その理由は内部に充填された「羽毛」にある。水鳥から採れた羽毛はふわふわの綿毛のような形状になっていて、大量の空気をため込むことができる。そして熱伝導率が低い空気が断熱材の役割を果たし、保温性を高めるのだ。
だが、そんなダウンジャケットにも、「水」という弱点がある。内部の羽毛が水にぬれてしまうと、空気をため込むことができなくなるため、保温性が低下してしまう。
PROFILE|プロフィール
千葉 弥生(ちば やよい)
株式会社ゴールドウイン ザ・ノース・フェイス パフォーマンスグループ マネージャー
趣味は登山で、今年の夏の休暇は、英国でロングトレイルを楽しんだ。
羽毛自体に撥水性を持たせるという画期的なアイディア
まずはウーゼル開発の経緯を教えてください。
アウトドアシーンでは、雨や雪、霧、汗などで、ダウンジャケットが水にぬれてしまうことがよくあります。実際にザ・ノース・フェイス アスリートたちからも、「ダウンジャケットの軽量コンパクト性は生かしたいが、湿ったときのロフト減をなんとかできないか?」という声をいただいていて、そのニーズに応えるために開発を始めました。モデル名はカリフォルニアのヨセミテ国立公園周辺に棲息する水鳥に由来した造語です。