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2022.09.05

バーチャルとリアルが融合した新時代のファッションショー:FMBの新たな試み

高精緻なファッション3D モデリングを中心としたアパレル業界向けテクノロジーサービスを提供している、株式会社FMB以前当メディアでも紹介したように、ファッションテクノロジーで「未来の標準=ファッションデファクトスタンダード」を生み出すことをコンセプトにしており、3DCGやAIなどのデジタル技術を活用することによりファッション産業の構造を変え、サスティナブルな産業への変革を目指している。
そんな同社が、今年6月に行われたピンゴルフジャパン株式会社株式会社TSIによるゴルフブランド「PING」の合同展示会に、業界最先端ファッション3DCGデータ・機材を提供した。一度の展示会でバーチャルとリアルの両方のファッションショーを鑑賞できる新しい試みとなった同展示会について、株式会社FMBの中谷 ひとみさんに話を伺った。

バーチャルとリアル

今回の展示会では、実物のランウェイ上でのリアルなファッションショーとともに、3DCGデータとARグラスを利用したバーチャルファッションショーも同時に行われた。このようなバーチャルファッションショーが初めて実施に至ったのは、新型コロナウイルス感染拡大の影響が大きいだろう。人が多く集まる場所が推奨されない状況下でファッションショーを行う場合、バーチャルファッションショーは画期的なアイディアになったと中谷さんは話す。
「ARグラスを利用したバーチャルファッションショーでは、リアルなファッションショーと違い、鑑賞者が自由に歩き回ってモデルに近づいたり、後ろに回り込んだりしてコーディネートを鑑賞することもできます。一方で、やはりリアルなファッションショーの活気はバーチャルなファッションショーでは味わうことのできないものです。一口にファッションショーと言っても、どちらにも違う良さがあります。また、前回の展示会と同じコンテンツを提供するのではなく、展示会ごとに何か新しい試みを、という意向がTSI様にもあり、そのなかで今回TSI様が企画したリアルなファッションショーを踏まえて、弊社の技術と組み合わせられるアイディアを出させていただきました」
前述のように、一つの場所に集まらなくてもショーができることは大きなメリットといえる。従来は限られた人たちにしか届かなかったファッションショーを物理的な制限を超えてたくさんの人に届けることも可能となった。また、リアルなファッションショーをバーチャル上で再現するだけでなく、現実世界に存在しない服を架空のキャラクターが着て歩くショーも作ることができる。もはやファッションショーはファッション業界のみならず、CGを作ることができればどの業界からでも参入できる世界となった。
「近頃では、せっかくバーチャルファッションショーを行うのであれば、リアルなファッションショーでは表現できないCGならではの表現が欲しいという声が多くなっています。一方で、ファッションブランドではフォトリアルレベルのリアルさを犠牲にできるわけではなく、リアルさとCG表現の両立が期待されています。ブランドのイメージを表現するための新たなツールとしての期待が高まっているのではないかと思います。また、メタバースへの参入を視野に入れている企業も増えていると感じます」
今回のバーチャルファッションショーでは、リアルなモデルのウォーキングをボリュメトリック撮影したものを使用した。ボリュメトリック撮影とは、立体映像技術の一つで、人物などの動きや位置も含めて三次元デジタルデータで撮影することによって、3D映像データを生成できる技術だ。このデータをKDDI株式会社の提供するWEB ARサービスとNrealLightで鑑賞できるようになった。
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#Virtual Fashion Show
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