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どこからでも着られる「ぜんぶおもて」:親の"あると助かる"を実現したこども服ブランド

2025.04.04
ユニバーサルファッションとして注目を集める「アルトタスカル」は、子育て中の「あると助かる」を形にしたバリアフリー商品も取り扱うこども服ブランドだ。日常の子育てにおけるちいさな不都合を解決しつつかわいらしさも追求した独自のアプローチで、多くの子育て世代から支持を得ている。
今回はブランドを運営するchil2の参鍋さんとデザイナーの林さんに取材し、その開発背景と魅力に迫った。

手頃な価格と、絵本のようなネーミング

はじめに、「アルトタスカル」立ち上げの経緯をお聞かせください。
参鍋もともとオンラインでこども服を販売していたのですが、お客様には「ECでよく見かけるお店のひとつ」と認識されており、お店の名前もあまり知られていませんでした。
そこで、オリジナルブランドを作れば私たちのことをもっと知ってもらえるのではと考えたんです。
当時、デザインに特化したこども服ブランドはたくさんありましたが、機能に注目しているブランドはあまりありませんでした。
そうした背景をもとに立ち上げたのが、機能性に特化したこども服ブランド「アルトタスカル」です。
「ぜんぶおもて」「ひかるふく」など日々の子育てで役立つ服が多いですが、どうやってアイディアを生み出しているのでしょうか?
前・後・裏・表のどこからでも履ける「ぜんぶおもて」シリーズのパジャマ(税込1,760円)
林お客様からいただいたお声を参考にしています。すべてのお声に応えることは難しいですが、需要が多く、着手しやすいものからできるだけ実現するようにしています。
参鍋メンバーの実体験からアイディアを出すこともあります。メンバーの大半が子育て経験者なので、「こんな服があればうれしいよね」とそれぞれのアイディアを持ち寄っています。
商品を企画してから、世に出るまでの流れを教えてください。
参鍋デザインをもとに試作品を作り、実際にお子さんに着ていただいたり、保護者の方に着せてみてもらったりしてご意見をいただきます。
「ボタンが多い」「ここの生地が伸びてほしい」といった現場での感想を反映し、半年ほどで販売に至りますね。
わかりやすくユニークな商品名も印象的です。
林ネーミングには特にこだわっています。一目で読み方や意味がわかるだけでなく、子どもの絵本のタイトルのような親しみやすさを大切にしています。
こども服は価格も重要ですが、アルトタスカルの商品は求めやすい価格に設定されています。
参鍋価格は、弊社としてもとても頑張っているところです。
自社の他の商品と生地を共有したり、大量生産が得意な工場にお願いしたり、社内で協力しながら子育て世代にとって手に取りやすい値段を目指しています。

