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2023.03.02

ケガのリスクを小さくし快適に走れるシューズ 「NIKE INVINCIBLE3(ナイキ インヴィンシブル 3)」 は他のシューズと一体何が違うのか

ケガ予防とランニングエコノミーの改善を目的として開発され、2021年に発売された「NIKE ZOOM X INVINCIBLE RUN(ナイキ ズームエックス インヴィンシブル ラン)」。そのシリーズ最新作となる「NIKE INVINCIBLE 3(ナイキ インヴィンシブル 3)」が登場。ズームエックス フォームを採用したミッドソールは厚さを増し、アッパー構造が一新された今作は、どのように進化したのだろうか。
カーボンプレートを搭載した厚底のレーシングシューズによって、ランニングシューズシーンを一変させたナイキ。エリウド・キプチョゲ選手による男子マラソンの世界記録更新を筆頭に、数多くの記録更新を支えてきた。マラソンや駅伝の大会を観戦すれば、多くのトップアスリートたちがナイキのシューズを選択していることがわかる。

ケガをゼロにすることに挑み続けるナイキ

しかし、ナイキがフォーカスしているのは“スピード”だけではない。ランナーにとってのもう一つの大きな課題である“ケガ”についても解決を試み続けている。「ナイキ インヴィンシブル3」の紹介をする前に、その歩みに触れておきたい。
ケガは本当に避けられないものなのかという疑問から、“怪我ゼロ”を目指すナイキの取り組みの第一歩として2020年に登場したのが、「NIKE REACT INFINITY RUN(ナイキ リアクト インフィニティ ラン)」だ。
それまでのナイキのランニングシューズが、ケガの軽減のためにアプローチしてきたのは、主にオーバープロネーションの抑制についてだった。着地時に踵が内側に過度に倒れ込むオーバープロネーションは、腸脛靭帯炎、シンスプリントなどの原因となるため、それを防ぐためにシューズで足の動きをサポートしてきた。
ケガの原因がプロネーションにあれば、モーションコントロールで十分な対策となるが、それだけでは抑制できないケガもある。
別の解決策を探るために、アスリートの声を聞くという原点に立ち返り、ランナーへのリサーチから開発をスタート。リサーチとテストを繰り返して生まれたのが、ハイクッションで安定性が高く、ソール形状をロッキングチェアのような形状にしてスムーズな足運びを可能にした「ナイキ リアクト インフィニティ ラン」というわけだ。
そして、「ナイキ リアクト インフィニティ ラン」から得た知識をもとに、ケガ予防とランニングエコノミーの改善を目的に作られたのが、「ナイキ ズームエックス インヴィンシブル ラン」となる。
「インヴィンシブル」シリーズは、ケガ予防とランニングエコノミーの改善を目指して設計されている。ナイキ インヴィンシブル 3 22,000円
「インヴィンシブル」シリーズは、ケガ予防とランニングエコノミーの改善を目指して設計されている。ナイキ インヴィンシブル 3 22,000円

軽量性、サポート力、通気性をハイレベルで実現した新アッパー

「ナイキ インヴィンシブル 3」は、アッパーが刷新され多層構造に。軽量性、サポート力、通気性をハイレベルで備えることに成功したという。
「フライニットアッパーを進化させ、埋め込まれたフライワイヤー ケーブルと組み合わせることで、柔らかいソックスのような足あたりと高いサポート性を両立しています。今作のフライニットアッパーは多層構造になっており、半透明な素材感のトップレイヤーは、優れた通気性を確保しながら、高い耐久性を提供します。
ミッドレイヤーにはフライワイヤー ケーブルを挟み込み厚みのあるサポート性を実現。そしてベースレイヤーには柔らかい素材を使うことで、足あたりがよい快適な履き心地を提供します。
また、足が熱を持つ部分は通気性を重視し、足を固定する重要な部分はサポートを加えるなど、エリアごとに最適な調整がなされています」とEKIN(エキン/ナイキのプロダクトのテクノロジーやイノベーション、開発背景やストーリーを伝える担当者)の岡田晶典さん。
フライワイヤー ケーブルが埋め込まれた多層構造のアッパー
フライワイヤー ケーブルが埋め込まれた多層構造のアッパー
軽量で、強度が高く、柔軟性や耐久性にも優れている高密度強化ナイロンの繊維であるフライワイヤーケーブル。従来は、主にシューレースと連動する形で、シューズの中足部をサポートするテクノロジーとして利用されてきた。
そのフライワイヤーケーブルを、強靭なポリエステルの糸を編み上げて構成されているフライニットの間に埋め込み、アッパー全体に採用。既存のテクノロジーを新しいアプローチで活用したというわけだ。
「フライワイヤーケーブルを埋め込んだ仕様は、実はバスケットボールプレーヤーのルカ・ドンチッチ選手のシグネチャーモデル、LUKA 1(ルカ ワン)にも採用されています」
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