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古き良きアメリカを象徴する「TOWNCRAFT(タウンクラフト)」、ヴィンテージを再構築した現代のラインナップ
「TOWNCRAFT(タウンクラフト)」は、かつてアメリカの大手百貨店として君臨していた「J.C.PENNEY(ジェー シー ペニー)」のオリジナルブランドとして誕生した。ブランドのルーツを知るためには、まずJ.C.Penneyの歴史を振り返る必要がある。
1902年、ワイオミング州でJames Cash Penneyが「Golden Rule Store(ゴールデン ルール ストア)」というワークウエアショップを買い取り、日用品や食料、雑貨、衣類などを幅広く扱う“General Store(ジェネラル ストア)”形式へと発展させた。
その後も事業を拡大し続け、1912年にはJ.C.Penneyへと社名を変更。アメリカを代表する百貨店へと成長していく。1927年にはニューヨーク証券取引所へ上場し、大手百貨店のひとつとして確固たる地位を築いた。
J.C.Penneyからは「BIG MAC(ビッグ マック)」「HERCULES(ヘラクレス)」「PENNEY’S(ペニーズ)」「TOWNCRAFT」など、多くのオリジナルブランドが誕生している。
そのプロダクトは現在でも、ヴィンテージファンやアメリカンカジュアル好きから高い支持を集めている。

今回は、現代の日本に新たな形でTOWNCRAFTを提案するsunny inc.代表の北原 信也さんに、ブランドの魅力について話を聞いた。
北原さんは昨年、TOWNCRAFTやPENNEY'Sのヴィンテージアイテムをまとめた書籍『TOWNCRAFT / COLLECTION BOOK "1927"』を出版。膨大なアーカイブを所有する彼は、日本有数のTOWNCRAFTコレクターと言っても過言ではない存在だ。

好きだった時代のTOWNCRAFTを現代に再構築する
「BIG MACやHERCULESはJ.C.Penneyのワークウエアブランドとして展開されていましたが、PENNEY'SやTOWNCRAFTのヴィンテージを見ると、シャツやセーター、時計、靴など幅広いアイテムが存在していたんです。そうしたラインナップを見ると、TOWNCRAFTは日常着を提案するブランドだったのではないかと思います。TOWNCRAFTがいつ始まったのか明確にわかる資料は少ないのですが、古いものでは1940年代のヴィンテージが確認できます。
そして1980年代後半から1990年代初頭あたりまでは存在していたのではないかと見ています。2000年以降のTOWNCRAFTの古着はほとんど見かけません。
特に物量が多い印象があるのは1960年代です。おそらくその頃がブランドの全盛期だったのではないでしょうか。私自身、その時代のTOWNCRAFTが好きなので、1960年代頃のアイテムを中心に、いまのテイストに合わせながらリリースしています。
1990年代はJ.C.Penneyの古着もよく出てきていて、その頃から集めていましたが、いまは本当に見つからなくなりました。掘り尽くされたような感覚があります。
だからこそ、そういった時代の空気を感じられるものを、現代のプロダクトとして作っていけたらと思っています」
春夏のTOWNCRAFTを象徴するループカラーシャツ
J.C.PenneyとTOWNCRAFTの歴史に触れたところで、代表的なアイテムを見せてもらった。「まず見ていただきたいのは、ループカラーシャツです。いまでこそトレンドアイテムとして知られていますが、1990年代頃からTOWNCRAFTの中でも注目されてきた代表的なアイテムでした。オンブレチェックにボックスシルエット、そしてレーヨン素材という組み合わせが特徴です。
こちらのヴィンテージは1960年代のものなのですが、その生地を参考に糸の番手まで合わせ、柄も再現したアイテムとしてリリースしています。
サイズスペックは現代的に調整していますが、襟の形や大きさはヴィンテージのまま再現しています」


