最近では、至る所でSDGsという言葉を見聞きするようになり、人々の環境や社会問題への関心が高まっている。そのなかで、今回は「フェアトレード」と「エシカル消費」という概念に注目してみたい。これは、グローバル化や資本主義が加速していく現代において、単に貿易に留まらない社会問題に関わるテーマである。
今回、豊橋技術科学大学の畑山要介さんに、持続可能な社会の実現に向けた消費のあり方についてお話を伺った。
PROFILE|プロフィール

畑山要介
豊橋技術科学大学総合教育院准教授。2014年、早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。専門は社会学(社会学理論、経済社会学、文化社会学)。現代の消費社会とライフスタイルのあり方について研究する。著書に『倫理的市場の経済社会学――自生的秩序とフェアトレード』(2016年、学文社)。
畑山さんのこれまでの研究の概要やご関心を教えて下さい。
私の専門は社会学のなかでも、消費社会論になります。自由にもとづいた社会秩序の形成をテーマにしており、とくに個人の消費と持続可能な社会 の関係に注目しています。フェアトレードやエシカル消費を対象として、それらが実際にどのような形で現代社会に普及しつつあるのか、調査を交えながら研究しています。これまでの研究から、フェアトレードやエシカル消費は個人の自由の抑制ではなく、むしろ自由の追求という側面があるのではないかということが明らかになってきました。フェアトレードに携わる人々は、社会全体の共通の規範や目標のために自らを捧げているわけではなく、農家やメーカー、小売りや消費者などそれぞれに固有の合理性があり、その合理性が変容して結びつきあった結果として持続可能な流通が組織されてきたのです。
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