福井県鯖江市で、リベット鋲というメガネの部品製造から始まった
株式会社シャルマン。現在はメガネフレームの製造工程の全般を一貫生産で行い、世界約100ヶ国に販売網を持つなど、その高い技術力が注目されている。なかでも、シャルマンを代表する理念が「掛け心地」の追求だ。
メガネを掛けている人なら、掛けている間にずれ落ちたり、耳当てが痛くなったりした経験があるだろう。だが、シャルマンのメガネはそうした不快感を抱かせないフレーム設計になっているという。そこには、長年の掛け心地の研究によって得られた素材や技術が隠されているようだ。
同社R&D室の方々にお話を伺い、シャルマンの掛け心地を実現する秘密を語っていただいた。
PROFILE|プロフィール
(右から)中村 浩(なかむら ひろし)/多田 弘幸(ただ ひろゆき)/井上 史朗(いのうえ しろう)/藤井 太一(ふじ い たいち)
中村 浩(なかむら ひろし)
R&D室 技術開発課 マネージャー
レーザ微細接合開発担当
多田 弘幸(ただ ひろゆき)
R&D室 技術開発課 エキスパート
エクセレンスチタン開発担当
井上 史朗(いのうえ しろう)
R&D室 ゼネラルマネージャー
藤井 太一(ふじい たいち)
R&D室 商品開発課 リーダー
頭部形状研究開発担当
掛け心地が良い状態とは?
掛け心地の研究を始めた背景を教えてください。
藤井 1990年代にメガネの製造方針を議論する機会があったので、ユーザーからのアンケートを集めてみました。すると、「頭が圧迫されて痛い」「鼻や耳が痛い」というメガネのフィット性に関する意見が多くあったのです。そこを改善していけば、よりお客様に喜ばれるメガネができると考え、掛け心地の研究を始めることになりました。素材や構造の見直しを行い、さまざまな形を作っては検討することを繰り返していたのですが、結局は実際に掛けたときの感覚であるため、頭部の形状を研究し、しっかりとしたデータに基づかなければならないという判断にいたりました。