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“炭酸美容は効く”を科学する──花王の炭酸研究とSOFINA iPが提案するスキンケア

2026.05.18
長年の皮膚科学研究に基づき、花王は、炭酸ガスが表皮細胞のミトコンドリア代謝機能を活性化させるメカニズムを、ヒトの肌において新たに確認した。これまで経験的に語られてきた炭酸美容の効果が、科学的エビデンスによって裏付けられた形だ。
一方で、こうした皮膚科学研究を背景に商品提案を行っているのが、花王のスキンケアブランド「SOFINA iP」である。今回は、SOFINAブランドPRの村上由佳さんと、研究に携わる園田純子さんと高野圭さんに取材を行った。
40年以上にわたる角層研究の歴史や、炭酸洗顔料のマイクロ泡技術、ヒト肌におけるミトコンドリア代謝機能活性化のメカニズムに迫る。

PROFILE

村上 由佳(むらかみ ゆか)

SOFINA ブランドPR
美容部員、美容セミナー講師を経て、2021年よりSOFINAブランドPRを担当。皮膚科学に基づいたSOFINA商品の魅力を紹介する。

PROFILE

園田 純子(そのだ じゅんこ)

花王スキンビューティ研究所
入社以来、洗顔料の開発に携わる。2018年より炭酸製剤の開発を担当。泡研究が専門分野であり、特に泡にこだわった製品の開発を得意とする。

PROFILE

高野 圭(たかの けい)

花王スキンビューティ研究所 博士(医学)
入社以来、化粧品開発のための皮膚科学研究に従事。2022年より炭酸製剤開発チームの一員に。化粧品素材などの作用メカニズム解析を得意とし、不慣れな配合にも目下奮闘中。

炭酸による血流促進の効果を科学で証明

最初に、花王スキンビューティ研究所で炭酸製剤開発に携わっている高野さんに、最新の炭酸研究の成果を伺った。
炭酸美容について伺います。炭酸ガスが血流を促進することは広く知られていますが、それが肌改善にどう繋がるのでしょうか。
高野炭酸製剤を肌に塗布することで、角層水分量の増加や肌荒れの改善、さらにはニキビの軽減といった多様な効果を確認してきました。ですが、その根底にあるメカニズム、特に「血流促進が、なぜ肌の状態を改善するのか」という問いに対する科学的なエビデンスは、実は世界中のどこにも存在していなかったのです。
そこで、ある仮説を立てました。血流が促進されると、表皮細胞に酸素や栄養が供給され、それによって細胞内のエネルギー産生工場である「ミトコンドリア」が活性化し、細胞一つひとつが元気な状態になる。その結果として、肌全体の改善に繋がるのではないか、と。それを実証するため、研究を重ねてきました。
ブラックボックスだった血行促進と肌改善の繋がりが明らかに
ヒトの肌でミトコンドリアの活性化を証明するのは、技術的に非常に困難だったのではないでしょうか。
高野たとえば、従来の評価法として、皮膚組織を採取し、すり潰して遺伝子やタンパク質を分析する手段が挙げられます。ですが、これは侵襲性が高く、何より採取から分析までのタイムラグによって、リアルタイムの変化を捉えることができません。
そこで私たちは、ミトコンドリアがエネルギーを産生する過程で働く「NADH」や「FAD」といった補酵素が、自ら蛍光を発する性質を持つことに着目しました。この「自家蛍光」を計測することで、ヒトの肌でも非侵襲的に仮説を検証できると考えたのです。
それをどのように実現したのですか。
高野ヒトの細胞や組織を生きたまま観察する手法であるライブイメージング技術を応用することにより、ヒトの肌で表皮細胞のミトコンドリア代謝状態を高速リアルタイムに可視化する新たな手法を確立しました。
この評価技術を用いて、炭酸ガスを配合した製剤と、配合しない製剤をそれぞれ肌に塗布し、ミトコンドリア代謝の活性化状態を比較しました。その結果、炭酸ガス配合製剤を塗布した肌では、明らかにミトコンドリア代謝機能が高まっている様子を捉えることに成功しました。
ヒトの肌の表皮細胞におけるミトコンドリア代謝機能の変化
これにより、血流促進と肌改善の因果関係の一端が、科学的に証明されました。細胞がエネルギーを得て活性化することは、私たちがこれまでに明らかにしてきた炭酸の肌への効果であるターンオーバーの正常化や、紫外線による炎症の抑制などにも繋がるのではないかと考えています。
その効果の鍵を握るのが、「炭酸ガス100%」の噴射剤なのですね。
園田はい。市場にはLPG(液化石油ガス)などを混合した製品も存在しますが、私たちは炭酸ガス100%にこだわっています。
弊社の研究で、炭酸ガスの濃度と血流促進効果には明確な相関関係があることがわかっているからです。肌への効果を最大化するために、技術的な難易度は高いですが、この処方を貫いています。

