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天然の機能素材をアウターに!ワークマン「メリノテックアクティブインサレーションスタンドジャケット」の前代未聞の挑戦
インナーやルームウエアの素材として馴染み深いメリノウール。その優れた機能性から多くのアウトドア愛好家やファッショニスタに支持されてきた。ワークマンもこれまで、同素材を用いた製品を展開してきたが、その多くは肌に近い場所で着用するアイテムだった。
2025年秋冬シーズン、ワークマンは新たな挑戦として、メリノウールを主役にした「メリノテック」シリーズを初めて市場に投入する。
インナー素材のイメージが強いメリノウールを、いかにして過酷な環境にも耐えうるワーキングウエアへと昇華させたのか。株式会社ワークマン製品開発第6部チーフバイヤー羽倉優太朗さんに、ワークマンの公式アンバサダーである山田耕史が、「メリノテックアクティブインサレーションスタンドジャケット」の開発にまつわるエピソードを伺った。
3つの機能素材を掛け合わせた「メリノテック」
山田耕史(以下、山田)メリノウールには、肌着やルームウエアの素材という印象がありますが、なぜアウターに採用しようと考えたのでしょうか。
羽倉優太朗(以下、羽倉)メリノウールは「天然の機能素材」と呼ばれており、オーバーヒートとクールダウンの両方をコントロールし、衣服内の温度を一定に保つという大きな特徴があります。この特性を生かせば、ワークやトレッキングのようなアクティブなシーンでも、快適な着心地を維持できる製品が作れるのではないかと考えました。
しかし、アウターとして成立させるためには、強度やストレッチ性、耐久性などの課題がありました。

山田製品化にあたって、どのような工夫をされたのでしょうか。
羽倉3つの繊維を掛け合わせた新素材を開発しました。まず1つ目は、ベースとなる「メリノウール」です。メリノウールが持つ抗菌防臭性や、吸湿発熱、吸放湿性、光吸収発熱といった優れた性能を生かしています。
2つ目に、そのメリノウールに「グラフェン」を掛け合わせました。これにより抗菌防臭性や保温性がさらにパワーアップします。加えて、耐摩耗性や紫外線遮蔽性といった機能も向上させることができました。
3つ目が「高弾力ポリウレタン」です。ポリウレタンを採用した一番の理由は、通気性に対応できる繊維であるという点です。これにより、高い伸長性と回復性を実現し、経年劣化にも非常に強い製品に仕上がりました。
この高弾力ポリウレタンは、ハイブランドでも扱われるような素材で、通常のポリウレタンよりも高価なものになります。

山田メリノウール、グラフェン、高弾力ポリウレタン。この3つを組み合わせた素材は、他のブランドでもあるのでしょうか。
羽倉市場をすべて調べ尽くしたわけではないので断言はできませんが、この3つを掛け合わせたのは、おそらくワークマンが初めてではないかと考えています。
山田出来上がった製品は実際に着用されてみましたか?
羽倉ゴルフなどで着用してみました。まずストレッチ性が非常に高く、動きやすいです。また、メリノウールとグラフェンを合わせると暑くなりすぎてしまうことがあるのですが、この製品は意外なほど風を通してくれます。
動いて汗をかくようなシーンでも、熱がこもりすぎるのを防いでくれる点は、大きなメリットだと感じました。
山田デザインやディテールについて伺います。この配色デザインは本格的なアウトドアウエアのような雰囲気がありますね。
羽倉幅広いシーンでご着用いただける、汎用性の高いデザインに仕上がったのではと思います。

羽倉ワークウエアとしても使えるように、肩や首回り、ポケット口などに別布で補強を施しています。

羽倉また、一番擦れやすい袖口にも同様の補強を入れることで、ワークの現場でも安心して使えるように仕上げています。

山田細かな仕様にもこだわりを感じます。
羽倉胸には大きめのスマホポケットを配置し、袖口にはサムホールを付けています。

羽倉また、フロントファスナーのヘッドにはワークマンのトレッキングシリーズでよく採用している「笛」も付けました。

羽倉フロントファスナーには、一般的なファスナーに比べて耐久性の高い、ワークウエア向けのものを採用しています。

羽倉さらに、正面のインナーフラップは、風を防ぐために布帛生地を使いつつ、顎に当たる首回りの部分だけは肌触りの良いメリノテックの生地にするなど、着心地にも配慮しています。


たったひとつのウィークポイントとは
山田これだけ新しい素材、こだわった仕様ですと、製造も大変だったのではないでしょうか。
羽倉非常に苦労しました。この生地は伸び縮みがしやすく、縫製がとても難しいんです。アームホールが極端に小さくなったり、逆に大きすぎたりと、私たちが思った通りのスタイルに仕上がらないことが何度もありました。
ですので、工場に何度も足を運び、「ここの寸法が違う」と入念にチェックを重ねました。特に布帛とカットソー生地を縫い合わせる部分はパッカリング(縫い縮み)が起きやすいので、試作を繰り返して、ようやく完成しました。
山田機能的な特徴が非常に多い製品に仕上がっていますが、弱点をあえてあげるとすると、どんなことでしょうか?
羽倉ピリング(毛玉)が起きやすい点です。開発当初のサンプルは、1日着用しただけでけば立ちがひどい状態でした。これも何度も試作を重ね、生地の仕上げ方を微調整することで、メリノ素材ならではのふんわりとした風合いは残しつつ、けば立ちを抑えることができました。
この点については、来年に向けてさらに改良していきたいと考えています。
山田このジャケットは、どのような方に着てほしいですか。
羽倉ワークとアクティブ、両方のシーンで使える「快適ワークウエア」として提案しています。今までのワークマンにはなかった、より機能性を持ったウエアです。
正直なところ、今年は「チャレンジ製品」という位置づけで、市場でどう評価されるか分からない部分もあります。もしかしたら、大ゴケする可能性もゼロではありません(笑)。ですが、機能性、デザイン、そして開発にかけた想い、すべてにおいて自信を持ってお届けできる製品です。
ファッションが好きな方にも、この機能性と格好良さを評価していただけるのではないかと期待しています。
山田今後の「メリノテック」シリーズの展開について、何か構想はありますか。
羽倉まだ確定ではありませんが、春夏シーズンでもこのメリノウールを使った新しい製品が何か作れないか、といったことは考えています。
山田楽しみにしています!
PROFILE

羽倉 優太朗(はぐら ゆうたろう)
株式会社ワークマン 製品開発第6部 マネジャーバイヤー
PROFILE

山田 耕史(やまだ こうじ)
ファッションアナリスト/ワークマン公式アンバサダー
「山田耕史のファッションブログ」を中心にフリーランスとして活動。著書に『結局、男の服は普通がいい 世界一かんたん、一生使えるオシャレの方程式』(KADOKAWA)。





















