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ニューバランスはなぜ、新たなアパレルコレクション「NB GREY」に“グレー”の名を冠したのか?
2025年7月、ニューバランスからアパレルコレクション「NB GREY(エヌビーグレー)」が登場した。“スポーツとカルチャーの交差点”をキーワードにした、都市生活者のためのアイテムが揃っているという。
機能やデザインについては当然注目すべきだが、まず気になったのはそのコレクション名だ。実際には水色やイエローといった明るいカラーが用意されているにもかかわらず、なぜ“グレー”なのか。
ニューバランスジャパンマーケティング部の小澤真琴さんへの取材を通じて、ネーミングに込めた思いとコレクション誕生の背景を紐解く。
過去と現在をつなぐネーミング
「名前に“グレー”とありますが、グレーカラーのコレクション、というわけではありません。水色やイエロー、秋口にはミントグリーンといった色も登場します。ではなぜ『NB GREY』と名付けたのか。ご存じのとおり、グレーはブランドを象徴する大切なカラーです。グレーを冠することで、ニューバランスの新たな定番として、長く愛されるものにしていきたいという思いを込めています」

そのほかにもさまざまな意味が込められている。ひとつは、ニューバランスのチャレンジ精神だ。
グレーのランニングシューズの嚆矢は、1980年に登場した「M620」といわれている。当時のスポーツシューズといえば白やビビッドカラーが主流であったが、グレーの「M620」がその常識を覆した。革新的な試みだったが、当時のランナーたちはこの新しいグレーのシューズを、きわめて好意的に評価したという。

グレーを採用した理由は、創業の地であるボストンの街の、アスファルトや石畳に合う色だったからだ。陸上競技のトラックやフィールドを超えて「街で走る」ためのカラーの最適解が、グレーだったのだ。スポーツ由来の機能を備えた「街で着る」コレクションという位置付けの「NB GREY」にも、そのマインドは確かに息づいている。
「またグレーは多様性を内包する色だと考えています。白と黒の間のグラデーションは、すべてグレーと呼べますから。あらゆる個性を受け入れるようなコレクションを目指したい。そして、ニューバランスが掲げるテーマである“スポーツとカルチャーの交差点”を、コレクションを通じて表現したいと思っています」
歴史の中で培ってきたチャレンジ精神と、現代社会で尊重されるべき多様性が、「NB GREY」というコレクション名に集約されている。それは過去と現在をつなぎ、その先の未来を紡いでいくという、ニューバランスの決意表明ともいえよう。
着てみてわかる心地よさ
ニューバランスにおいては現在、すでにアパレルコレクションがいくつか存在している。なかでも2019年に登場した「WAIST TO TOE」、そしてそれが進化し2021年に登場した「MET24」は、“都市生活者のためのシティスペックウェア”というコンセプトのとおり、スタイリッシュなアイテムがずらりと揃うコレクションだ。今回新たに登場した「NB GREY」は、先行している「MET24」と何が違うのか。そしてどのような差別化が図られているのだろうか。
「着用シーンなどは大きく変わりませんが、アプローチする年齢層が若干変わっています。『MET24』のファンはニューバランスのスニーカーを長く愛用する大人の方々が多かったのですが、『NB GREY』は、より若い層へのアプローチを試みています」
確かに「NB GREY」のコレクションを俯瞰すると、より若々しい、快活なイメージのアイテムが多くラインナップしているように思う。そして先述したとおり、コーディネートのアクセントとなるような明るいカラーも見受けられる。
「とはいえトレンド優先、デザイン優先という作り方はしていません。私たちはあくまでスポーツブランド。やはり機能性やフィット感を大切に考えています」
アイテムによってその特性のマトリックスは変化するが、「NB GREY」の服はストレッチ性、速乾性、撥水性、そして軽さが機能的な特徴だ。

「そのうえで、いちばん大事にしているのが着心地なんです。ニューバランスのシューズ作りのベースが履き心地にあるのと、同じ考え方ですね。ミリ単位の調整を繰り返しながら、快適なパターンを追求しました」
着用したカスタマーからも「想像以上の着心地の良さがある」との驚きの声が上がっているそう。この感想は、まさにニューバランスのスニーカーに通じるものではないだろうか。
着用して初めてわかる、想像を超える心地よさを体感できる。「NB GREY」はそのコンセプトも中身も、ニューバランスのシューズ作りの哲学を忠実に受け継ぐアパレルコレクションなのだ。
シューズで言えば「990」を目指す
本国アメリカはもとより、ヨーロッパ、アジアにおいてもニューバランスというブランドの知名度はきわめて高い。ただしそれはあくまでも、シューズの知名度である。その現状において、“ニューバランスのアパレル”の知名度を上げる役割も担うのが「NB GREY」なのだ。
「ライフスタイルカテゴリーにおけるアパレルはこれまで、日本では『MET24』や『TOKYO DESIGN STUDIO』がリードしてきました。日本だけではなくアジアでも展開しています。
これらをさらにグローバル化して、ニューバランスのアパレルをもっと盛り上げたい。そのために立ち上げたのが、アジアから発信するこの『NB GREY』というわけです」
「NB GREY」が目指しているのは、わかりやすく言えば「シューズでいう『990』のような存在」だという。つまりブランドの顔といえるプロダクトだ。

「これからダウンジャケット、フリース、スウェットシャツやセットアップなども展開し、ますますラインナップが充実します。ぜひ一度手に取って、試していただけたらうれしいです」
ニューバランスのアイデンティティを尊重しながら、変化を恐れることなく、スポーツとカルチャーの融合に挑むアパレルコレクションが「NB GREY」だ。デビューしたばかりということで目下話題であるが、今後の動向も引き続き注視していきたい。
PROFILE
小澤 真琴(おざわ まこと)
ニューバランスジャパン
マーケティング部
PR&デジタル課
マネージャー
Text by Tomoshige Kase















