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クラークス オリジナルズの「デザートブーツ」がカジュアルシューズの代名詞といわれる理由

2025.02.05
革靴を履きたいけど、履き心地はスニーカー並みに快適で、着る服を選ばないものがいい。そんなニーズに応えてくれるのが、「Clarks Originals(クラークス オリジナルズ)」のデザートブーツだ。
1950年に産声を上げたこのブーツのウリは、しなやかなスエードアッパーと天然ゴムのクレープソールが生み出す快適な履き心地と、幅広い着こなしにマッチするシンプルなデザインにある。
今回はカジュアルシューズの代名詞となったデザートブーツの軌跡を辿ろう。

シープスキン製のスリッパがものづくりのルーツ

まずはClarksというシューメーカーについて。
今からさかのぼること200年。1825年、英国南西部サマセット州の小さな町・ストリートに、サイラス・クラーク氏とジェームス・クラーク氏の兄弟が会社を設立した。
販売していたシープスキンのラグで余った切れ端を使用し、彼らが発案したのはボア付きのシープスキンを使ったスリッパ。街の靴職人に頼んで縫製したスリッパは快適な履き心地が大評判となった。
そこで兄弟はClarksの母体となるC&Jクラーク社を設立した。

アメリカを経て英国へ。逆輸入的に大ヒットを記録

デザートブーツが誕生したのは1950年のことだ。
第2次世界大戦中、英国陸軍の兵士としてミャンマーに駐屯していた4代目社長のネーサン・クラーク氏(以下、ネーサン氏)が、現地で目にしたブーツからひらめいたという。カイロのバザールで作られたそのブーツは、ソフトなレザーアッパーと天然ゴムのソールを組み合わせたものだった。戦後、本国に戻った彼は、その靴の商品化を試みた。
ところが、社内では「こんな風変わりな靴が売れるはずがない」と商品化に反対する声が多かった。そこでネーサン氏は一計を案じ、アメリカの展示会に出展することに。このことがデザートブーツの運命を変えた。
展示会で『Esquire(エスクァイア)』誌の編集者の目に留まると、カラー写真付きで誌面に紹介され、アメリカで大ヒットを記録した。
このことがきっかけで、本国での人気が一気に高まり、’60年代にはモッズたちの間で流行。
人気は日本でも絶大だった。
正式な上陸年は1971年とされているが、’60年代のアイビーブームの頃にはすでに知られていた。その後も、’80年代のフレンチアイビー、’90年代のイタリアンクラシックのブーム時にも、トレンドを超えた定番靴であり続けた。
パーツ数が少ないシンプルなデザインはトレンドに左右されることもなく、かつスーツからジーンズまで文字通り合わせる着こなしを選ばなかった。

Clarks Originalsというブランドが生まれた経緯

現在、デザートブーツはClarksではなく「Clarks Originals」で展開されている。このブランドが誕生したのは’90年代に東京やニューヨークで「ワラビー」がブレイクしたことがきっかけだ。
現行のワラビー
ワラビーを好んで履いたのは、今までのClarksファンとは異なるストリートファッションを愛する若者たちだったため、既存顧客向けブランドと分けてこのブランド名がつけられた。Clarks Originalsでは、ワラビーやデザートブーツといったアイコン的なモデルやアーカイブからインスパイアされた復刻モデルがラインナップされている。
ちなみにClarks Originalsは日本での人気がとりわけ高く、コンセプトストアがあるのも日本だけ。東京と大阪にある店舗で靴を買うと、もう一枚好きな色のフォブ(レザータグ)がもらえる。

快適な秘密はアッパーとソールにあり

「メンズ デザート ブーツ」 25,300円(税込)
それでは、素材やディテールを見ていこう。
デザートブーツの最大の特徴といえば、アッパーのレザーとクレープソールだ。
アッパーには、英国のチャールズ・F・ステッド社のレザーが使用されている。
同社は1904年にヨークシャー州で創業以降、英国伝統のなめし技術を守り続け、名だたる高級靴ブランドにレザーを供給してきた名門タンナー。
特にスエードのクオリティに定評があり、デザートブーツには、発売当時から同社のスエードが使われてきた。肌なじみのいいしなやかさを保つスエードは、上品な毛並みや丈夫で味わい深い経年変化も魅力だ。
クッション性やグリップ力の高さはクレープソールの賜物だ。
ゴムの木から採取された天然の樹液を長期間熟成させ、密度が高められたラバー製のソールはもっちりとした独特のクッション性に加え、地面をしっかり掴むグリップ力を発揮する。
アッパーの端を外側に吊り込み、アウトソールとインソールに縫い付けるステッチダウン製法を採用。砂が入りにくくなるといわれ、ソールの返りがよく、歩きやすさも向上する。
ちなみに、砂漠でも砂が入りにくい点が「デザートブーツ」という名の由来になったともいわれている。

誕生75周年を記念したスペシャルエディションが登場

そんなデザートブーツにはさまざまな派生モデルが存在するが、今買うなら75周年記念モデル「デザートブーツ ウルフスエード」が狙い目だ。
「デザートブーツ ウルフスエード」 25,300円(税込)
誕生75周年を記念して作られたモデルの見どころは、オリジナルを再現したクラシックなカラーリングにあり、このウルフスエードのカラーはクラークスのエクスクルーシブカラーとなっている。
アッパーには発売当時のカタログにも見られる粗目のスエードを使用。深みのある色合いやザラッとした風合いが特徴だ。さらにシューレースやステッチの色もオリジナルをイメージしたダークチョコレートカラーにアレンジされている。
ほかにもブランドロゴがメタリックカラーでエンボス加工され、タンラベルがアニバーサリーモデルであることを示す特別仕様となっている。すでにデザートブーツを持っていても、思わず所有欲がそそられる一足だ。
1950年代の靴といえば、ドレスシューズと労働者のワークシューズくらいしか存在しなかった。そんな時代に生まれたデザートブーツは、カジュアルシューズという概念を新たに生み出した。
そう、誕生以来、ほとんど姿を変えていないこのブーツは、現代のカジュアルシューズの祖先というべき存在なのだ。
履き心地はスニーカー並みに快適。そしてシンプルなデザインは革靴のように品がよく、幅広いスタイリングにマッチする。これまでも、これからも、足元のワードローブにデザートブーツは欠かせない存在だ。

Text by Ryota Osujo

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