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2023.08.10

30周年を迎えた大人気モデルが大幅にアップデート! アシックス「GEL-KAYANO 30(ゲルカヤノ30)」の進化を探る

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初代モデルが1993年に登場して以来、世界中のランナーから愛され続けているアシックスの「GEL-KAYANO(ゲルカヤノ)」。長時間走行してもスムーズな足運びができるサポート性や、足元のぐらつきを抑える安定性をハイレベルで備え、多くのランナーをフルマラソン完走へと導いてきた。
シリーズ最新作となる「ゲルカヤノ 30」は、シリーズ誕生30周年を機に安定性を再解釈した新たな機能を搭載。走り始めから終わりまでの安定性と快適性を両立させているという。従来モデルとは何がどう変わったのか、開発担当者である中村浩基さんに話を聞いた。

快適性と安定性の両立を目指し、新しい機能構造を採用

「ゲルカヤノ」シリーズはスタビリティ、つまり安定性に優れたシューズだ。着地時に踵が過度に内側に倒れ込むランニング挙動のことをオーバープロネーションという。多くの場合、長時間、長距離のランニングをしていると、プロネーションが強くなり着地が不安定になっていく。すると脚の筋肉や膝などの関節にかかる負担が大きくなる。
脚力不足や、フォームが安定していないビギナーランナーの場合はとくにその傾向が強い。そこで安定性に優れ、オーバープロネーションを抑制してくれる「ゲルカヤノ」シリーズが、多くのランナーに愛されてきたというわけだ。
 
今回のアップデートで追求したのは、安定性と快適性の両立。その結果、誕生したのが4D GUIDANCE SYSTEM(フォーディガイダンスシステム)と呼ばれる新しい機能構造だ。
 
「ランナーは走行距離が長くなって疲労が蓄積すると、走り始めよりもフォームが前傾姿勢(腰から前に折れておじぎをするような姿勢)になります。そして、足裏を地面に対してフラットに着地(すり足気味になる)させ、中足部がプロネーションする傾向が強くなります。従来は足を固定するアプローチでプロネーションを抑制していましたが、高い快適性と両立するためにアプローチから見直し、複合的な機能構造によって、安定性と快適性の両立を図りました」
シリーズ誕生30周年。安定性を再解釈した新たな機能を搭載したゲルカヤノ30。19,800円(税込)
シリーズ誕生30周年。安定性を再解釈した新たな機能を搭載したゲルカヤノ30。19,800円(税込)
では、4Dガイダンスシステムとは、具体的にどのようなものなのだろうか。
 
「走行時の変化に適応した安定性と快適性を実現する4Dガイダンスシステムには4つのポイントがあります。1つ目は広がりを持たせたミッドソール構造です。内側の中足部から踵部を広がりのある立体構造にすることで、走行時の過度な倒れ込みを抑制しています。
2つ目はアーチ部に横に張り出すように配置した高反発でソフトなフォーム材です。疲労時に必要となる安定性を得られると同時に、快適な履き心地を感じられるかと思います。
3つ目は踵部の適切な傾斜です。アシックススポーツ工学研究所が計測してきたランニング動作のデータに基づき、踵のカーブの形状を設計することで、踵からの着地と前方への重心移動をスムーズなものにします。
4つ目は接地面積を広げた靴底です。前足部も後足部も前作と比べて接地面積が広がったことで、より安定した足運びをサポートします」
ミッドソールのアーチ部分(色のついたところ)に反発性に優れたフォーム材を採用。踵の形状もデータに基づいて設計されている
ミッドソールのアーチ部分(色のついたところ)に反発性に優れたフォーム材を採用。踵の形状もデータに基づいて設計されている
たとえば前々作の「ゲルカヤノ28」では、オーバープロネーション抑制のために、DUOMAX(デュオマックス)という少し硬い素材をミッドソールの内側に採用し、中足部のねじれを防ぐためにTRUSSTIC(トラスティック)という樹脂製のパーツを搭載していた。
そして、前作の「ゲルカヤノ 29」では、DUOMAXとTRUSSTICの両方の役割を果たすLITETRUSS(ライトトラス)という適度な硬度を持つフォーム素材が採用されていた。方法は違えど、足の動きを制限して支えてきたのが今までのアプローチだったわけだが、「ゲルカヤノ 30」はそれをガラリと変えたということなのだ。
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