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毛穴の黒ずみはなぜ消えない? 花王ビオレが解明した「角栓の正体」と新洗浄技術

2026.06.03
毛穴の黒ずみや詰まり──。これほど多くの人が長年悩み続けている肌トラブルは、そう多くないだろう。数多くの毛穴ケア情報があふれるなか、花王のスキンケアブランド「ビオレ(Bioré)」が導き出した答えが、「角栓崩壊洗浄技術」だ。
2017年に初めて発表され話題を呼んだこの技術は、開発を重ねさらに進化。2026年4月に発売された「ビオレ おうちdeエステ ディープクレイ洗顔」では、毛穴の奥に潜む“隠れ角栓”まで自己崩壊させる新技術として搭載されている。
花王はいかにして角栓のメカニズムを解明し、この技術へとたどり着いたのか。開発の裏側とともに、ビオレが提唱する正しい毛穴ケアについて同社の谷さんと室井さんに話を聞いた。

PROFILE

谷将輝(たにまさき)

花王株式会社 スキンケア事業部

PROFILE

室井惟知(むろいゆいと)

花王株式会社 スキンビューティ第2研究所

毛穴の黒ずみ、その正体は“換気扇汚れ”のようなもの

毛穴悩みは年々増加傾向にある。マーケティングを担当する谷さんによると、その背景には気候変動やライフスタイルの変化があるという。
「地球温暖化、近年では“地球沸騰化”とも言われる気候の変化により、年々汗や皮脂が気になりやすい環境になっています。同時に、高耐水の日焼け止めや化粧下地の使用率が高まっていることも、毛穴悩み増加の一因だと考えています。
さらにSNSが生活の一部となり、高解像度のカメラで自分や他人の肌を見る機会が増えました。スキンケア情報に触れる機会も増えたことで、“毛穴の目立たない肌になりたい”というニーズが拡大しています。コロナ禍以降は素肌志向も高まり、肌への投資機会が増えていると感じます」(谷さん)
2025年の花王の調査では、「毛穴の汚れが気になる」と回答した人は75%にのぼり、毛穴対策を洗顔やメイク落としで行っている人は、2018年比で約1.5倍にまで増加しているという。
しかしその一方で、毛穴対策への満足度は23%にとどまる。ピーリングなどを行っても黒ずみが根本的に解決しないという声が多いなか、花王は“黒ずみの正体”の解明に乗り出した。
約8万2,000個の黒ずみ毛穴を解析した結果について、室井さんはこう語る。
「黒ずみ毛穴が黒く見える理由としては、凹凸による影や色素沈着、産毛といったさまざまな要因が知られていましたが、どれが主因かは分かっていませんでした。解析の結果、黒ずみ面積の8割以上を『角栓』が占めていることが分かりました。つまり、黒ずみの主な原因は角栓だったのです」(室井さん)
では、なぜ角栓はここまで落としにくいのか。
「角栓は、バターのような固体の皮脂と、角層由来のタンパク質が交互に折り重なった非常に複雑な構造をしています。イメージとしては、換気扇の油汚れにホコリが絡みついたような状態です。この構造のため、一般的な洗顔料ではほとんど落とすことができません」(室井さん)

画期的発見「角栓崩壊洗浄技術」と新たな課題

この強固な角栓に対し、花王が見出したのが「トロメタミン」という成分だった。
「トロメタミンは、角栓に含まれる固体の皮脂に作用し、水となじみやすい状態へ変化させます。その結果、角栓は周囲の水を取り込みながら自ら崩れていきます。これが『角栓崩壊洗浄技術』です。
強い洗浄力をイメージされがちですが、角層の保湿機能を損なわずに洗顔できるというデータも得られています」(室井さん)
いわゆる酵素洗顔の多くはタンパク質にアプローチするのに対し、トロメタミンは頑固な固体の皮脂に作用する。にもかかわらず、肌の保湿機能を損なわないとはなんとも画期的な技術である。
この技術は2017年発売の製品に搭載され、「ザラつきがなくなった」「ツルツルになる」といった反響を呼んだ。
一方で、新たな課題も浮かび上がった。
「深い毛穴悩みを持つ方からは、『毛穴の奥の黒ずみまでは落ちない』という声がありました。調べてみると、角栓の大部分は毛穴の奥にあり、表面に出ているのは一部だけ。従来技術では、トロメタミンが毛穴の奥まで作用し難いことがわかったのです」(室井さん)
洗浄力と肌へのやさしさを両立しながら、いかに毛穴の奥までトロメタミンを届けるか──開発は難航した。

