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日本の伝統技術を織り込んだテキスタイルを世界へ:ZOZO NEXTによるSXSWへの挑戦

2022年3月にアメリカ・テキサス州で開催される世界最大級のテクノロジーの祭典「SXSW 2020」。今回、ZOZOグループにて新規事業創出やテクノロジーの研究開発を担う組織ZOZO NEXTがグループ初の試みとしてSXSWクリエイティブ・インダストリーズ・エキスポに出展する。「UNVEIL THE FUTURE OF FASHION TECHNOLOGY」をコンセプトに、テクノロジーが導くファッションの未来を紐解く本展示。そこで投げかけられるファッションをめぐる新たな体験や価値とは?
今回は、そのなかからテキスタイルブースを紹介。ZOZOグループ初のテキスタイル開発に挑む“Project Foil”で生み出された様々な作品は、2021年春に京都で開催された「Ambient Weaving ── 環境と織物」で展示されたが、今回は新たな作品を加えての海外初披露。その概要や期待について、このプロジェクトを率いる東京大学大学院 情報学環の筧 康明准教授、ZOZO NEXT・MATRIXの中丸 啓の両名にインタビューを行った。(2022年2月24日オンラインにて収録)
PROFILE|プロフィール
筧 康明

インタラクティブメディア研究者、アーティスト。東京大学大学院情報学環准教授。博士(学際情報学)。 物理素材特性を活かすインタラクティブメディアの研究を軸に、Ars Electronica等国内外で作品展示を展開する。科学技術分野の文部科学大臣表彰若手科学者賞、第23回文化庁メディア芸術祭アート部門優秀賞等を受賞。 https://xlab.iii.u-tokyo.ac.jp/

PROFILE|プロフィール
中丸 啓

研究者、ZOZOテクノロジーズ新規技術開発とその事業化を行うMATRIX部門に所属。博士(政策・メディア)。柔らかな機能性素材やデバイスの開発と、それらを活用したインタラクション・UX設計を専門とする。論文や特許など技術領域を軸に、Ars Electronica Festival等での作品展示も展開する。ACM DIS 2019 Best Paperなどを受賞。

新たなEL作品を含むテキスタイルを展示

まず、SXSWのテキスタイルブースでの出展作品について教えてください。特に「Ambient Weaving ── 環境と織物」からアップデートした初披露となる作品があると聞いています。
今回は大きく3点の作品を展示します。2021年にHOSOO GALLERYで行った共同成果展示「Ambient Weaving ── 環境と織物」から、ひとつは「Wave of Warmth」というロイコ染料を用いた色が変わる生地の作品です。ふたつめが「Drifting Colors」という、布の中を色素の入った水が染み込んでいくことによって、常に色が変わるという作品です。今回は展示方法が異なり、HOSOO GALLERYでは大きな池のようなものをつくって、そこから布に色水を吸い上げましたが、今回は天井から大きな布を吊って、上から下へと布の中に色が伝って常に動的に変化し続ける柄を生成する新作インタレーションを用意しています。
もうひとつが、「Woven Glow」というELが折り込まれた作品です。前回は150cmぐらいの大きさでしたが、今回は4.8mと大きなものとなり、3色のELスリットが織り込まれたフルカラーになっています。点灯パターンも音に連動する形で新しくプログラムしなおしたインスタレーションとなっています。
中丸まさに今、こちらを制作中です。この作品には制作パートナーとして、前回と同様に日本触媒様に協力いただいています。前回は赤単色での発光だったのですが、今回は赤・青・緑の3色での発光となることに加えて、ELスリットの本数も増やしています。織りは細尾チームと協力し、回路はIMG SRC様が前回よりもスケールが大きいものを動かすということで、新たに回路基盤から起こして制作しています。
また、今回は3色が混ざっているため、見せ方によって単なる3色というよりは、混ざって多様な色合いに見えたりと表現の幅が広がっています。そこは筧先生たちの力をお借りして、調整を進めているところです。

日本の伝統技術への反応を期待

初の国外披露となりますが、その狙いや期待する反応を教えてください。
中丸まずZOZO NEXTとしては、昨年国内で開催された「Ambient Weaving ── 環境と織物」がテクノロジーだけではなく、空間の設計やコンテクストの伝え方を含めて非常に評判が良かったので、さらなる展開に期待しています。昨年の展示にも多くの方にご来場いただきましたが、特に織り物が好きな方々が見に来るパターンが多く、「こういうところに使ってみたい」といった声があったり、実際にサンプルのお問い合わせがあったりと、次に繋がっていくような反応をいただきました。
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#Smart Textile
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