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「石けんオフメイクで肌がくすむ」は嘘?本当? オーガニックコスメの第一人者が教える新常識

2025.08.20
近年「石けんオフメイク」というワードが広く認知され、これまで一般的なメイクを使っていた人も、ナチュラルオーガニックメイクに関心を持つようになっている。そんななか、「石けんオフメイクは本当にクレンジングがいらないのか」「石けんオフメイクだと肌がくすむ気がする」といった、疑問や懸念も絶えないようだ。
そこで、日本におけるナチュラルオーガニックコスメの第一人者として知られる小松和子さんを取材し、「石けんオフメイク」の真髄とメイクのコツについて聞いた。

PROFILE

小松 和子(こまつ かずこ)

一般社団法人ナチュラルライフ&ビューティーアソシエ―ション代表理事

Naturalcosme Creative Directer、makeup artist

オーガニックコスメ業界の第一人者。多くの著名人、作品を手掛けるヘアメイクアップアーティストとして活躍する中、自身の化学物質過敏症をきっかけに、肌と化粧品に関する知識を学び、2008年からオーガニック・ナチュラルコスメプロデューサーとして転身。化粧品開発、講演、セミナー、企業研修、展示会プロデュース、イベント、店舗プロデュースなどを行っている。また、日本で最大のオーガニックの展示会コスメゾーンも監修。

ケミカルからオーガニック、そして石けんオフメイクへ

メイクアップアーティストとして長い経歴を持つ小松さん。かつては映画やドラマのヘアメイクを多数手がける老舗「山田かつら」に所属後、26歳からフリーとして活動。20年にわたり撮影業界の第一線で活動してきた。
「当時は、大手化粧品ブランドの“ケミカルコスメ”を使うのが当たり前でした。しかし30歳を過ぎたころから、原因不明の体調不良に悩まされるようになります。特に手の甲がみみず腫れになるほどかぶれる症状に悩まされましたが、当時はまさか化粧品が原因とは思い至りませんでした。
そんなある日、知人からお土産にもらったヨーロッパのオーガニックコスメを使ってみると、肌にしみたり痒くなったりしないことに衝撃を受け、これが大きなきっかけとなりました。以来、認証の有無だけでなく、不要な成分を含まず自然素材を生かしたコスメ全般へと探求を重ねていきます。メーカーと直接対話するうちに、『もっと使いやすく、心から満足できるものが欲しい』という想いが募っていきました」
2008年、小松さんはナチュラルオーガニックコスメ業界へ完全に軸足を移した。しかし、その決断に至るまでには2年もの葛藤があった。
「20年間情熱を注いできた撮影の仕事は、著名な作品や素晴らしい俳優陣に恵まれた充実した環境でした。キャリアを手放すことに悩むなか、ある俳優からかけられた『あなたのメイクが一番よかった』という言葉に背中を押され、『もうやりきった』と次の一歩を踏み出す覚悟ができたのです。
新たな道に進むにあたってリサーチをすると、ナチュラルオーガニックコスメを専門とするヘアメイクはまだ誰もいないニッチな分野でした。そこでまず一般向けのメイクレッスンを始めたところ、かつての自分と同じようにアレルギーや化学物質過敏症で悩む人がいかに多いかを知り、その大きな需要を確信します。このメイクレッスンは現在も継続して取り組んでいます。
メイクレッスンを通じて探求を重ねるうち、『もっと使いやすく、心から美しくなれるオーガニックコスメを作りたい』という想いは一層強くなりました。
まずは国内のナチュラルオーガニックコスメブランド数社に、顧問やスーパーバイザーとして参画。撮影業界で培った人脈を生かして現場のヘアメイクに製品を紹介すると、俳優がプライベートで愛用したり、ブランドのイメージモデルに起用されたりと、確かな広がりが生まれていきました」

