登山靴やワークブーツなど様々なシューズのソールに使用されてきたVibram(ヴィブラム)ソール。昨今では、ニューバランスなどスニーカーでもその実力を発揮し、採用されることがトレンドとなりつつある。今回は、ヴィブラムソールの最新モデルはもちろん、高品質のラバーソールメーカーと称される、ブランド独自の哲学とその高品質の理由を、ヴィブラム ジャパンの代表取締役である眞田くみ子さんに伺った。
「どのシューズを履いて、どこにいくのか」が原点
さまざまな靴のソールを作り、世界120か国以上の市場規模で展開するヴィブラム社。その歴史はひとりの登山家であったヴィターレ・ブラマーニ(Vitare Bramani)から始まった。ヴィブラム ジャパンの代表取締役で、イタリア本社でも働いた経験を持つ眞田くみ子さんは語る。「ヴィブラムソールは完成品ではなく、あくまでパーツなのでわかりづらい部分はありますよね。ただ、おかれた環境によって最大限のパフォーマンスを発揮するソールであることは間違いないです。イタリアのミラノで生まれた創業者のヴィターレ・ ブラマーニは15歳ぐらいのころにイタリア山岳会に入会するほど、山登りが大好きでした。
成人するとミラノの高級ブティックが立ち並ぶ、スピーガ通りに『ブラマーニスポーツ』という登山用品店を作って、登山ギアを売りながら暇を見つけては登山に明け暮れたそうです。ショップは登山家たちのたまり場になると同時に、ヴィターレは30代にしてイタリア登山業界の中心人物になっていきました。ヴィターレは、実はのちに試作品の開発協力を得ることになるイタリアのタイヤメーカー、ピレリ(Pirelli)ともこの高級ブティック街で出会ったといいます」。