

「ミタスニーカーズ」のディレクターである国井栄之さんが、毎週、独自の視点で気になるスニーカーをピックアップして率直な主観で語る動画「国井栄之のKICKS OF THE WEEK」との連動企画。
第13回は、シープスキンブーツで有名な「UGG(アグ)」がこれまでの常識にとらわれず、伝統と新しいアプローチを融合させたことで誕生した「M JLD BOOT(M JLDブーツ)」を紹介。今回、なぜこのキックスを選んだのか、そしてこのモデルの魅力を国井さん本人に聞いた。
「UGG」の商標を売却するときのユニークなエピソード
シープスキンブーツが代名詞だが、最近はスニーカーも支持を得ている「UGG」。ブランドの成り立ちについて国井さんはこう語る。「オーストラリア生まれのシェーン・ステッドマン氏が、海から上がったサーファーたちの足元が冷えるのを防ぐために、シープスキンブーツを考案したのが始まりです。
その後、オーストラリア人のサーファーであったブライアン・スミス氏がオーストラリア製のシープスキンブーツをアメリカに持ち込み、フットウエアメーカーである『UGGオーストラリア』を立ち上げました。
現在は『デッカーズ・アウトドア・コーポレーション』というアメリカの会社が商標を買い取っていますが、その商標を譲渡する条件が面白くて。


ブーツの考案者であるシェーン・ステッドマン氏は、譲渡金とともに生涯にわたり『UGG』のブーツを年3足もらうことを条件に、オーストラリアでの『UGG』の商標を『デッカーズ・アウトドア・コーポレーション』に売却したそうです」
一生涯にわたり、年3足の「UGG」のブーツをもらうというのは、なんともサーファーらしくピースな条件であった。
共同で開発したイノベーションをシェアする
今回紹介する「M JLDブーツ」。国井さんが、現在「デッカーズ・アウトドア・コーポレーション」が商標を持っていると説明したのには理由がある。その理由についてこう説明してくれた。「このブーツは、『HOKA(ホカ)』の共同創業者であるジャン・リュック・ディアード氏が開発したブーツです。

なぜ、ここに『HOKA』が出てくるのかというと、アメリカで『UGG』をはじめ『HOKA』や『Teva(テバ)』を販売しているのが、件の『デッカーズ・アウトドア・コーポレーション』だからです。
最近『デッカーズ・アウトドア・コーポレーション』が、取扱ブランドのテクノロジーなどを研究し、活性化させるためのイノベーションセンターを立ち上げました。そのセンター長を務めるのが、ジャン・リュック・ディアード氏なのです。

だから今回の『M JLDブーツ』も、『UGG』のクラシックなブーツに、現在考えうるイノベーションを注入したらどうなるかを実験的に行ったプロジェクトから誕生したのです」
今回のモデルにはどんなイノベーションが注入されているのだろうか。それに関しても国井さんはこう続ける。
「ソールユニットに入っているフォームもイノベーションセンターで開発されたもので、軽量性、衝撃吸収性、反発性に優れ、足裏の動きに合わせてサポートする超臨海発泡素材のスーパークリティカルフォームを採用しています。

さらに高い推進力と安定性をもたらす「Pebax®」プレートに加え、アウトソールには柔軟性がありながら、ぬれた路面でも確かなグリップ力を発揮する「Vibram® XS TREK EVO」を搭載しているのです。

いろいろなブランドを持っているので、多種多様なイノベーションを注入するノウハウがあり、さまざまな素材やテクノロジーなどを商品に投入できるのは強みですよね」
今作に注入された革新的なイノベーションは、旬のフットウエアブランドが揃っているからこそ成し得たものといえるだろう。
これまでのイメージを一変させる履き心地
このモデルの魅力を国井さんはどう感じているのだろうか。その部分についても国井さんはこう答えてくれた。「上質な素材はもちろんですが、アッパーのフィット感を調節する部分が着脱可能になっているので、外して履くとアイコニックな『UGG』っぽさも強調できます。

この着脱できるパーツは今後のモデルにも登場してくると思います。この『M JLDブーツ』が第1弾なので、これからどういった進化を遂げるか楽しみな部分ですね」
また履き心地についても国井さんはこう続ける。
「以前、個人的にも親交の深いドメスティックブランドの『WHIZLIMITED(ウィズリミテッド)』とともに、『UGG』のコラボモデルを作らせていただいたときも、クラシックなモデルのブーツにジップをつけたり、スニーカーのソールユニットを融合させたものをリリースしたのですが、その時からまたクッション性などもアップデートしているので、履き心地はお墨付きです。
『M JLDブーツ』は個人的にもお気に入りで、自分が履くときはパーツを外してリラックス感を高めて履くことが多いです。ただ『UGG』には見えないらしく、履いていると“それどこのブランド?”と聞かれることも多いので、また新たな『UGG』の一面が見られると思いますよ」
国井さんもお気に入りという「UGG」の「M JLDブーツ」。履いてみるとブランドのイメージを変えるほどのインパクトがあるので、ぜひ試してみてはいかがだろうか。
PROFILE
国井 栄之(くにい しげゆき)
mita sneakers ディレクター
東京の下町である上野から世界へ向けて独自のスニーカースタイルを提案するmita sneakersでディレクターを務める。数多くのブランドとのコラボモデルや別注モデルを手掛け、その手腕を発揮。現在は虎ノ門ヒルズにオープンしたショップ「Herringbone Footwear(ヘリンボーン フットウェア)」の外部ディレクターも務める。世界的プロジェクトから国内インラインのディレクションまで多岐にわたり、スニーカープロジェクトに携わるスニーカー業界の最重要人物。

mita sneakers
東京都台東区上野4-7-8 アメ横センタービル1F路面店TEL:03-3832-8346 営業時間(平日)11:00~19:30、(土日・祝日)10:00~19:30
Photo by Hiroyuki“Lily”Suzuki(StudioLog)
Text by Yasuyuki Ushijima(NO-TECH)
Original Movie



















