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累計300万枚を突破したスーツセレクト「4Sシャツ」:“アイロン要らず”を叶える日本の技術力
現代のビジネスウェアにおいて、コンフォート性は欠かせない要素だ。
そしてコンフォート性には、着心地のよさはもちろん、イージーケア性も含まれる。たとえば、アイロン要らずのノーアイロンシャツだ。
2017年に発売され、今年で累計300万枚以上を突破した4Sシャツは他社製品とどこがどう違うのか? 開発に携わった担当者がそのすべてを語ってくれた。
PROFILE
上野 翔太(うえの しょうた)
株式会社コナカ
商品事業本部 商品部バイヤー 次長
現在、180店舗を展開し、スーツをメインに、シャツやネクタイ、フォーマルからカジュアルまで、さまざまな商品を扱っています。

爆発的に売れているという4Sシャツとは、どんなシャツですか?
2017年の2月に発売したビジネスシャツです。商品名はSUPER NON IRON(スーパーノーアイロン)、STRETCH(ストレッチ)、SOFT TOUCH(ソフトタッチ)、SLIM(スリム)という4つの機能性を示す「S」に由来します。
JIS規格に定められた優れた形態安定性
第1のSは「スーパーノーアイロン」とのことですが、やはりノーアイロンを求める声は多いのでしょうか?
ビジネスウェアにイージーケアを求めるお客様は増える一方です。特に「アイロンがけが面倒」「クリーニングに行くのが大変」というお客様の声は多く、自宅で洗濯できて、アイロンがけも不要なノーアイロンシャツは、何事にもタイムパフォーマンスが重視される現代において、時代のニーズにマッチしたアイテムといえるでしょう。
4Sシャツは、一般的なノーアイロンのものとは何が違うのでしょう?
昨今、さまざまなブランドが「ノーアイロン」や「ノンアイロン」という言葉を使っていますが、じつは明確な定義はありません。しかし、形態安定性に関しては、JIS規格の「W&W性(ウォッシュアンドウェア性)」という基準が定められています。洗濯後のシワの残り具合を示すこの数値が3.2級以上のものが形態安定シャツ、ノーアイロンシャツと呼ばれます。
4SシャツのW&W性は、4.0級以上ですので、スーパーノーアイロンと呼ぶことができます。

洗濯した後の通常のシャツ(写真左)と4Sシャツ(写真右)を比べれば、4Sシャツにはほとんどシワが出ていないのがおわかりいただけるでしょう。
シワになりにくいという特性は、普段はもちろん、出張や長時間での移動時にも真価を発揮します。
形態安定性がスーパーなんですね。
W&W性の最大値は5.0(完全ノーアイロン)ですが、数値が高ければ、その分、価格も高くなります。その点、4Sシャツは1枚4,290円(税込)です。この価格帯のスーパーノーアイロンシャツは、市場にもほとんどありません。コストパフォーマンスの高さにも、4Sシャツが高い支持率を獲得する理由があると考えます。
形態安定性の秘密は、ポリエステル100%のタテ編みニット
どんな素材が使われているんですか?
速乾性やストレッチ性などさまざまな機能を持つ高機能ポリエステルです。ですが、4Sシャツの卓越した形態安定性には、編み方にも秘密があります。じつはこのシャツ、布帛の生地ではなく、ニットでできているんです。ニットにはヨコ編み、タテ編み、丸編みという3つの編み方がありますが、このシャツは「トリコット」と呼ばれるタテ編みの素材を使っています。
トリコットはニットでありながら、織り生地のように形がくずれにくいという特長を持っています。しなやかな風合いで柔らかく、シワも付きにくいことから、スポーツウェアやインナーウェアにも用いられます。
ニットだけあって伸縮性にも優れ、タテ、ヨコ、ナナメにも伸び縮みします。一般的な布帛のストレッチ生地に比べて、約2~3倍の伸縮性を発揮します。

ポリエステルのニットとは意外でした。でも、肌触りはコットンの布帛のようにしなやかです。
ひと昔前のポリエステルを使った形態安定シャツは、硬くて着心地がイマイチなものも少なくありませんでした。そこで4Sシャツでは、高機能ポリエステルを使いながら、コットン100%に近い肌触りを実現することに力を注ぎました。

まず、ポリエステル糸は断面の構造がコットンと同じく真円に近いものを選びました。こうすることでコットンを思わせるしなやかな肌触りが生まれます。
極細の糸を使って、ハイゲージに編み上げているのもポイントです。これによって肌触りがよりソフトになり、速乾性も高まります。
ただ、極細のポリエステル糸をタテ編みするのは難易度が高く、国内では福井県にあるニット工場でしか生産できません。

さまざまな紆余曲折を経て辿り着いたオリジナル素材
どうやってこの素材を思いついたんですか?
我々が最初に作ったのは、コットン100%のノーアイロンシャツでした。ただ、ご好評をいただいたものの、一部のお客様から、シワの残り具合に不満が残るというお声をいただいていました。そこで『本当にアイロンをかけなくていいシャツ』の開発することにしました。それが始まりだったんですね。
その後、形態安定性を重視して、ポリエステルの布帛の生地に切り替えました。ただ、生地がやや硬く、着心地に課題が残りました。そこで次はポリエステルのニット素材にトライしたんですが、アイロンが使えない、着続けるうちに生地が伸びてしまうといった欠点がありました。
そこで辿り着いたのが、福井県の工場で見つけたポリエステル糸をタテ編みしたニットだったんです。
形態安定性も着心地も満足できるシャツになり、2017年2月に4Sシャツとして販売を開始しました。その結果、多くのお客様のご支持をいただくこととなりました。
時代が求めるのは、一枚で着てもカッコよく見えるシャツ
これほど売れるのには、形態安定性や着心地以外にも理由があると思います。
ご支持いただいている理由のひとつに、4Sシャツの機能のひとつである「SLIM」があると思います。私たちは、このシャツの開発にあたり、「一枚で着ても、カッコよく見えること」を重視しました。
そのためにはシルエットが課題になりました。お腹の周囲や胸は着用時にすっきり見えるよう型紙を工夫しています。

そして一番こだわったのが腕と肩まわりです。アームホールを若干絞ってだぶつきをなくし、同時に肩にゆとりを持たせることで、運動量を確保しました。
袖もカフスに向かってだんだん細くなるという、パンツでいうテーパードのような形状にしているため、腕のラインがシャープに見えます。

たしかに立ち姿がすっきり見えます。
かつてシャツはスーツのインナーであり、あくまで脇役でしたが、今は違います。特に春夏シーズンは、シャツ一枚、ノータイで通勤するビジネスマンも多く、「着こなしの主役を張れるシャツ」のニーズが高まっています。
デザインのバリエーションも充実しており、襟型はワイドカラーやボタンダウン、色は白やブルーが人気です。

今後はどのように進化していきますか?
機能性を追加した、より多機能な4Sシャツの展開を予定しています。現在は、生地表面に加工を施すことで、皮脂や汚れを付着しにくくするオイルガード機能をプラスしたシャツがご好評をいただいています。
また、派生モデルとして、天然素材の風合いや着心地にこだわるお客様のために、コットンを使用した4Sシャツも販売しています。

正真正銘のノーアイロンで、着心地もコスパも抜群。おまけにシャツ一枚でもカッコよく見える夢のビジネスシャツ。
今後も時代のニーズに応えるべく、4Sシャツはブラッシュアップされていく。
Text by Ryota Osujo














