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「Wrangler(ラングラー)」のカウボーイのドレスアップ用ジーンズ「WRANCHER(ランチャー)」に注目

2025.06.25
1947年、アメリカ・ノースカロライナ州グリーンズボロで誕生した「Wrangler(ラングラー)」は、カウボーイジーンズとして名品の数々を擁する世界的なブランドだ。そんなWranglerが1960年代にリリースした「WRANCHER(ランチャー)」というアイテムに注目したい。
このWRANCHERは、カウボーイのドレスアップ用ジーンズとして誕生した、Wranglerのロングセラーモデルである。発売当時と現代、それぞれの時代において、WRANCHERがどのように愛用されてきたのかを紹介していこう。

カウボーイのために作られたブランドWrangler

最初に、Wranglerのルーツを知っておいてほしい。実は、Wranglerというブランドが誕生する以前にも、長い歴史が存在しているのだ。歴史の始まりは1904年。Wranglerは、当初「Hudson Overall Company(ハドソン オーバーオール カンパニー)」という社名で創業した。
現在のWranglerのブランドロゴにも記されている「BLUE BELL(ブルーベル)」マークで知っている人も多いかもしれないが、1919年には社名をBLUE BELLに変更している。
その後、同じ時代にアメリカで展開されていた「BIG BEN(ビッグベン)」というワークウエアブランドと合併したり、「CASEY JONES(ケーシー ジョーンズ)」という会社を買収したりするのだが、このCASEY JONESがWranglerというブランドを所有していた。そこからウェスタンウエアブランドとしてアメリカのカウボーイ市場に参入したのが、現在のWranglerの始まりである。
写真上:1940年代〜1950年代のBLUE BELL社屋や工場が載った資料
写真下、左右:1950年代のWranglerの広告

カウボーイたちのお出掛け着

今回紹介するWRANCHERが、これまでどのようにカウボーイたちに愛用されてきたのか、そして現在はどのようなファッションに取り入れられているのか。株式会社エドウイン クリエイティブ・ディレクターの細川秀和さんにお話を伺っていこう。
「WRANCHERは1960年代後半に誕生します。この時代、すでにデニムアイテムはワークウエアから日常のファッションアイテムとして愛用されていたんですが、アメリカでは、Wranglerは昔も今もカウボーイたちが愛用するブランドなんです。
カウボーイにとって、このWRANCHERがどういうものとして認識されているかというと、“急いでドレスアップして外出しなくてはいけないときに穿くもの”というふうにとらえられています。でも、日本で生活する私たちにとっては、あまりピンとこないシチュエーションかもしれませんね。
馬に乗ったり、牧場で働いたりするときは、ウェスタンシャツにジーンズ姿で過ごしていて、急に外出しなければいけないときに、ジーンズからWRANCHERに穿きかえる。それが、彼らのライフスタイルなんだと思います。
このアイテムは、ポリエステルツイル素材でできていて、センタープレスがノーアイロンでも取れないという特徴があります。カウボーイにとって、センタープレスは大事な身だしなみのひとつなので、彼らの“お出掛け着”に丁度いい存在だったのではないかと思います。そして現在のアメリカでも、WRANCHERの主なユーザーはカウボーイなんです」
1970年代のWRANCHERのビジュアル

現代でも人気のWRANCHER

ここまでWranglerの歴史とWRANCHERのルーツを知ったところで、ここからは現代の日本でWRANCHERがどのように愛用されているのかを見ていきたい。引き続き細川さんに伺っていこう。
「近年のスラックスブームの影響もあってか、日本ではWRANCHERがスラックス的な位置づけで選ばれています。裾が若干フレアした『ブーツカット』になっているのですが、広めにとった裾が『きれいなシルエットに見える』と人気を集めています。ディテールとしては、いわゆるデニムパンツの形をしているので、そこも差別化のポイントになっているのだと思います。
Wranglerのジーンズには語り継がれる『セブンアイコンズ』という7つの仕様があるのですが、WRANCHERにもそのいくつかが取り入れられています。まず1つ目は、ベルトループが普通は5本のところ、Wranglerは7本付いていることです。これは馬に乗る際にズレないようにするもので、『セブンベルトループス』と呼ばれています。
もうひとつは『リバースフーリーフィールドヨーク』という仕様で、これは馬に乗るときのための工夫なんですが、ヒップポケット上のステッチが通常とは逆の“山高”といわれる縫製になっています。ヒップポケットからずり上がってきたものが落ちにくい仕様で、とてもカウボーイらしいディテールだと思います。
こうした1960年代から変わらず受け継がれている部分もあれば、アップデートされているところもあります。それが生地です。当時のWRANCHERより肌触りがソフトになり、毛玉になりにくい『防ピリング』加工が施されたものが使われています。シルエットも現代のスタイルに合わせて、若干整えられています」
WRANCHERフレアードレスパンツ 9,900円(税込)

日本独自の124MJ「WRANCHER ビッグシルエットジャケット」

アメリカではWRANCHERはパンツのみの展開だが、セットアップの提案ができるよう日本では同生地を使用した「124MJ JACKET」がリリースされている。このアイテムについてもご紹介いただこう。
「WRANCHERのパンツを選んでくれている方に、セットアップの提案が必要だと思ったんです。そこで、Wranglerの定番である124MJのディテールをベースに、ビッグシルエットに仕上げたものをリリースしています。124MJの大きな特徴のひとつが、ハンドウォーマーポケットが付いていることです。この仕様は1960年代から続いており、Wranglerが最初に取り入れたとされています。
胸ポケットにはトレードマークとなる、“W”のステッチが入るのですが、これは『サイレントダブル』といって、Wranglerは頭文字のWを発音しないのでこう呼ばれています。胸ポケットのフラップのところに付いたペンスロットも、124MJの特徴になっています。こうした昔からのディテールを受け継ぎながらも、今のトレンドにもしっかりフィットするアイテムになっていると思います」
124MJ WRANCHER ビッグシルエットジャケット 14,960円(税込)
ハンドウォーマーポケット
サイレントダブルのステッチとペンスロット
1960年代にカウボーイのドレスアップ用ジーンズとして誕生したWRANCHERは、その後Wranglerのロングセラーモデルとなった。ブーツやレザーシューズ、スニーカーなど、足元を選ばない幅広いスタイリングが可能で、着用や洗濯を重ねてもシワになりにくいイージーケア素材も魅力のひとつだと思う。
WRANCHERは昔からのコアなWranglerユーザーだけでなく、現代のトレンドとしても時代を超えて愛されてきたアイテムといえるだろう。

PROFILE

細川 秀和(ほそかわ ひでかず)

株式会社エドウイン
クリエイティブ・ディレクター
1990年株式会社エドウイン入社。翌年からLeeブランドに携わり、30年以上のキャリアをもつ。The Archivesシリーズの立ち上げやAmerican Ridersシリーズなどのロングセラーを数多く開発した。

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