思います。」
コロナ禍により商業施設や店頭で販売が難しい状況で、多くの企業はネット販売に注力した。しかし、あまりネットに触れていなかった企業も多く、ネット販売にも苦労しているケースもあるという。

大学生起業家としてテレビ番組に出演

二宮さんが「Use up」を立ち上げたきっかけは、学生時代に知ったアパレル業界の現状からだった。
「大学生の頃から何かビジネスをしたいと考えていて、最初は音楽イベントを企画・運営して利益を出していました。そこからもう少し幅を広げようと模索していたときにアパレル業界の現状を知りました。衣服ロスが多いことや、資源の無駄遣い、環境汚染に繋がっているなど課題だらけだと感じ、『Use up』を開発しました。このサービスを開発する前にいくつかアパレルにまつわるサービスをやっており、そのなかに5着の古着が3,000円で届くというサービスをしていました。」
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