登山ほど靴の性能が問われるアクティビティはそうそうないだろう。足の保護、疲労軽減、岩場での足場の確保……登山家にとって、靴は命を預ける相棒といえる。
マウンテンブーツとしてのスペックを高い水準で保持しながらも、重さや歩きにくさといった登山靴にありがちなストレスを解消した画期的なモデルだ。
今回はそんな万能シューズの魅力を深掘りしていこう。
PROFILE|プロフィール
長崎 誠(ながさき まこと)
日本用品株式会社のマーケティング&ブランディング ディビジョンにて、LA SPORTIVAのPRを行う
「LA SPORTIVAのルーツはイタリア北部のドロミテ山麓にあった靴の工房です。靴職人であった創業者のナルシソ・ディラディオ氏は、地域の森林や農家で働く人たちのために靴を作っていましたが、1960年にミラノの専門見本市に革靴を出展します。こうしてブランドの歴史が幕を開けました」
そう語るのは、LA SPORTIVAのPRを担当する長崎 誠さん。
「1950年代に入ると、息子のフランチェスカ氏が新しい工場を設立し、ブランドは大きな成長を遂げました。当時の著名な登山家にも靴を提供しており、1954年には、イタリア登山隊のソリ・ラセデェリ氏が弊社のブーツを履いてK2の初登頂に成功しました」
ブランドが躍進したのは1960年代。新コレクションを発表したミラノ見本市での大成功をきっかけに、ヨーロッパ市場へ進出を果たした。2002年には、登山家のシモンヌ・モロー氏がLA SPORTIVAの「オリンポス・モンス」を履いてエベレスト登頂に成功し、その実力を世界に知らしめた。
名声の高まりとともにLA SPORTIVAの登山靴を愛用するプロの登山家が増えていった。現在では、世界各国の軍隊や警察、山岳救助隊などに制式採用されている。
日本での展開は1969年から。ケルンの見本市で日本との販売契約が締結され、日本への輸入が開始された。2007年には日本法人が設立され、日本全国への販売がスタートした。
山々や自然へ負荷をかけないもの作り
LA SPORTIVAが登山家たちに選ばれる理由は、もの作りの姿勢にもある。「ポリシーはfor your mountain。イタリアの本社に併設された自社工場で靴作りを行っていますが、この工場は周囲の山々や豊かな自然に対して、いかなる負荷もかけないように力を注いでいます」
ISO(国際標準化機構)とは、製品やサービス、プロセス、材料、システムに関する国際規格を制定する国際組織。非常に厳格な基準で知られる規格だが、LA SPORTIVAは、ISO9001、ISO14001の2つの認証を取得している。
また、製造工程において、廃棄物のリサイクル、ソーラー発電、CO2の廃棄濾過、100%再生可能エネルギーの使用にも力を注ぐ。
「登山は自然の恩恵なしには楽しむことができないアクティビティです。山を愛し、守っていくブランドでなければ、登山愛好家たちからの支持は得られません」