実体験をもとに生まれた子ども服

ここからは商品についてお聞きしていきます。まずは、どこから着ても表になる「ぜんぶおもて」です。
前・後・表・裏、どこからでも着られるこども服「ぜんぶおもて」半袖Tシャツ(税込1,280円)
参鍋お子さんは服を脱ぐときにひっくり返して脱ぐことが多いので、保護者の方が洗濯するたびにまたひっくり返して戻してあげないといけないんですね。
この手間をなんとかしたいと思い、まずひっくり返したままでも着られる「どっちもおもて」というこども服を作りました。
そうしたところ、ご購入いただいたお客様から「前と後ろもなくしてほしい」というお声をいただきました。それで生まれたのが「ぜんぶおもて」です。
開発で特に苦労した点はありますか?
林服の前と後ろは通常、布の形が違います。でも「ぜんぶおもて」を作るためには、前後を同じ形にしないといけません。
難しかったのが首元です。首をゆったり入れられて、前後ともにだらしなくならないデザインを実現するために、たくさんの試作を重ねました。
「ぜんぶおもて」はトップスだけでなくパンツもありますね。
前・後・表・裏、どこからでも履けるこども服「ぜんぶおもて」サルエルパンツ(税込1,980)
林パンツはトップスと違っておしりが後ろに飛び出しているので、前後同じ形にするのが非常に難しいんですね。
なので、あえてゆったりとしたシルエットのサルエルパンツやシェフパンツの形にすることで、「ぜんぶおもて」のパンツを実現しました。
アルトタスカルには「ちいさなふく」という、体重が軽く生まれた赤ちゃん用の服もあります。
軽い体重で生まれた赤ちゃん用に、40〜45cmの小さいサイズで作ったワンタッチテープ式コンビ肌着(税込1,480円)
林これは私の子育ての身をもった経験がもとになっています。私の長女は先天性遺伝子疾患により低体重で生まれた子で、生まれた当初、NICU(新生児集中治療室)とGCU(新生児回復治療室)に4ヶ月間入院していました。
入院中、毎日その病院に通っていたので、同じ状況の他の保護者の方とも顔見知りになりました。そこで「気軽に買えるちいさい赤ちゃん服がない」という話をよく耳にしました。
いまでこそ種類は増えましたが、その当時、低体重児向けの服はネットで探してもあまり種類がありませんでした。値段も高く、選択肢も限られていますがそこにあるものを買うしかありませんでした。
でも「かわいい服を着せてあげる」というのは、入院しているちいさな我が子に保護者がしてあげられる数少ない子育てのひとつで、サイズが合うかわいい服を選んであげたいと思う保護者も多かったと思います。
そのとき私は育休中だったのですが、社長に「低体重のちいさい赤ちゃんのための服を作りましょう」と提案し、生まれたのがプリミーサイズのコンビ肌着です。
のちに「アルトタスカル」というブランドを立ち上げたときにこれを「ちいさなふく」というネーミングで展開することになりました。
他にも、「おしゃれバリアフリー」という医療ケアが必要なお子さん向けの服もあります。
おしゃれバリアフリーコラボシリーズ(税込2,970円)
林こちらも私の実体験がもとになっています。長女には障害があり、私自身が日々子どもに家で医療ケアを行っています。
低体重児向けの服と同様に、バリアフリー子供服にもデザインが限られているという課題があります。
特に、子どもが好きなキャラクターもののバリアフリー子供服が当時は少なかったことを受け、人気キャラクターのデザインも企画しました。
それから「おしゃれバリアフリー」では、デザインや機能性だけでなく、耐久性も大事にしました。着用や洗濯を繰り返すことで伸びきるのを防ぐため、よく引っ張る箇所には内側にゴムを入れるなどの工夫をしています。

アルトタスカル服に頼って、子育てを楽しく

いままでお客様からいただいたお声の中で、特に印象に残っているものがあれば教えてください。
参鍋一番たくさんお声をいただくのは「おしゃれバリアフリー」です。
販売当初は似た商品が少なかったこともあり、ご購入時の備考欄に「こういうこども服を待っていました」「作ってくれてありがとうございます」といったメッセージを添えてくださる方が非常に多かったです。
林私と同じ悩みを持っている保護者の方が、「(医療ケアが必要な子どもや障害がある子どもを)見つけてくださってありがとうございます」とメッセージを添えてくださったことがあって、私にとってすごく励みになりました。
アルトタスカルの今後についてもお聞きしたいです。
林現在新たに企画しているのは、大きいサイズの食事エプロンです。食事エプロンは通常赤ちゃんや小さなお子さんが使うものなので、大きいサイズが少ないです。
しかし、障がいを持ったお子さんの中には大きくなってもエプロンが必要な子もいますし、毎日使うものなので洗い替えが沢山ほしいという保護者の方も少なくありません。
そうした声に応えるため、手頃な値段で好みの色を選べる食事エプロンをご提供したいと考えています。
最後に、子育てしている保護者の方々へのメッセージがあれば聞かせてください。
林子育てしていると、どれだけ子どもがかわいくても余裕がなくてイライラしてしまうことがあると思います。頑張りすぎて、逆に子どもにかける笑顔が少なくなってしまっている保護者の方も珍しくないと思います。
アルトタスカルは、そういう保護者の方々の気持ちを少しでも軽くして、親子で楽しむ時間を増やせたらと思っています。
さまざまな工夫が詰まったかわいいお洋服に頼ったりもしながら、楽しく子育てをしてもらえたら嬉しいです。

PROFILE

参鍋 開人(さんなべ かいと)

chil2(チルドレン通信)

PROFILE

林 真奈(はやし まな)

chil2(チルドレン通信)「アルトタスカル」担当デザイナー

Text by まいしろ

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