カーボンプレートを搭載した厚底ランニングシューズが一般化し、メーカー間による開発競争が激化している。ミッドソールの素材やプレートの形状で差別化を図ろうとするシューズが多い中、アシックスは2つのトップモデルを展開。ストライド型のランナー(歩幅が広いタイプ)には「メタスピード スカイ」、ピッチ型のランナー(歩幅が小さく回転数が高い)には「メタスピード エッジ」というモデルを推奨。強みをさらに伸ばせるようなシューズでランナーを後押ししている。
初代の「スカイ」と「エッジ」が誕生したのは2021年の春。そのプロジェクトチームが立ち上がったのは2020年1月というから、かなりの急ピッチで開発が進められたことになる。
「プロジェクトチーム誕生当時、厚底シューズがランニングシーンを席巻して我々は非常に厳しい状況にあり、少しでも早く“勝てるシューズ”を世に送り出す必要がありました。普段であればランニングシューズの開発には2年ほどかけるのですが、そこまでの時間 がかけられなかったのです」と、プロジェクトリーダーを担当したアシックスの竹村周平さんは言う。
アスリートの声を優先し、2モデルの開発を決断
開発期間が短かったこともあり、通常よりも多くの試作を用意して、トップアスリートの声を徹底的に聞いた。すると、アスリートの好みが合致せず、大きく2つに分かれていた。