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2023.09.26

空気で体を暖める「emulation(エミュレーション)」が開発した「AIRUNIT®(エアユニット)」とは

アウターの中に空気を入れて防寒する特殊なシステム「AIRUNIT®(エアユニット)」を搭載した、「emulation(エミュレーション)」という日本のブランドを知っているだろうか。「そもそも空気は暖かいのか?」という声が聞こえてきそうだが、驚きのテクノロジーと洗練されたデザインで構成されるemulationについて、株式会社スリーネイション、emulationチームの峠 聖悟さんにお話いただいた。

空気をまとうAIRUNIT®

「ブランドスタートのきっかけは、海外の協力会社が空気で膨らむ仕様の防寒アパレル技術のパテント(特許)を持っていまして、『これでなにか作れないか』という話をもらったのが始まりです。
空気で膨らます衣料というのは救命胴衣がそうであるように以前からあるものですが、防寒着として使われるようになったのは近年のことです。スポーツウエアや、アウトドアウエアなどですでにいくつか存在するのですが、それをギアとしてではなく、ファッションに落とし込んだのがemulationというブランドです。
まずemulationオリジナルのAIRUNIT®というものを開発しました。これはベスト形状のもので、さまざまなアイテムのインナーに搭載することができます。たとえばアウトドアウエアなどで空気で防寒する仕様のものは、服自体が膨らむというものがポピュラーなのですが、これではデザインにかなり制限がかなり出てしまいます。しかしこのAIRUNIT®ならデザインの制限なく、さまざまなアイテムに取り入れることができるというのが特徴です。
服から取り外した状態のAIRUNIT®の写真を用意したのですが、特徴としては左内側に空気口が付いていて、付属のポンプで空気を入れるか口で息を吹き込むこともできます。空気を抜くときは空気口を開け、真ん中の弁を押して服に圧力をかけるという仕組みになっています」
アウターに縫い付けられる前のAIRUNIT® 空気を入れた状態と抜いた状態
アウターに縫い付けられる前のAIRUNIT® 空気を入れた状態と抜いた状態
空気口部分と付属のポンプ
空気口部分と付属のポンプ

空気の暖かさ

このAIRUNIT®、空気で防寒するというがいったい空気はどのくらい暖かいのだろうか。その仕組みをわかりやすく教えていただこう。
「季節やロケーションに応じて空気の量を調節しながら着ることができるのですが、空気は一度暖まると熱が逃げづらく、パンパンに膨らませても、少し空気を抜いても断熱力という点はあまり変わらないので、自分が好きなシルエットのところまで膨らませていただければ良いかと思います。
心地よく着用するには50~70%の空気量を推奨しています。たとえばダウンジャケットは羽毛と羽毛の間に含んだ空気が暖まるという仕組みで、その暖まった空気は密閉されてはいないので圧力を加えると空気は抜けてしまうのですが、AIRUNIT®は、膨らませた空気が一度暖まってしまえばその空気は密閉されているので、暖かさが持続するというものになっています。
ここに表があるのですが、空気自体が断熱性の高い物質で、熱伝導しにくく熱を逃がさないという性質であることがわかります」
赤いラインが空気で、この中では2番目に熱が逃げづらいということがわかる。
赤いラインが空気で、この中では2番目に熱が逃げづらいということがわかる。
「着慣れたアウターのような存在になってくると、どのくらい空気を入れたら良いのかが自分でわかってくるようになります。もちろん季節や住んでいるエリアによって変わってくるとは思うのですが、たとえば車に乗ったときに空気を抜いて、降りる前に空気を入れるというのもおすすめですし、朝と晩で気温差が激しい地域や、旅行などでそういう場所に行く際にも着ていったり、持っていったりするとかなり便利だと思います。
厚手のアウターと違って空気を抜いてしまえば軽量化できますし、とにかくクイックに温度調節できるのがAIRUNIT®の特徴だと思います。
春先や秋口でそれほど防寒しなくてもいい季節は、空気をすべて抜いてライトなアウターとして使っていただけます。よくインナーを取り外せるタイプのアイテムがありますが、emulationのアイテムは外す必要はなく空気を抜けばいいだけなので、荷物も増えず便利だと思います」
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