2017年7月に、カーボンプレートを搭載した厚底のランニングシューズをリリースしたナイキ。それまで薄底で軽量のランニングシューズが主流だったマラソンシーンは一変。現在はトップアスリートも厚底シューズでレースを走るのが当たり前になった。そして、ロードランニングの常識を覆した「ヴェイパーフライ」のコンセプトを踏襲したトレイルランニングシューズ「NIKE ULTRAFLY TRAIL(ナイキ ウルトラフライ トレイル)」が2023年後半にいよいよ登場するという。
「ナイキ ウルトラフライ トレイル」はどんなシューズなのか、ナイキのトレイルランニングシューズにはどんなラインナップがありどんなテクノロジーが詰まっているのか。ナ イキ トレイル ランニング フットウェア プロダクト ライン マネージャーのナターシャ・ルイス氏に話を聞いた。
ナイキのトレイルランニングシューズは、3つのサイロ(柱)に分けられている。速さや俊敏性をシューズに求めるランナーに向けた「ラピッド」。保護性と耐久性に優れ超長距離に対応できる「ラギッド」。そして、トレイルとロードを跨ぐ使い方ができるハイブリッドな「クロスオーバー」だ。ランナーは走る場所、走り方、目的に合わせて最適なシューズを選べるようになっている。
カーボンプレートを搭載した「ナイキ ウルトラフライ トレイル」
スピードを求めるランナーに向けた「ラピッド」のサイロから、来年後半に登場を予定している「ナイキ ウルトラフライ トレイル」は、カーボンプレートを搭載した要注目のモデルだ。「トレイルランナーたちと話をしていて、トレイルにもヴェイパーフライのようなシューズが欲しいという声があったのが開発のきっかけです。ヴェイパーフライのイノベーションを活用しながら、トレイル用にさまざまな調整を行っています。ヴェイパーフライと同じように、反発性とクッション性に優れ軽量なズームエックスフォームでカーボンファイバープレートをサンドしているので、大きなエネルギーリターンが得られます。
プレートは足の3/4をカバーする長さで、ズームエックス フォームは岩や木などから保護するために繊維のようなもので包んでいます。アッパーには、耐久性と軽量性を備えたヴェイパーウィーブを採用し、中足部には足を固定するためのフィットバンドを搭載しています」
ヴェイパーウィーブは「ナイキ ズ ームエックス ヴェイパーフライ ネクスト%」にも採用されていた素材。通気性やサポート力がありながら、水を吸収しにくい素材でもある。
「ナイキ ウルトラフライ トレイル」は発売前のモデルだが、既に一部のトレイルランナーたちにシーディングを行っており、着用したランナーたちが活躍している。たとえば今年6月に開催された全米最高峰のトレイルランニングレース、WESTERN STATES 100-MILE ENDURANCE RUNでは、2位、3位、4位の選手が着用していたという。
カーボンプレート搭載の厚底シューズが、トレイルでも大きな変化を生むのか。発売がとても楽しみである。
「ズームエックス フォームをSR02というフォームで包んでいます。ズームエックス フォーム特有の反発性、クッション性を感じながらも、耐久性、安定性に優れたツーリングになっています。アウトソールの前足部はアップヒルに、踵部はダウンヒルに対応できる仕様になっています。心地よいライド感があり、テクニカルなトレイルを走れるモデルです」
ロードモデルで言えば
「ナイキ ズームフライ 5」もズームエックス フォームをSR02フォームで包んだミッドソールが採用されている。この辺りからもロードとトレイルで上手くテクノロジーが共有されていることが窺える。