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2022.08.09

世界陸上でも力を証明。 ネクストレベルの厚底カーボン 「NIKE AIR ZOOM ALPHAFLY NEXT % 2」の実力

2017年7月にカーボンプレートを搭載した厚底のランニングシューズを初めて発売したナイキ。トップアスリートは薄底で軽量のランニングシューズを履くという常識をひっくり返した。以降、厚底×カーボンプレートの組み合わせはランニングシーンを席巻し、他社も追随している状況。そんなナイキがこの夏にリリースした最新モデルには、どんなテクノロジーが詰まっているのか。

アスリート、科学者、デザイナーたちが一丸となった「Breaking2」というチャレンジ

ナイキが従来の常識を覆し、マラソンシューズにイノベーションを起こしたのは今から5年前のこと。2017年5月6日にイタリアのモンツァ・サーキットで開催された「Breaking2」というチャレンジが、そのきっかけとなった。アスリート、科学者、デザイナーたちが一丸となり、42.195kmを2時間以内(当時の男子マラソンの世界記録は2時間2分57秒)で走り切ることを目指すというプロジェクトだ。このとき、「ナイキ ズーム ヴェイパーフライ エリート」という厚底カーボンシューズを着用したエリウド・キプチョゲ選手が、非公認ながら2時間0分25秒という驚異的な記録をマーク。キプチョゲ選手とともにシューズも注目を浴びることになった。
ナイキの厚底カーボンシューズとともに数々の記録を打ち立ててきたエリウド・キプチョゲ選手
ナイキの厚底カーボンシューズとともに数々の記録を打ち立ててきたエリウド・キプチョゲ選手

ナイキの厚底シューズがマラソン界を席巻

 以降、ナイキの厚底カーボンシューズは、着用アスリートとともに快進撃を続けていく。2018年9月のベルリンマラソンで、キプチョゲ選手が2時間1分39秒で世界記録を更新。さらにキプチョゲ選手は2019年10月にオーストリアのウィーンで開催された「イネオス 1:59 チャレンジ」で、非公認ながら1時間59分40秒をマーク。人類史上初めて42.195kmの2時間切りを達成した。
2018年2月に設楽悠太選手、2018年10月と2020年3月に大迫傑選手、そして2021年に鈴木健吾選手が男子マラソンの日本記録を更新しているが、いずれもナイキの厚底カーボンシューズを着用していた。また、日本の正月の風物詩である箱根駅伝でも、2020年が84.3%、2021年が95.7%、2022年が73.3%と圧倒的なシェアが続いている状況だ。

最高のランニングシューズがさらにアップデート

 そして今夏、「ナイキ エア ズーム アルファフライ ネクスト% 2」という新作ランニングシューズが登場した。初代「アルファフライ」が発表されたのは2020年2月なので、2年以上ぶりのアップデートだ。5月1日にブランド設立50周年を迎えたばかりのナイキにとっては、アニバーサリーイヤーを飾るニューシューズとも言える。
ナイキ ランニング フットウェア プロダクト マネージャーのエリオット・ヒュース氏曰く「『アルファフライ』をネクストレベルに引き上げており、すべてのランナーがパーソナルベスト更新を目指せるシューズ」だという。
 
前作からの最も大きなアップデートポイントはミッドソールだろう。「アルファフライ」の特長といえば、前足部に搭載された2つのズームエア ポッド。今作はそのズームエア ポッドの下にもフォーム素材が搭載される形になっている。そして踵部はワイドになり、安定性が高められている。
 
「ズームエックス フォームをズームエア ポッドの下にも搭載したこと、そしてシューズの安定性が増したことで、前作よりもスムーズな体重移動と足運びが可能になりました。汎用性も高まり、エリートアスリートだけでなく市民ランナーがパーソナルベストを目指す際にも履いてもらえるシューズに仕上がったと思っています」と、エリオット・ヒース氏は語る。
前足部のズームエア ポッドの下にもフォーム素材が搭載されている
前足部のズームエア ポッドの下にもフォーム素材が搭載されている
踵部分は前作よりもワイドになり安定性が向上した
踵部分は前作よりもワイドになり安定性が向上した
ズームエックス フォームとは反発性と軽量性に優れたミッドソール用のフォーム素材。今作では、ズームエックス フォームとズームエア ポッド、そしてカーボンプレートの三位一体感がより高まった印象だ。
 
「レイヤーが増えることによる難しさはありましたが、大きなエネルギーリターンを得ながら、スムーズな体重移動が可能なシューズに仕上がりました。また、前作は足音が大きいという声があったのですが、今作はその部分も改善されています」。
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