経年変化による色褪せや生地のダメージ感がヴィンテージTシャツの魅力だが、コンディションやサイズを吟味していくと、自分にしっくりくるものはなかなか見つからない。
新品ゆえに、シルエットは現代的で、自分好みのサイズを選ぶことができる。そのうえ、フェード感のある色褪せやクッタリとした質感など、その風合いは本物のヴィンテージさながらだ。
その秘密を探るべく、デザイナーの後藤豊さんに話を聞いた。
PROFILE|プロフィール

後藤 豊(ごとう ゆたか)
レミレリーフデザイナー
愛知県出身。アメリカの某有名デニムブランドや国内のアパレル企業での企画職を経て独立。2008年に自身のブランド、レミレリーフをスタートさせた。
開発の始まりは、古着の色褪せの原理を知ることから
独自の製法でアメリカンヴィンテージを再現する日本ブランド、レミレリーフ。「SP加工T」はその代表作のひとつに数えられるアイテムだ。
ブランド名の由来は、「REMIX」=「工夫、創造」、「RELIFE」=「省く」を組み合わせた造語から開発のきっかけは、ビームスのバイヤーからの「本物の古着のようなスウェットが欲しい」というリクエストだった。後藤さんは古着の味わいを人工的に再現するために、色褪せのメカニズムを調べた。
「コットンの主成分は、セルロースという天然の繊維ですが、色をつけるための染料は人工的に作られた化学物質なので、両者をくっつけるには接着剤のようなものが必要です。
この接着剤の役割を果たすのがセルラーゼという酵素で、さらにフィクサーと呼ばれるアミノ酸ベースの糊のようなもので色を固定しています」