60S OMBRE LOOP COLLAR SHIRTS(60s オンブレ ループ カラー シャツ) 16,500円(税込)
ヴィンテージの魅力を別の形で蘇らせる
現代のTOWNCRAFTには、ヴィンテージの柄を別のアイテムへ再構築するプロダクトも存在する。「1950年代のスリーピングシャツで、とても良い柄のものがありました。ただ、パジャマだとデイリーウエアとしては取り入れにくい。そこでその柄だけを抜き出し、レーヨン素材のループカラーシャツに落とし込みました。
そうすることで、ヴィンテージの雰囲気はそのままに、普段使いしやすいアイテムに仕上がっています」


衣料品だけではない、TOWNCRAFTの広い世界観
TOWNCRAFTはトップスやボトムスだけでなく、時計や靴、ネクタイなど幅広いラインナップを展開していた。その歴史に着想を得て、現代ではレザーシューズもリリースされている。「靴や腕時計なども広く展開していた歴史を踏まえ、日本のレザーシューズブランド「WHEEL ROBE(ウィール ローブ)」に別注をかけ、シューズもリリースしました。
素材には、アメリカのHorween Leather Companyを代表するレザーで、80年以上変わらぬ製法で作られているクロムエクセルを使用しています。
所有しているヴィンテージのシューズはウイングチップだったのですが、より使いやすく汎用性の高いものにするため、プレーントゥのデザインで仕上げました」


ヴィンテージ感のある新しいオリジナルも誕生
現代のTOWNCRAFTはヴィンテージをベースにしながらも、新たなオリジナルアイテムも展開している。「1980~1990年代のアメリカ古着のアーカイブシャツをベースに、ドル柄やファイヤーパターン、スカル柄などをプリントしたオリジナルモデルも作っています。当時の空気感を楽しんでもらえたらと思って製作しました」

コレクターが選ぶ貴重なヴィンテージの逸品
ここで、まだ商品化されていない北原さんのTOWNCRAFTコレクションの中から、お気に入りの一枚を見せてもらった。「おそらく200点以上所有しているので、一枚だけ選ぶとなると難しいのですが、これからの季節を感じられるものとして挙げるなら、裏地がパイル仕様になっているビーチシャツは珍しい一着だと思います。
1960年代のヴィンテージで、柄もなかなか見かけないタイプですし、コレクションとしても価値のある逸品ではないかなと。カリフォルニアらしい空気感があるところも気に入っています」

「TOWNCRAFT VINTAGE(タウンクラフト ヴィンテージ)」が始動
2026年5月、「TOWNCRAFT VINTAGE(タウンクラフト ヴィンテージ)」というサイトが立ち上がった。TOWNCRAFTをメインに、セレクトアイテムや古着も購入できるほか、ブランドの世界観を感じられる場として展開されていくという。
他では真似のできないレベルでTOWNCRAFTを収集し、ヴィンテージアイテムに対する深い知識を持つ北原さんだからこそ、日本におけるTOWNCRAFTの展開をここまで広げることができているのではないだろうか。
ヴィンテージライクでありながら、実際着てみるとしっかりといまの空気感になる。それこそが、現代のTOWNCRAFTの形だと言えるだろう。

アメリカ百貨店文化の中から生まれ、日常着として親しまれてきたTOWNCRAFT。その歴史は、アメリカンカジュアルそのものの歩みとも重なっている。
ヴィンテージへの深い敬意を持ちながら、現代のシルエットや感覚で再構築することで、ブランドは新たな価値を生み出している。
古着好きだけでなく、いまの時代にフィットするスタンダードを探している人にも、TOWNCRAFTは魅力的な選択肢となりそうだ。
PROFILE

北原 信也(きたはら しんや)
sunny inc.代表
2004年、sunny inc.設立。アメリカンヴィンテージのアーカイブからインスパイアされたブランドSUNNY SPORTS / TOWNCRAFTを展開。2009年、東京恵比寿にコンセプトショップ「C.E.L STORE」を出店。

















