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デンマーク発レインウエアブランド「RAINS(レインズ)」、新本社で体現する“雨と生きる”空間と服づくり

2025.05.14
デンマーク第2の都市オーフスで生まれたRAINS(レインズ)は、「雨の日もスタイリッシュに」という思想のもと、レインウエアを中心に展開するアパレルブランドである。防水・撥水・防寒・防風といった機能性を備えたユニセックスなアウターやバッグを展開し、2012年の設立以来、欧米を中心にグローバルに拡大。現在は世界に約30の旗艦店を展開している。
2023年には、日本初となる店舗をラフォーレ原宿にオープン。そして2024年3月末には、拠点地オーフスに新たな本社ビルを構え、ブランドの新たな章が始まった。
今回は、ブランドの哲学を投影した新本社と、そこで開催された2025-26年秋冬コレクションのリポートをお届けする。

建築と自然が調和するRAINS本社

オーフス市街地から車で約30分。丘陵地に位置するRAINSの新本社ビルは、自然と都市の境界を取り払うように設計されている。中央にはインナーガーデンが広がり、屋内と屋外の要素が曖昧に交ざり合う。全面ガラス張りの建物内からは、いつでも周囲の自然を見渡すことができる。
この自然との調和は、アウトドアウエアをアーバン仕様に落とし込むRAINSの美学を建築的に表現したものである。
本社ビルは、コンクリート、ガラス、レンガなどの素材感を前面に出したブルータリズム建築を採用している。設計は、デンマークの建築スタジオSLETH(スレス)との協業によるもの。特徴的な4つの金属ファサード、彫刻のような階段、アート作品が空間に配置され、オフィスというよりギャラリーに近い佇まいとなっている。
全体の敷地面積は約11,000平方メートル。そのうち約6,000平方メートルは物流施設と倉庫として使われている。さらに、専属シェフによるカフェテリアや社員用のジムも完備されており、快適性・機能性・デザイン性の融合というRAINSの哲学が、働く空間にも反映されている。
興味深いのは、レインウエアを骨幹に置くブランドらしく、“雨水”が建物において重要な役割を果たしていること。独自の雨水処理システムにより建物は気候とも一体化し、雨の日には敷地内を水が流れ、景観を豊かに潤すという。
さらにこのシステムにより、雨水はインナーガーデンや建物の一部の外壁を覆う植物にまで行き届き、時間の経過とともに変化し、工業ビルを野生の緑で包み込む。雨がもたらす恵みを最大限に生かすのは、まさに「RAINS」のDNAといえるだろう。
本社ビルの開設が3月27日。その数日後、3月31日には国内外のゲストをこの地へ招待し、2025-26年秋冬コレクションのショーを行った。「RAINS」共同設立者ダニエル・ブリックス・ヘッセラガー(Daniel Brix Hesselager)は、今回のショーに特別な思い入れがあるようだ。
「オーフスの気候こそが、『RAINS』を立ち上げる原動力でした。オーフスで私たちは忍耐力を身につけ、それをレインウエアづくりに生かす方法を学んだのです。今回のショーの舞台は、新章の開幕を告げる新本社でなければなりませんでした。なぜなら、この場所こそが私たちのブランドを真に体現しているからです」とコメントを寄せている。

ブランドの礎に立ち返る「FOREVER」コレクション

スチール棚が並ぶ倉庫スペースを白布で仕切った特設ランウェイで、RAINSは「揺るぎない回復力」をテーマに掲げた新作コレクション“FOREVER”を発表した。30体のルックを通じて展開されたこのショーは、ブランドの10回目となる節目のコレクションであり、原点回帰の姿勢を色濃く打ち出した。
ここ数シーズンのRAINSは、パリ・ファッションウィークで変形マキシ丈のパファーコートや、未来的なムードのコスチューム風ウエアなど、実験的なスタイルを提示してきた。しかし今回のコレクションでは、そのアプローチからいったん離れ、ブランドの基盤であるレインウエアに再び焦点を当てている。
主軸を担ったのは、耐久性と防水性に優れたPU素材を用いた機能性重視のアイテムだ。加えて、柔らかなフリース素材、光沢加工やシャーリングなど、質感の異なる新素材の組み合わせが、実用性とともにファッション性を引き立てている。かつて“野暮ったい”とされてきたレインウエアのイメージを刷新し、洗練されたアーバンウエアとしての進化を見せた。
デザイン責任者のヨハンネ・ディンドラー(Johanne Dindler)は、今回の狙いを次のように語っている。
「定番アイテムの再解釈に着目しました。タイムレスな要素とエクストリームな要素を共存させることがアイディアです。シルエット、テクスチャー、カラー、そしてデザインにおける革新性を通して、私たちの進化を表現しています。そこには静かな自信と、さりげない大胆さが息づいているのです」
ショー構成もまた、その姿勢を反映していた。落ち着いた色調のアイテムから始まり、終盤には華やかなルックが登場。コレクションは一貫して、あらゆる天候に対応できるウエアであることを印象づけた。
RAINSは、日本初店舗のオープンを皮切りに、今後アジア市場での展開拡大を目指している。さらに来年には、シューズラインのローンチも予定しており、カテゴリーの枠を越えたブランドの成長が期待されている。
アウトドアウエアとファッションの境界を軽やかに超え、その可能性を広げ続けるRAINS。雨の日にどう装うかという問いに、常に新たな視点で応え続けるブランドである。
今季の原点回帰コレクションと、ブランド哲学を体現する新本社ビルは、まさにRAINSの現在地と未来を象徴する存在といえる。雨雲の隙間から差し込む光のように、その先の展望を明るく照らしている。

Text by ELIE INOUE

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