「奥まで届く」新角栓崩壊洗浄技術

数々の試行錯誤の末、ついに研究チームがたどり着いたのが、「ミクロパウダー」と「トロメタミン」の組み合わせだ。
「数十ミクロンという非常に細かいミクロパウダーと組み合わせることで、毛穴の奥の隠れ角栓までアプローチできるようになりました。
まずトロメタミンが角栓の表面をほぐし、ほぐれた角栓がミクロパウダーに吸着することで毛穴の外へ運び出されます。この流れによってトロメタミンがさらに毛穴の奥へと入り込み、隠れ角栓まで自己崩壊させることが可能になりました」(室井さん)
この技術は、2026年4月に発売された新製品「おうちdeエステ ディープクレイ洗顔」に採用されている。
ミクロパウダーにはカオリン、コーンスターチ、セルロースなどが用いられている。これらはメイクアップ製品では一般的な成分だが、トロメタミンと組み合わせて洗顔料に用いるのは新しい試みだった。
「ミクロパウダーの取り扱いは非常に難しく、ただ入れるだけでは片栗粉や小麦粉のようにダマになってしまいます。すると、手に伸ばしたときにザラつきとして物理刺激を感じてしまうため、きれいに分散させる必要があります。成分のバランスや製造工程を調整し、ザラつきのない、なめらかな感触になるまでは非常に苦労しました。
この独特の質感と密着性を生かし、『おうちdeエステ ディープクレイ洗顔』は1分ほど肌にのせる“パック使い”もおすすめしています」(室井さん)

ビオレが提唱する正しい毛穴ケア

進化した角栓崩壊洗浄技術を搭載した「おうちdeエステ ディープクレイ洗顔」は、発売直後から大きな反響を呼んだ。
「一部オンラインショップにて先行販売をしておりましたが、発売初日の在庫が数時間で完売。先行発売期間の出荷は当初計画の約16倍を記録いたしました。Amazonの売れ筋ランキングでは、洗顔部門だけでなく、ビューティーカテゴリー全体でも1位を獲得しています(2026年3月16日時点)。口コミやSNSでは、『黒ずみ汚れ落ちの実感がある』『洗い上がりの肌がツルツルになった』と、効果を実感いただけている声が多くございます」(谷さん)
SNSなどでは都市伝説のようにあらゆる毛穴ケア情報が飛び交っているが、どのようなケアが正解なのだろうか。
「正しいケアとしては、まずは一日2回の洗顔をおすすめしています。寝ているあいだも皮脂は分泌されますので、朝も洗顔料を使って落とすことが大切です。ただ肌質は個人差があるため、朝洗顔をすると肌の乾燥がひどくなると感じたら回数を調整するなど、ご自身の肌と対話をしながらスキンケアをするのがよいと思います。
またトロメタミンはメイク汚れがある部分には効果を発揮しにくいため、必ずメイクをきちんとオフしてから使用することが大切です」(室井さん)
「我々がモノづくりにおいて大切にしていることは、商品体験を通してわかる確かな効果実感を届けることです。肌悩みには毛穴以外にもさまざまなものがありますので、お客様からのお声を今後のものづくりにもしっかりと反映していきたいと考えています」(谷さん)
毛穴の奥に隠れた角栓をも崩壊させる新しい技術が採用された「おうちdeエステ ディープクレイ洗顔」。長年解決しなかった黒ずみの根本原因にアプローチでき、肌へのマイルド性も叶えたこの製品は、多くの消費者の肌に光をもたらすだろう。

Text by 継田 理恵(美容家/ライター)

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