40年以上積み重ねてきた角層研究

ここからは、花王の皮膚科学研究を背景に商品提案を行っている花王のスキンケアブランド「SOFINA iP」について、SOFINAブランドPRの村上さんにお話を伺っていく。
「SOFINA iP」のコンセプトと角層研究の背景についてお聞かせください。
村上私たちの原点は1982年に誕生したスキンケアブランド「SOFINA」にあります。当時、見た目を良くするだけでなく、皮膚そのものを美しくして差し上げたい。手ごろで科学的根拠のある化粧品で多くの方を美しくして差し上げたい。そんな純粋な想いから、それまでの化粧品原料開発の知見を生かして誕生しました。
その原点に立ち返り、皮膚科学の知見に基づいた商品を多くのお客様に届けたいという想いから、2015年に誕生したのが「SOFINA iP」です。2023年には「素肌に、科学をインストールする。」というコンセプトでリブランディングを行いました。
現在は、ブランドの象徴である「土台美容液」をはじめとした100%炭酸ガスの噴射剤技術を応用したスキンケア商品と、角層細胞そのものの水分保持機能に着目したスキンケア商品という、2つの皮膚科学的基盤を軸に商品を展開しています。
研究成果は製品へと落とし込まれる。炭酸泡によるピーリングができる「水光ピーリング泡セラム」も登場
ブランドの根幹には、長年にわたる角層研究があるのですね。そもそも、なぜ角層がそれほど重要なのでしょうか。
村上角層は、厚さわずか0.02ミリメートルほどの、皮膚の最外層に位置する組織です。外部の刺激から身体を守るバリア機能という重要な役割を担うと同時に、人の目で見たときの「肌の美しさ」を決定づける役割も備えていると、私たちは考えています。
そのため、私たちの研究所では長きにわたり角層研究を深めてきました。単に成分を起点とするのではなく、生きている肌そのものを起点として商品を開発する上で、角層への深い理解は不可欠なアプローチになります。
その角層研究の歴史は、具体的にいつ頃から始まったのでしょうか。
村上1960年代に角層が肌を乾燥から守ることがわかり、1970年代には角層細胞と細胞間脂質から成る構造が明らかになりました。弊社では1976年に研究室が設立され、そこからセラミドの研究が始まりました。
1980年代から1990年代にかけて、弊社はケラチンの保水機能とセラミドの保湿機能という、現在のスキンケアの根幹をなす2つの大きな発見を成し遂げました。
40年以上にわたり、この角層のサイエンスを追求し続けてきた歴史が、私たちの基盤となっています。

洗浄力と保湿を両立するマイクロ泡の秘密

この研究成果が反映されている泡洗顔料「マイクロ泡セラム洗顔料」ですが、洗浄力と保湿という相反する機能の両立は難しかったのではないでしょうか。
花王の技術が結晶された「マイクロ泡セラム洗顔料」
園田リニューアル前の製品は、「角層ベール処方」を採用していましたが、その保湿成分の特性上、一部のお客様から「ぬるつきが残る」「すっきり感が弱い」というご意見をいただいていました。
そこで、今回の新処方では、うるおいを与える効果は維持しながら、ぬるつき感を軽減するというバランス調整に注力しました。興味深いことに、洗浄成分の量は従来品よりも低減しているにもかかわらず、従来品と比較しても同等レベルの洗浄効果を発揮しています。その秘訣が「泡の質」になります。
泡の質、ですか。
園田はい。泡は小さければ小さいほど、内部の圧力が高いという特徴があります。それにより、泡が圧壊したときに、高濃度の炭酸ガスが液中に放出されます。また、きめ細かい泡は表面積が大きくなるため、外部へ溶け出す炭酸ガスの量も増加します。
このきめ細かい泡が毛穴のすみずみまで入り込み、汚れをやさしく洗い上げます。これにより、洗浄成分を増やさずとも、高い洗浄力と心地よい洗い上がりの両立が達成できたものと考えます。洗浄力と肌への負担軽減という課題を、技術で乗り越えた好例になります。

炭酸100%にこだわるSOFINA iPの展望

毛穴の約20分の1のサイズの炭酸泡美容液「ベースケア セラム <土台美容液®>」
最後に、今回の研究成果を踏まえ、SOFINA iPは今後どのように進化していくのでしょうか。
村上私たちは今後も、特定の成分の流行を追うのではなく、肌構造そのものをとらえてアプローチするサイエンスブランドとしての独自性をさらに強化していきます。この緻密な科学的アプローチは、国内はもちろん、海外のお客様にも価値を認めていただけると確信しており、今後、世界に向けて私たちの技術と製品を届けていきたいと考えています。

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