Fashion Tech News Symbol
お気に入り閲覧履歴
/
NEW マイページ機能追加
お気に入りと閲覧履歴の機能が追加されました!
会員登録すると、さらに便利に利用できます。
2024.10.14

吉野家が美容に本格参入! ダチョウのオイルに力を入れる理由

リンクをコピーしました
牛丼でおなじみの吉野家が、化粧品業界に本格参入を発表した。
ブランド名は「SPEEDIA(スピーディア)」。キー成分となるのは、同社の代名詞とも言える牛ではなく、ダチョウ由来のオーストリッチオイルだ。
飲食業から化粧品業界へと進出する理由、オーストリッチオイルの効果について吉野家ホールディングス・SPEEDIAの辻智子さんと、練木寛子さんに話を聞いた。
PROFILE|プロフィール
辻 智子(つじ ともこ)

吉野家ホールディングス執行役員 株式会社SPEEDIA CTO

PROFILE|プロフィール
練木 寛子(ねりき ひろこ)

株式会社SPEEDIA スキンケア事業部部長

ダチョウの可能性を感じ、自社牧場を設立

牛肉のイメージが強い御社が、なぜダチョウに力を入れはじめたのでしょうか?
吉野家は今年、創業125年、チェーン展開を開始して56年目を迎えたのですが、弊社の歴史は、常に牛肉をめぐる情勢に左右され続けてきました。
多くのお客様に愛されてきた牛丼の品質を守りながら、持続的に事業を成長させていくためにはどうしたらいいかと考えた結果、牛肉だけに頼らない畜種分散を行うことが必要だという結論に達しました。
また、食糧の社会課題もありました。人口増加や気候変動など、さまざまな課題があるなかで、人々の健康を支え続けるためには、1つの食糧に集中するのは避けて、多様なものを選択するべきだと考えたのです。
食料品や日用品が値上がりをしていますが、価格と品質を守るためにも、牛肉以外に目を向ける必要があったということですね。
はい。吉野家では2000年代前半から問題意識を持って、さまざまな取り組みを行ってきました。たとえば、牛丼に続く第2の柱として鶏のから揚げの提供や、次世代の代替肉=オルタナティブミートの研究も進めています。
そんななか吉野家ホールディングス代表の河村泰貴が出会ったのが、オーストリッチミートでした。実際に試食をしたところ、味は牛肉の赤身に似ていて、とてもおいしくて、さらに飼料効率もとても高いということがわかりました
実は私は元々、栄養機能を専門分野とする研究者でして、健康を軸とした差別化戦略の推進のために吉野家ホールディングスに招聘されました。
「特保牛丼」や、植物工場用レタスの新品種の開発などに関わってきましたが、オーストリッチも差別化戦略のための素材のひとつとして、取り組みを開始することになりました。
そして、より高付加価値化へ向けて研究を加速させようと、2017年にはオーストリッチの牧場の運営をスタートさせました。自社牧場を持つことにより、生産、飼育、用途研究を一気通貫で行うことが可能になりました。
その研究のなかで発見されたのが、オーストリッチオイルの美容効果です。

吉野家が見つけたオーストリッチオイルの美容効果

オーストリッチオイルには、実際どのような美容効果があるのでしょうか?
まず、オーストリッチオイルは人間の体温と融点が近いため、肌なじみが良いことが挙げられます。多くの動物性の油脂は、肌にのせても溶けません。融点が高いので人の体温よりも高い温度でなければ液体にならないからです。しかし、オーストリッチオイルは肌にのせると溶けていきます。
また、オーストリッチオイルは、構成する脂肪酸の種類が、人の皮脂に似ていることも特徴です。人の皮脂は、肌から水分が蒸散しないように保湿する働きがあります。オーストリッチオイルにも同じ働きが期待できるわけです。
実際にオーストリッチオイルを塗布前後で比較した場合、無塗布のときよりも水分蒸散量(角質を通して揮散する水分量)が抑えられ、肌の水分量がアップすることもわかりました。
そしてもっとも注目すべきは、美肌成分の浸透を促進する効果です。化粧品にはさまざまな美容成分が配合されていますが、それらがどのくらい皮膚へ浸透して効果を発揮するのかはあまり調べられていません。そこでスピーディアでは、オーストリッチオイルと組み合わせることで、どんな美容成分が浸透しやすくなるのかを調査しました。
たとえば、オーストリッチオイルを肌に塗布した後に、脂溶性ビタミンC誘導体やタイプⅠコラーゲン、セラミド様物質などをなじませると、美容成分の肌への浸透量が増加することが、人の皮膚切片を用いた実験で証明されました。
特に顕著だったのが、抗シワ成分として注目を集めるナイアシンアミドに対して約23倍という高いブースター効果があったことです。(フランツセルを用いた試験管内データ)
1 / 2 ページ
この記事をシェアする
リンクをコピーしました
CONTACTお問い合わせフォーム
ご質問やご要望がございましたら、以下のフォームに詳細をご記入ください。
お問い合わせ項目必須