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2022.09.06

あなたに合うのはスカイかエッジか? アシックス「METASPEED」シリーズはランナーに合わせて速さを提供する

カーボンプレートを搭載した厚底ランニングシューズが一般化し、メーカー間による開発競争が激化している。ミッドソールの素材やプレートの形状で差別化を図ろうとするシューズが多い中、アシックスは2つのトップモデルを展開。ストライド型のランナー(歩幅が広いタイプ)には「メタスピード スカイ」、ピッチ型のランナー(歩幅が小さく回転数が高い)には「メタスピード エッジ」というモデルを推奨。強みをさらに伸ばせるようなシューズでランナーを後押ししている。
初代の「スカイ」と「エッジ」が誕生したのは2021年の春。そのプロジェクトチームが立ち上がったのは2020年1月というから、かなりの急ピッチで開発が進められたことになる。
「プロジェクトチーム誕生当時、厚底シューズがランニングシーンを席巻して我々は非常に厳しい状況にあり、少しでも早く“勝てるシューズ”を世に送り出す必要がありました。普段であればランニングシューズの開発には2年ほどかけるのですが、そこまでの時間がかけられなかったのです」と、プロジェクトリーダーを担当したアシックスの竹村周平さんは言う。

アスリートの声を優先し、2モデルの開発を決断

 開発期間が短かったこともあり、通常よりも多くの試作を用意して、トップアスリートの声を徹底的に聞いた。すると、アスリートの好みが合致せず、大きく2つに分かれていた。
「どちらかに寄せればもう片方の声が犠牲になってしまいますし、良いとこどりをとるとバランスを崩しどっちつかずのものになる可能性がありました。それならば2タイプ作ろうということになったのです」
ただでさえ時間がない中で、2タイプのトップモデルを開発することに反対の声も上がったが、アスリートの声に応えることを貫いた結果、アシックスはマラソンや駅伝におけるシェアを回復、勢いを増している。

ニューモデルを着用した選手が世界陸上で活躍

 そして今夏、アップデートモデルとなる「メタスピード スカイ プラス」と「メタスピード エッジ プラス」が登場。7月に開催された世界陸上でも早速、男子8名、女子5名の選手が着用。女子アメリカ代表のサラ・ホール選手とエマ・ベイツ選手は「メタスピード シリーズ」を履いて、それぞれ5位、7位と入賞を果たした。また8月のヨーロッパ選手権では、男女マラソンの優勝者がいずれも「メタスピード スカイ プラス」を着用していた。
改めて「スカイ」と「エッジ」の違いをおさらいしながら、新作のアップデートポイントを確認していこう。

フォームを増量したことで反発性がさらに向上

 ストライド型のランナーがよりストライドを伸ばし、少ない歩数でゴールすることをサポートするために作られたのが「スカイ」。「スカイ プラス」では、アシックスの軽量ミッドソールフォームの中で最も反発性が高いFF BLAST TURBO(エフエフ ブラスト ターボ)を4%増量。カーボンプレートの形状をフラットな形状として、ミッドソールの上部に配置した。
「前足部の厚さは変わっていないのですが、つま先の反り上がり形状と横に張り出す形状を変更することで、フォームを増量しました。プレートの位置を足に近づけ、押しつぶせるミッドソールの体積を増やすことで反発をより力強く得られます。ストライドタイプのアスリートは地面を押す力がより大きいことが分かったので、こういった構造になりました」
一方の「エッジ」はピッチ型のランナーがピッチを調整しながらストライドを伸ばすことを追求して開発された。新作「エッジ プラス」は、FF BLAST TURBOを16%増量。カーボンプレートは初代モデル同様、踵からつま先に向かって傾斜を持たせた形状が採用されている。ストライド型のランナーよりも地面を押す力が弱いピッチ型のランナーが反発を得やすく、かつピッチをコントロールしやすい構造となっている。ミッドソールの厚みは前作よりも4mm厚くなっており、よりクッション性も感じられる。
「スカイプラス」と「エッジプラス」では、プレートの形状や位置、ミッドソールの厚さ、前足部と踵部の高低差(ドロップ)などが異なる
「スカイプラス」と「エッジプラス」では、プレートの形状や位置、ミッドソールの厚さ、前足部と踵部の高低差(ドロップ)などが異なる
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