肌を左右する「石けんオフメイク」のすすめ

まるで、つけていることを忘れてしまう、肌が潤う美容成分たっぷりの大人BB。「スムースナチュラルファンデーション」5,610円(税別)
小松さんは、もっとも肌に差がつくのはメイクを落とすステップだと話す。
「洗浄力が強すぎると肌負担になるのは明らか。肌負担の少ないメイクオフをするには、メイク自体もオフしやすいものがよいと考えています。
レッスンで『何から変えたらいいですか?』と聞かれると、私はいつもファンデーションと日焼け止めから変えることをおすすめしています。
私自身も石けんオフに変えてから肌の乾燥が驚くほどよくなり、これは肌本来の力が引き出された結果だと考えています」
石けんオフメイクに対して「実際はきれいにオフできない」という声も聞かれるが、このような場合、適切に落とすコツはあるのだろうか。
「石けんオフメイクなのにきれいにオフできないと感じる場合、洗顔前の肌がごわついていたり、乾燥していたりすることが多いように感じます。石鹸洗顔する前に、事前にぬるま湯でプレ洗いして、肌を温めて柔軟にしておいてから洗顔をすると、メイクがオフしやすくなります。
石けんの使い勝手がよくないと感じる方や、とくに肌が弱い方は、毛穴に詰まりにくいアルガンオイルやスクワラン、ツバキ油、ホホバ油などシンプルなオイルのみか、洗浄力がマイルドなミルクタイプのクレンジングで2度洗いするのもおすすめです。また手持ちのクレンジングにこれらの植物オイルを足すと、それだけで洗浄力がマイルドに。肌の調子が崩れていつものクレンジングに刺激を感じたらそんな使い方も試してみてほしいと思います」
また小松さんによると、ナチュラルオーガニックだからといって、必ずしも石けんで落ちるわけではない点にも注意が必要だという。
「ケミカルメイクでも石けんで落ちるものがある一方、オーガニック認証品でも、たとえばナノ化された酸化チタンのように粒子が非常に細かい成分を使っていると、皮脂と混ざって落ちにくくなることがあります。
私が製品開発でノンナノの鉱物にこだわるのは、石けんオフがしやすく、肌への負担が少ないからです。メイクアイテムを選ぶ際に、『ノンナノ』と記載されているかを確認するのも、上手にオフするコツといえるでしょう」

石けんオフメイクを美しく仕上げ、楽しむには

アイシャドウ「ラスターアイ」3,520円(税別)や、「フィニッシングクリアーパウダー」5,280円(税別)などのメイク用品も販売。全て石けんでのオフが可能だ
「この10年でナチュラルコスメの技術は進化し、カラーも使いやすさも格段に向上しました」と語る小松さん。それでも、崩れにくくするケミカル成分が入っていない分、美しく仕上げるためのコツは押さえておきたい。
「たとえば、クリームタイプのアイシャドウのまぶたのよれは、ファンデーションのあとにパウダーで油分を少し押さえてから塗ると簡単に解決します。また、天然成分のみで作られるパウダーファンデなどは顔料が汗や皮脂を吸うと肌色が暗く見えますが、これは植木などの乾いた土に水を与えると水分を吸って濃く茶色になるのと同じ現象。
これを防ぐには、朝のスキンケア後にティッシュで余分な油分を軽くオフしたり、崩れやすいTゾーンは薄く塗ったりするなど、肌状態を見て塗る量や重ね方を調節することが重要です。
さらに、メイクアップでは道具の使い方も大切です。アイシャドウは、筆だと薄く、チップだと濃くなりますが、私は指でつけることをおすすめしています。指でつければ、ツヤ感も発色もよくなりますよ」
こうした課題への解決策は、小松さんが製品プロデュースする『babu-beaute(バブーボーテ)』の製品開発にも生かされている。シンプルを極めていたナチュラルオーガニックコスメに変革をもたらすべく、彼女はまず、多くの人が悩んでいた唇の荒れや乾燥をケアできるリップグロスを開発。次に、市場ではまだ珍しかった高発色でラメ入りのアイシャドウを手がけた。
「ベースメイクにおいても、当時の国産品はくすみがちでマットな仕上がりのものが大半でした。私が欲しかったのは、ツヤ感やテリ感が出るもの。だから理想のBBクリームが完成するまでには、2年もかかりました」
天然成分だけで汗に強く、ベタつきにくい使用感を叶える処方には苦心したという。しかし、こだわり抜いた結果、日本人の肌色の8割に不思議となじむ「シンデレラカラー」が生まれた。健康的な肌色の方は濃いフェイスパウダーで、色白の方はハイライターを混ぜることで、よりパーフェクトな色合いに調整することも可能だ。
「私がプロデュースする製品は、BBクリームを唇の色補正に使ったり、リップをチークやアイシャドウにしたりしてもOK。このように他のパーツに応用し、アイテムを自由に混ぜることができるのも、ナチュラルオーガニックコスメならではの楽しさかもしれません」

自分の肌と対話し、人生を彩るメイクを

小松さんは、肌を健やかに保ちメイクを楽しむには、自分の肌を知ることが大事だと語る。
「ものが溢れている時代ですが、健康的な肌や体をキープするには、まず自分のことをよく知ることが大切です。自分の肌や体が、何をしたら、何を食べたらどうなるか、よく対話をして必要なものを取り入れることが、美しさを叶える秘訣だと思います。
メイクにはセラピー効果があり、人の心や波動を変えるともいわれています。皆さんには、素材のいいものを使って、肌とアイテムが調和するのを感じ、自分の心や感覚を養いながら、人生を彩るためにメイクを楽しんでほしいと思います」
石けんオフメイクをはじめ、素材にこだわるナチュラルオーガニックコスメは進化を続けている。使い方のコツを押さえて、自分の肌や感性に合うアイテムを取り入れれば、より人生が豊かになっていくかもしれない。

Text by 継田 理恵(美容家/ライター)

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