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全身に使えるワックスのパイオニア:LA発の「product(ザ・プロダクト)」が10年以上も愛され続ける理由

2025.01.13
2011年に日本上陸を果たしてから10年以上、ほぼ口コミだけで累計販売数550万個を記録し、ロングセラー商品となった「product(ザ・プロダクト)」のヘアワックス。
なぜここまで愛され続けてきたのか。株式会社KOKOBUYの代表取締役社長・阿部聖樹さんに話を聞いた。

PROFILE

阿部 聖樹(あべ まさき)

株式会社KOKOBUY 代表取締役社長

口コミで話題が広がった理由とは

ブランドが誕生した背景を教えてください。
productの代名詞であるブルーのワックスは、2007年アメリカのカリフォルニア州で2人の美容師によって開発されました。
美容師は毎日シャンプーやカラー剤を扱うため、手荒れやアレルギーで悩んでいる人がとても多いんですね。そこでお客様の髪や頭皮にもダメージが少なく、美容師自身にもやさしいものを作りたいという思いから、オーガニックのワックスが生まれました。
当時はこのサロンの顧客などを中心に、本当に小さなコミュニティで販売されていたのですが、美容師の友人だった創業者が、これは日本でも支持を得られるのではないかと考え、2011年に日本での販売を開始しました。
「ザ・プロダクト ヘアワックス」2,178円(税込)
最近まで宣伝やプロモーションなどをされていませんでしたよね。どのようにして多くの人に知られるようになったのでしょうか。
確かに自発的な販促プロモーションは行ってきませんでした。そんななかで広がったのは、いくつかの背景があると思っています。
まず、最初はサロン専売品からスタートしたのですが、表参道や銀座などのサロンに勤める感度の高い、いわゆるアーリーアダプターであるヘアスタイリストの方が支持をしてくれたことです。ちょうど2014年にインスタグラムで日本語版がリリースされ、著名人の方をはじめ、多くの方がSNSなどで紹介をしてくれたことで、認知が広がったと思っています。
2つ目は発売当時、ヘアスタイリング市場にこのような商品がほとんどなかったことです。ワックスというとファイバー系の固めるものが主流で、手の温度で溶かして使うproductのようなバーム状の商品は見かけることがありませんでした。
また当社のヘアワックスは、リップやハンドケア、ボディケアにも使えるオーガニックマルチバームになっています。そのためヘアスタイリング後に手を洗う必要がなく、そのまま肌に馴染ませることができるのですが、発売当時はこのようなマルチバームも一般的ではありませんでした。ベストコスメなどに選んでいただけたというのも大きかったと思います。
髪だけでなく、唇や肌にも使用できる
3つ目がぬれ髪ブームです。productのヘアワックスは手で温めて、オイル状にしてから使うもので、ぬれたようなほどよくツヤのある髪に仕上げることができます。我々が仕掛けたものではありませんが、ブームとproductの機能性がハマり、同じような商品がなかったことで、多くのお客様から支持を集めたのだと思います。

シンプルだからこそ誤魔化しが利かない設計

最近はいろいろなヘアバームが出ていますが、成分の特徴を教えてください。
成分はとてもシンプルで、少ない原料で作られています。だから原理的には、真似をしようと思えば、同じようなものは作れるのですが、実はこの配合が非常に難しいんです。
弊社の商品も含めて、一般的にヘアバームはシアバターがキー成分になります。ただ、粒々としたテクスチャーになってしまったりと、productのような滑らかさというのを出すことはなかなかできません。
また、一言でシアバターといっても、そのクオリティはさまざまです。弊社では、ぬれているように見えながらも、ベタつかず、滑らかさをキープできるシアバターを採用しています。
オーガニック認証を受けたシアバター(シア脂)を使用している
ワックス1品で日本上陸を果たしたわけですが、苦労はありましたか?
ひとつは先ほども申し上げたように、最初はサロン専売から始まったので、ディーラーさんを間に挟む必要があったんですね。それでいくつもの会社に営業をしたのですが、小さな会社でしたし、アポイントを取ろうとしてもなかなか会ってもらえなかったというのはありました。
もうひとつは、体温で溶ける特性があることです。現在ほとんどの商品は日本で製造していますが、ダマスクローズのワックスなど、一部の商品はアメリカから輸入をしています。変質を防ぐために温度管理をした状態で輸送をする必要があるのですが、これが大変なことなんですね。
夏場は高温によりワックスが液体化してしまうため、金曜日の出荷は見送っています。というのも、土日のうちに運送会社の倉庫で溶けてしまうリスクがあるからです。ただ、逆にいうとそれが自然な成分であることの証明でもあります。
ブルガリア産プレミアムローズを使用した「ダマスクローズ」はアメリカから輸入

オーガニックヘアケアをもっと身近にしたい

10年以上にわたり人気を得ていますが、その理由をどのようにお考えでしょうか?
ヘアバームの先駆者であったところは大きいと思います。今でもヘアサロンや、プロのヘアメイクアーティストの方々に愛用していただいてます。実際「いろいろなヘアバームを使ったけど、やっぱりproductに戻ってきました」というお声もとても多くいただいています。
2024年にリブランディングをされた理由を教えてください。
日本上陸をしたときはメジャーではなかったオーガニックコスメ市場ですが、現在は200以上のブランドがあるといわれています。ただ、市場調査をすると、ブランドに対するイメージがほとんど同じことがわかりました。またシンプルすぎる、パッケージが可愛くないというネガティブなイメージを持たれている方も多いこともわかりました。
そこで独自性を出すために、シンプルでクリーンなイメージだったものから、もっとファッション性があって、楽しいと思ってもらえるようなブランドにしたいと思い、リブランディングを行いました。
今後の展望を教えてください。
まず、今回のリブランディングからドラッグストアでの正規販売を開始しました。オーガニックの良さをもっと多くの人に知ってもらいたいと思ったときに、一番生活動線に近いところがドラッグストアだと考えたからです。
そこからオーガニックヘアケアのジャンルが民主化されて、オーガニックなスタイリングブランドといえば? と問われたときに、productがその候補の筆頭になれれば、海外への進出も考えていきたいですね。
日本のヘアスタイリング市場で「バーム」という新ジャンルを確立したproduct。これからも多くの人の髪に欠かせないアイテムとして愛され続けることだろう。

Text by Junko Hayashida

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