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2023.06.06

走行効率性を追求しながらスピードも出しやすい設計!アシックス「EVORIDE SPEED(エボライド スピード)」の魅力

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走行効率を追求して設計されたアシックスのENERGY SAVING SERIES(エナジーセービングシリーズ)。シリーズ最軽量モデルの「EVORIDE(エボライド)」が、前作よりもスピードが出しやすい設計になったという。
足首の角度変化を抑え、より効率的に足を前に運ぶENERGY SAVING SERIES特有のガイドソールテクノロジーとはどんなもので、一般的なシューズとは何が違うのか。そして、走行効率の追求とスピードを両立した「エボライド スピード」は前作からどのようなアップデートが施されたのだろうか。
アシックスのENERGY SAVING SERIESが初めて世に登場したのは2019年の春。ファーストモデルとして登場したのは「METARIDE(メタライド)」というシューズ。走るとはどういうことなのか、効率的に走るとはどういうことなのかというテーマを長年研究してきたアシックスが、エネルギー消費の軽減にフォーカスし、走行効率を追求して開発されたものだ。
独自のガイドソールテクノロジー(カーブしたソール形状)によって、足関節の過度な動きを抑え、エネルギーの消費を軽減。「メタライド」に採用された効率的に足を前に運ぶための基本設計は、同じENERGY SAVING SERIESの「GLIDERIDE(グライドライド)」や「エボライド」にも踏襲されている。

前作からのアップデートポイントは大きく3点

「エボライド」シリーズの最新作「エボライド スピード」は、走行効率性に優れながら、軽量でスピードが出しやすいことが特長。前作「エボライド 3」からは大きく3つのポイントがアップデートされているという。
「1つ目のポイントはミッドソール素材の変更です。エボライド 3ではFLYTEFOAM(フライトフォーム)を採用していましたが、エボライド スピードはFF BLAST(エフエフ ブラスト)を採用しています。より反発性に優れた素材で、蹴り出し時の前方向への推進力が高まり、スピード感のある走りを実現しています。
2つ目のポイントは外側からは見えないのですが、ミッドソールの踵部に六角形の溝を入れ込んだ構造を採用しています。この溝によって着地時にミッドソールの変形が促され、適度なクッション性を発揮します」と、開発を担当した株式会社アシックス宮崎陽輔さん。
ミッドソール素材は反発性に優れたFF BLASTに変更された。エボライド スピード。13,200円(税込)
ミッドソール素材は反発性に優れたFF BLASTに変更された。エボライド スピード。13,200円(税込)
カーブしたソール形状も特徴
カーブしたソール形状も特徴
走行時のエネルギー消費を抑え、より効率的に足を前に運ぶガイドソール。反発性に優れたFF BLUST、ミッドソールの踵部に入れられた六角形の溝が生み出すクッション性。これらが一体となってスムーズな重心移動と、快適なライド感を生んでいるのだ。
「3つ目のポイントはアッパーです。シュータンとアッパーがシューズ内部で一体化された構造によって、足を包み込むようなフィット感を実現しています。今まで以上に足とシューズの一体感を得られると思います」
シュータンとアッパーが一体化した構造を採用
シュータンとアッパーが一体化した構造を採用

走行効率の高さとスピード感をハイレベルで両立

走行効率の高さとスピード感。両方を絶妙なバランスで備えているのが、「エボライド スピード」の魅力だが、それを両立させるにはやはり試行錯誤があったようだ。
「ガイドソール特有の足首の過度な動きを抑えてコロンコロンと転がっていく部分と、ランナーがスピードを上げようとしたときにそれに応えられる部分のバランスを取るのは難しかったというか、工夫をした点ですね。ミッドソールの厚さや、カーブの形状はさまざまなパターンを試して、最終的に今の状態にたどり着いています」
ガイドソールテクノロジーを採用したシューズは、車に例えるなら自動でギアチェンジを行うオートマチックカーのように、自然と前へ前へと転がっていってくれる。一方、ランナーの蹴り出す力に速やかに反応して推進力へ繋げるシューズは、マニュアルカーのようなもの。「エボライド スピード」は、その両方のいいとこ取りをしたようなシューズといえる。では、どのようなシーンで履くと、そのポテンシャルを十分に活用できるのだろうか。
「たとえばフルマラソンであれば、完走経験があり自己記録更新を目指していきたいけれど、カーボンプレート搭載シューズはまだ早いかなと感じている人におすすめできます。一方、レースでカーボンプレート入りのシューズ、アシックスでいえばメタスピードシリーズやマジックスピードを履いているランナーのトレーニング用にも適しています。
ソール形状に共通する部分があり、プレートレスではありますが、近いライド感が得られます。トレーニングではプレートの入っていないシューズで脚を鍛えることも大切なので、それをレース用シューズと近いライド感のシューズでできるのは、ランナーにとっては大きなメリットでしょう。実際に、エボライド スピードをポイント練習で活用しているアスリートも多くいます」

適度な転がり感とナチュラルな反発が得られる

足を入れてまず感じるのはアッパーの心地よいフィット。足あたりはソフトながら、柔らか過ぎず適度なサポート性を感じる。踵周辺のフィットもよく、足とシューズの一体感がある。
走り出すと程よい転がり感がある。転がり感については、同じENERGY SAVING SERIESの「グライドライド 3」よりもマイルド。クセがないライド感で多くの人が走りやすさを感じるのではないだろうか。
カーボンプレート搭載シューズのような強い反発はないが、ナチュラルな反発感が得られる。自然とピッチが上がり、無理なくいつもよりいいペースになるような印象だった。脚力が十分なランナーであれば、グイグイとスピードを出すことも可能かもしれない。
メディア向けに開催された試走会でも多くのランナーがその履き心地に満足していた
メディア向けに開催された試走会でも多くのランナーがその履き心地に満足していた
無理なくピッチが上がる印象で楽しく走ることができた
無理なくピッチが上がる印象で楽しく走ることができた
そして価格が手頃なのも嬉しいポイントだろう。この完成度で税込13,200円はお得感がある。特に月間走行距離が多く、年間に何足も履き潰すというランナーであれば、一度試してみる価値があるはずだ。
PROFILE|プロフィール
宮崎 陽輔 (みやざき ようすけ)
宮崎 陽輔 (みやざき ようすけ)

株式会社アシックス パフォーマンスランニングフットウェア統括部 クッションサイロ開発チーム(現在は異動)
おもにトレイルやクッションモデルのシューズ開発を担当。お客様のランニング体験をより充実したものにするべく、トライ&エラーを重ねる毎日にものづくりの難しさと奥深さを肌で感じてきた。趣味は筋トレ、ゴルフ、草野球と、公私ともにスポーツが身近な日々を送っている。

Text by Fumihito Kouzu

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