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2021.11.10

サブスクリプション型のD2C事業支援「EIZOKU」: 56年のノウハウ活かす

ファッションや雑貨など自社企画商品を中心に、カタログやウェブなどの独自メディアで生活者に販売する株式会社フェリシモ。同社では創業期より56年培ってきたノウハウやシステムを活かし、新たに開始したサブスクリプション事業に関するコンサルテーション及びオペレーション支援事業「EIZOKU」が注目を集めている。今回は同事業について、株式会社フェリシモ 新事業開発本部 本部長の小池さんに話を聞いていく。

蓄積されたノウハウから新たな柱を創出

「EIZOKU」とは、サブスクリプションサービス(以下、サブスク)の立ち上げ支援として戦略立案、コンセプトメイキング、商品開発、市場創造、顧客とのコミュニケーションシステム設計、ITシステム開発、物流システムなどの業務遂行ノウハウや独自開発システムを活用しクライアント企業の事業の発展をサポートする事業のこと。主に「コンサルテーション事業」「人材育成事業」「システム導入事業」「オペレーション支援事業」の4つの事業からなり、ビジネスの永続性を支援するサービスという観点から、クライアント企業に求められる機能を提供する。
コンサルテーション事業では事業変革やサブスクリプション事業創造や強化に関するコンサルテーションを行い、人材育成事業では事業推進人材や企画人材育成、システム導入事業では事業のサブスク化に最適なシステムの開発や導入をサポートしている。オペレーション支援事業ではECサイトの運用や物流支援なども行う予定だ。
フェリシモではこれまでも新規事業として、企業理念に共感したビジネスパートナーに商品を出品・出稿できるプラットフォーム事業や、ECや物流をサポートする事業などを提供してきた。そんななかで創業期から56年にわたり蓄積されてきた多くのノウハウや独自システムのリソースを使って、新たな事業の柱を育てたいと生まれたのが「EIZOKU」という事業だ。ビジネスの世界では現在、サブスクリプションというワードが飛び交っている。それほどまでに事業者がサブスクリプションに関心を持っているのであれば、事業としての可能性もあると考えたのが創出のきっかけだった。
「EIZOKU」ではサービス設計にあたって課題もあった。多くは今ある商品やサービスをサブスクエンジンに乗せようとするが、簡単にうまくはいかない。実現するには企業や活動事業全体の設計思想、そしてバリューチェーン全体をサブスク最適化にしなければならない。企業側でも「事業を強化したいがどこからいってよいかわからない」「サブスク事業を企画できる人材がいない」「サブスクに適切なシステムがわからない」「サブスクで商品を届けるオペレーション負荷が高くて運用できない」といった課題に触れることが多かったといい、その観点から4つの分野でのサポートを行うことになったという。

顧客に「継続的関係性」の価値を感じてもらう

同社では創業して以来、顧客との「継続的関係性」を重視したマーケティング活動を行ってきた。サブスク型B2C事業は、ユーザーにとってその価値を感じ取ってもらうものでなければないと小池さんは話す。
「扱う商品のジャンルやテーマによってさまざまな類型があり、単品販売型のECとはまったく異なるものです。たとえばレストランで単品料理を味わうのと、コース料理を楽しむのはまったく別の顧客価値を提供しなければなりません。そこが設計できると顧客価値は最大化できますし、経営的にも安定することになります」。
「EIZOKU」を導入して立ち上げたサービスは、サブスク事業のノウハウをそれぞれの企業内にインストールしてもらい、個々の企業が独立的に運営していくことを目的にスタートしている。対象領域は全産業のみならず行政などにも及ぶという。
「現在はB2C系の事業者の方々が中心です。マスメディア、プロスポーツチーム、メーカー、卸売業、小売業など、さまざまな事業者の方々からお問い合わせをいただいておりますし、ECサイト構築や物流支援事業は既にスタートしています。自治体や大規模団体などのご支援もさせていただいております。サブスクに相性はありません。事業の永続化を目指しておられる事業者や団体の方であれば、顧客差の関係性も永続的でなければ成立しません。それは行政も同じことだと思います。」
10月1日にサービス開始したばかりではあるが、すでに多くの問い合わせがあり、サブスク事業を検討したい企業が多数存在していることに改めて気づかされたとのこと。今後の展開については主に2つあるといい、ひとつはさまざまな企業の要望や意向を伺いながらサービスの拡充を図っていくこと。もうひとつは4つの事業領域だけでなく、個人対個人の関係性を強化するサブスクリプションや、社会と個人をつなぐサブスクリプションなどもいずれ検討していきたいと小池さんは語ってくれた。
#FactoryTech
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