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2023.11.16

青木美沙子インタビュー:平成から令和へ、進化するロリータファッションの現在

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日本発のストリートファッションが数多くあるなか、海外からも羨望の眼差しとともに高い評価を得ているロリータファッション。女の子の憧れが詰まったその世界観は、日本の数あるファッションスタイルの中でも唯一無二の存在だ。
日本だけではなく、世界中で愛され続けているロリータファッションだが、現在のロリータファッションはどのように変化してきたのだろうか? 平成、令和と受け継がれてきたロリータファッションの過去から現在、そして未来について、ロリータファッションのカリスマ・青木美沙子さんに話を伺った。
PROFILE|プロフィール
青木 美沙子(あおき みさこ)

ロリータモデル兼正看護師
日本ロリータ協会会長 、外務省委嘱カワイイ大使(ロリータ代表)
ブランドコラボで商品発売プロデュースやTV出演や本の出版なども行う。
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中国を筆頭にさらに世界中で盛り上がる、ロリータファッションの市場

2007年のクール・ジャパン、2008年のジャパンエキスポと続き、2000年以降は日本のポップカルチャーが海外に評価されるようになった。
ロリータファッション、デコラファッション、ギャルファッションと、日本発祥のスタイルは海外からも常に関心を持たれてきたが、なかでもロリータファッションは現在、中国で爆発的な人気を誇っている。日本と中国のロリータファッションに違いはあるのだろうか。
「基本的に中国と日本に関してだけ言うと違いはほぼないです。以前は日本のブランドを世界各国が買うという構造だったのですが、今では中国に日本の10倍くらいロリータブランドがあります。
ですので、市場としては一大企業になっているところもたくさんありますね。昔は日本に買い付けに来るなど、日本のブランドですべてが回っていたのですが、中国が参入してからは中国独自ブランドでロリータブームが広がりました。ロリータファッションは世界でも人気ですが、ここ5年ぐらいは中国ブランドに押されているという状況ではあります」
2009年に『カワイイ大使』に就任して世界を回っていたときも、中国でのロリータファッションは人気だったという。
「当時の中国はまだ今のような勢力になる雰囲気ではなかったですね。2008年にフランスでもジャパンエキスポのイベントが開催されたのもあり、2010年代前後はヨーロッパでもロリータファッションが盛り上がってきた頃です。
また、アメリカや南米でもロリータファッションが認知されて人気になってきました。現在のそれらの国における、中国によるロリータファッションの人気は改めてすごいと思いますね。中国では今、ロリータファッションは究極の映えファッションという位置付けになっています」
日本人の場合は、映えるというよりも、みんなと同じファッションを好む国民性だが、中国ではいかに目立つかが重要だという。
「人にどう見られるかというよりも、自分に自信を持って本当の自分をさらけだすことに意義を持つ国民性があるので、それがロリータファッションブームに繋がっているところもあるのではないでしょうか。またロリータファッションだけではなく、デコラティブなメイク用品のパッケージでも、その主張はうかがえますね」

『下妻物語』がフックに 2000年代のロリータファッション

青木さんと筆者は同学年だ。言い換えると、それは1990年代からストリートや雑誌などでロリータファッションを見てきた世代ということでもある。ロリータファッションは、1990年代からひとつのジャンルとして存在していたが、筆者の印象だと2004年に公開された『下妻物語』からロリータファッションがより盛り上がってきたと感じる。1990年代と2000年代、平成と令和でも、ロリータファッションの流行に変化はあったのだろうか。
「やっぱり『下妻物語』の影響力は大きかったですね。2004年に映画が公開されて、深田恭子さんが着こなすロリータファッションでかなりポジティブな印象になったように思います。
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