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「Ambient Weaving」は来場者からどのように評価されたのか ? アルスエレクトロニカ2022の現地レポート

芸術、先端技術、文化の祭典でメディアアートのイベントとしては世界最大級の規模を誇るアルスエレクトロニカ 2022のSTARTS(Innovation at the Nexus of Science, Technology, and the ARTS)部門にて、株式会社ZOZO NEXTが東京大学筧康明研究室、株式会社 細尾とともに共同開発した「Ambient Weaving」がHonorary Mention(栄誉賞)を受賞。
9月7〜11日にウィーン、グラーツに次ぐオーストリア第3の都市であるリンツで開催されたアルスエレクトロニカ2022で、「Ambient Weaving」はどのように展示され、来場者たちからどのように評価されたのか。その模様をレポートする。
ウィーンから西に約150km、ドナウ川沿いにあるリンツは、人口約20万人の都市。現代芸術の振興に力を注いでおり、2009年には欧州文化都市に、2014年にはユネスコの創造都市に指定されている。
リンツの中心にあるハウプトプラッツ(広場)
リンツの中心にあるハウプトプラッツ(広場)

3年ぶりの大規模開催。日本からも多くの来場者が

1979年にインターナショナル・ブルックナー・フェスティバルの一環として始まったアルスエレクトロニカは、1986年から独立したイベントとして開催されるようになった。1996年には美術館・博物館としての機能を持つアルスエレクトロニカセンター、研究機関のアルスエレクトロニカフューチャーラボが作られ、規模が拡大。コロナ禍の影響により、過去2年間はオンライン中心の開催となっていたが、今年は3年ぶりにオンサイトでの大規模開催となった。
今回のメイン会場はヨハネス・ケプラー大学。コロナ禍前に使用していた場所の老朽化などが理由で、メイン会場が変更となった。ヨハネス・ケプラー大学以外にもリンツ市内にあるアルスエレクトロニカセンター、レントス美術館などでも展示が行われた。
設営をしている筧康明氏(東�京大学筧康明研究室)
設営をしている筧康明氏(東京大学筧康明研究室)
「Ambient Weaving」の展示が行われたのは、メイン会場のヨハネス・ケプラー大学内。開催日の2日前から設営がスタート。現地で木材調達などをしながら準備が進められ、展示スペースの広さ、明るさに合わせ、展示の間隔やライティングの微調整が行われた。
アルスエレクトロニカ 2022のスタートは9月7日の10時。開始時間前から他ブースの展示をしていたアーティストが「Ambient Weaving」を見にきており、Honorary Mention受賞作への関心の高さが窺えた。来場者はヨーロッパの人々がメインながら、日本人も多い。日本からアルスエレクトロニカ 2022を訪れるためのツアーも組まれており、たくさんのビジネスパーソンが訪れていた。
今回の「Ambient Weaving」の展示は3作品で行われた。1つは熱によって色が変わるロイコ染料を用いた“Wave of Warmth”という作品。温度という目に見えない環境情報が、織物を通して可視化される。
2つ目は、布の緯糸に特殊なチューブを織り込み、その中に色素の入った水が染み込んでいくことで色が変わる“Drifting Colors”という作品。クロマトグラフィーという技法を応用したもので、布の端から色水を吸い上げると、糸の中で色が分離され、色のパターンが生成される。
そして3つ目は、通電することで発光する素材を箔状にして織り込んだ“Woven Glow”という作品。緯糸にEL(エレクトロルミネセンス)の素材を織り込んで、それをコンピューターで制御することでアニメーションのように布の柄を切り替えられる。
「Ambient Weaving」の展示の様子
「Ambient Weaving」の展示の様子

来場者たちは「Ambient Weaving」をどう評価したのか

会場を訪れた人にはそれぞれの作品がどのように見えたのか。会場で拾った声を記しておく。
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#Smart Textile
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