年齢とともに気になる“ほうれい線”。より目立たなくさせるにはどうしたらいいのか、気になっている人も多いだろう。花王メイクアップ研究所では、そんなほうれい線を様々な角度から観察・研究している。
そんななか、同研究所はトワニーとともに「そもそも人の目から見て、ほうれい線が目立つとはどういうことか?」についての研究を進めてきた。その結果、ほうれい線にはシワ(溝)のほか、頬のふくらみも関係していることがわかったという。
今回はドラマティックメモリーやほうれい線 AI FINDERの誕生のきっかけとなった、ほうれい線に関する研究内容について、花王メイクアップ研究所より研究員の池田さん、西野さん、飯田さんに話を聞いた。
PROFILE|プロフィール
池田 直子
メイクアップ研究所研究員、主にメイクアップ品の機能評価に従事。
PROFILE|プロフィール
西野 顕
メイクアップ研究所研究員、DX戦略推進センターカスタマーサクセス部兼務。博士(工学)。主にメイク仕上がりの画像解析、UX開発に従事。
PROFILE|プロフィール
飯田 将行
メイクアップ研究所研究員、主にメイクアップ品の研究開発に従事。
花王メイクアップ研究所 はじめに、貴研究所の目的について教えてください 池田 現在のメイクアップ研究所は、花王グループ内の研究資産を最大活用して研究・開発力を強化するとともに、部門間での相互理解を深めて個々のブランドの独自性を深化させていくことを目指しています。
飯田 そこで一人ひとりその人ならではの美しさを 提供するため、様々なメイクアップ化粧品を通じて、望み通りの色や質感や形を、またそれが一日変わらず続くための化粧持続性能を、心地よい使用感とともにお届けできるように研究を行っております。
また、消費者研究や、メイク品ならではの意匠性向上のための研究、最近ではデジタル技術の導入も行っています。
研究所での取り組みは、どのように応用されているのでしょうか。 西野 得られた研究成果応用の一例ですが、様々な環境での肌の光学特性を再現して、気になる場所はカバーしつつ美しい肌の質感を反映したファンデーション、化粧崩れの要因である皮脂をはじく・固めることで、一日美しい仕上がりが持続する化粧下地、唇からの水分を利用してより塗膜が密着し、つけたての色が続きマスクでもとれにくい口紅の開発などに応用しております。
デジタル技術の応用では、目視評価の訓練を積んだ「専門判定者」の感性を学習したAIを構築し、ファンデーションの仕上がりを評価できるようになっています。ドラマティックメモリーのUX開発においても、消費者研究をベースに、ほうれい線を分類・スコア化した画像からAIを構築し「 ほうれい線 AI FINDER 」の開発につながっているのです。
2つの要因でほうれい線を評価 ほうれい線の見え方研究をスタートしたきっかけは何だったのでしょうか。 池田 もともと「どうすればほうれい線を目立たなくさせられるのか」というのは理解していたつもりでした。しかし、実際にほうれい線はどんな形状をしているのか、はっきりとしたデータを知らないまま、「コンシーラーなどを塗ったら目立たなくなる」というポイントだけをおさえていたのです。そこで、いろいろな顔立ちの方がいるなか、ほうれい線の形状はどんな状態なのかを調べておく必要があると思い、研究をスタートさせました。
池田 まず、ほうれい線の定義付けをするためにグレードを設定し、シワの見た目の深さを8段階で評価しました。
池田 2019年に20代~70代の女性270人のほうれい線のシワグレードと年齢の関係を調査しました。グラフは、年齢とほうれい線グレードの散布図となっています。213人にほうれい線が存在し、25歳ごろからほうれい線のシワ(溝)を認識できる『グレード1』の方が少しづつ増えていくことがわかりました。
取材& 記事リクエスト
ファッションテック領域で気になる人物、情報、ブランド、アイテムなどはありますか?