現在はロードで、トレイルで、そしてタウンユースモデルとしても人気を得ている
HOKA。その歴史において重要なモデルであるのが、HOKAの原点とも言えるトレイルランニングモデルの「マファテ」だ。
今シーズン発売された「マファテ オリジンズ」は、2010年に発売されたトレイルランニングシューズ「マファテ 3」をベースに現代の素材をソールに採用し、アッパーもモダンにアップデート。日々のライフスタイルにフィットするように仕上げられている。一方、「マファテ」の流れを継ぐトレイルランニングシューズ「
マファテ スピード 4」は、長距離のトレイルでも高い運動性が維持できるように設計されたモデル。
「マファテ」はどうしてトレイルランナーから厚い支持を受け 、そしてライフスタイルモデルとしても高い人気を獲得することができたのだろうか。
世界で最も過酷な100マイルレースの1つとして知られるグランレイド・レユニオン。その開催地であるレユニオン島のマファト圏谷が、「マファテ」のモデル名の由来。険しいトレイルを走破する機能を備えていることから、その名が付けられている。
推進力が得られる「マファテ スピード 4」
まずは、テクニカルな路面に対応するための最先端機能を備えたニューモデル「マファテ スピード 4」について見ていきたい。「クッション性を高めるために程よい弾力を持ったフォームと、推進力を高めるために硬さを持たせたフォームを組み合わせた、PROFLY(プロフライ)と名付けられた2層構造のミッドソールを採用している点が大きな特長です。反発性が高く、特に岩場の多いコースではその恩恵をたっぷりと受けられます」と、HOKAのシニア フィールド サービス レップ、安藤正直さんは言う。
PROFLYはロードランニングモデルであれば「
マッハ 5」に採用されている構造。「マッハ」はHOKAの定番である「
クリフトン」や「
ボンダイ」と比べると、クッション性よりも反発性や推進力を重視したシューズだ。HOKAのシューズをロードで愛用しているランナーであれば、それを聞くと「マファテ スピード4」の位置付けがよくわかるのではないだろうか。
アウトソールにはVibram MEGAGRIPを採用し、ラグは5mm。フレックスグルーブ(足の屈曲性を高めるための溝)も深く、草地、砂利道、岩場、砂場にぬかるみなど、さまざまな路面に対応しやすい。そしてアッパーは前作から全面的に刷新されている。
「アッパーはジャカードメッシュになり、フィット感と通気性が向上しています。前作までよりもトゥボックスにゆとりを感じ、アッパー全体が足にフィットする感覚が得られると思います」
距離や路面状況、コースの特性に合わせて、最適なシューズを選ぶことが、ケガなくトレイルランニングを楽しむコツ。反発や推進力が欲しいとき、テクニカルな路面を軽やかに走り抜けたいときに「マファテ スピード 4」は活躍してくれるはずだ。
「HOKAはトレイルランニングシューズのラインナップが豊富です。アウトソールだけを比べてもそれぞれ個性がありますし、コースや走力に合わせてシューズが選べるようになっています。ロングのレースであれば、天候や路面のコンディションに合わせて途中で履き替えるという選択もあります。私自身、トレイルでマファテ スピード 4を愛用していますが、快適な反発が得られるモデルなので、ぜひ一度試して頂きたいですね」
オンラインで即完売した「マファテ オリジンズ」
「マファテ」シリーズは、トレイルランナーに支持されているだけでなく、ファッションシーンでも人気を集めている。今年9月に、HOKAのルーツであるフランスのアルプスに敬意を表した復刻モデル「マファテ オリジンズ」が登場。2010年に発売された「マファテ 3」をベースに、ソール部分に現代の素材を採用。また、アッパーのデザインもモダナイズされており、シューレースにはクイックレースシステムが採用された。
厚底の原点ともいえるHOKAらしさが詰まった一足は、オリジナルのカラーを再現したブルー、新色となるブラックとホワイトのいずれもオンライン販売分が即完売に。トレイルを快適に安全に走破することを追求して誕生したHOKAのシューズの機能美は、ファッションアイテムとしても魅力的なのだろう。
「マファテ スピード 2」が再登場
そして、11月には「マファテ スピード 2」がライフスタイルモデルとして再登場する。トレイルランナーの間でも人気が高かったアイコニックなモデルだ。タウンユースを想定したカラーリングでの発売とな るが、機能的には十分にトレイルランニングを楽しめるもの。また、キャンプやハイキングでも活躍してくれるのではないだろうか。トレイルランナーにサポートとクッションを提供するために開発されたシューズゆえの快適性に加え、特徴的なアッパーデザインが人気の理由にもなっていた「マファテ スピード 2」は、以前からファッションシーンで注目されていたモデルでもある。
「2021年にモンクレールとコラボレーションをした際にベースとなったのは、マファテ スピード 2でした」
老若男女を問わず、ランニングシーンとファッションシーンの両方で人気を得ている「ボンダイ」や「クリフトン」のイメージが強いかもしれないが、実はトレイルモデルの「マファテ」も、ファッションシーンで支持されている。
山で、街で、その機能とデザインを堪能してみてほしい。
PROFILE|プロフィール
安藤正直(あんどう まさなお)
デッカーズ ジャパン HOKA シニア フィールド サービス レップ。シューズのスペシャリストであり、ランナーでもある。写真は年2回デッカーズで行われるグローバルボランティアウィーク「アート・オブ・カインドネス」で走った距離だけ寄付をするプログラムに参加し、福島県の相馬市まで(約350km)を4泊5日かけて走った時のもの。