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2022.11.18

独自テクノロジーで他社と一線を画す走行感を実現! プーマの厚底シューズの実力とは

今春、30足限定で販売されたプーマの「FAST-R(ファストアール) ニトロ エリート」は、男子マラソンの元日本記録保持者である設楽悠太選手が着用したことで大きな話題になった。前後にセパレートされたミッドソールと、それをつなぐカーボンプレートが露出した構造は大胆かつユニークなもの。
また、東京五輪の女子マラソンで銅メダルを獲得したモリー・サイデル選手が着用していたのはプーマの「ディヴィエイト ニトロ エリート」だった。さらに、女性に特化した厚底シューズ「ラン ダブルエックス ニトロ ウィメンズ」は女性ランナーから支持を集めている。
独自路線を進み、コアなランナーの人気を獲得しているプーマのランニングシューズはどのように誕生し、どのような機能を備えているのか。プーマ ジャパン ランニングフットウェア商品企画担当の安藤悠哉さんに話を聞いた。

個性的な構造のトップレーシングシューズ「FAST-R」

 ミッドソールが前後に分割され、それを繋ぐ橋のようにカーボンプレートが露出した「FART-R」は、登場時に個性的なデザインが話題になったが、もちろん独自の構造が採用されたのには理由がある。
「FAST-Rは、とにかくトップランナーを満足させる推進力、反発力を実現することにフォーカスして開発されたシューズです。さまざまなテストを繰り返した結果、辿り着いたのがミッドソールを分割したこの構造です。ミッドソールは一体型であるのが一般的ですが、セパレートすることで、より中足部から前足部にかけて体重が乗りやすくなります。
また、FAST-Rに搭載されているパワープレートと呼ばれるプレートは、従来モデルに搭載されていたプレートよりも剛性が高いのですが、しなりを生みやすい傾斜と位置を計算して搭載しているので、より推進力が得やすくなっています」
FAST-R ニトロ エリート 27,500円
FAST-R ニトロ エリート 27,500円
ユニークな構造に目を奪われがちだが、ミッドソール前足部に採用されているフォーム素材にもプーマならではのテクノロジーが詰まっている。
「ミッドソール前足部に採用しているのは、NITRO ELITE FOAM(ニトロ エリート フォーム)という素材です。プーマの独自素材であるNITRO FOAMに、短距離スパイクのアウトソールにも使用されているPEBAX(ペバックス)という素材を組み合わせることで、さらにエネルギーリターンを高めることに成功しました。NITRO ELITE FOAMのエネルギーリターンは82.8%、クッション性、軽量性、耐久性にも優れた素材で、これがプロダクトのキーになっています」
NITRO FOAM およびNITRO ELITE FOAMは、高い反発性能が長く維持されるのも特長。50万回着地を繰り返しても高反発がキープされるというから、ざっくりとした計算でフルマラソンを10度走っても、機能が保たれるということ。これならば、出し惜しみすることなく、レースやスピード練習で活用できる。
ミッドソールがセパレートされた構造は、安定性に欠けるのではと思うかもしれない。しかし、実際に走ってみると、前足部の幅が広くアウトソールのグリップ力が高いからか、着地時に大きなブレを感じることはない。自然に前傾姿勢がとれ、前足部に乗りやすい感覚がある。踵着地をした場合も、シューズの持つポテンシャルは引き出し切れないとは思うが、走りにくい印象はなかった。
想像以上に安定性を感じ、走りやすいシューズだった
想像以上に安定性を感じ、走りやすいシューズだった
「アウトソールにはプーマグリップという名の素材を使っていますが、グリップ力はプーマが重要視しているポイントの一つです。スリップはスピードのロスやケガに繋がりますし、高いグリップ力はスピードの出しやすさに繋がります」
ミッドソールはセパレートされており、前足部にはNITRO ELITE FOAMが採用されている
ミッドソールはセパレートされており、前足部にはNITRO ELITE FOAMが採用されている
アウトソールのグリップ力の高さも「FAST-R」の特長
アウトソールのグリップ力の高さも「FAST-R」の特長
11月に開催された全日本大学駅伝では、FAST-Rを着用して区間賞を獲得した選手もいたので、安定供給されれば今後レースでFAST-Rを選ぶランナーが増えていくかもしれない。
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