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2023.03.28

誰もが気軽に楽しめるメタバースサービス「My Vket」が、アバター&デジタルファッションで目指すもの

近年、国内外でさまざまなメタバースサービスが展開されるなか、世界最大のVRイベント「バーチャルマーケット」を主催している株式会社HIKKYは2022年12月、Webブラウザ上で楽しめるメタバースサービス「My Vket(マイ ブイケット)」(現在はβ版)をスタートした。さらに、2023年2月には、My Vket内のアバター制作ツール「Vket Avatar Maker(ブイケットアバターメイカー)」にて、手軽にオリジナルのデジタルファッションが作れる機能を実装した。
これまでのメタバースに関わる取り組みや知見を活用して、今回のサービスを始めた目的は一体どこにあるのだろうか。
今回、株式会社HIKKYでCOOを務める、さわえみかさんに、My Vketの概要からVket Avatar Makerの特徴、メタバースでアバターやファッションを楽しむことの意義まで、伺った。

メタバース空間に参加するにあたっての障壁

HIKKYがMy Vketをスタートしようと考えたのは、一般の人々にとってメタバースに参加することが「今なお障壁が高い」と感じたからだという。
「私たちが運営しているバーチャルマーケットでは、2020年にニッポン放送と『Kis-My-Ft2』、『SixTONES』の方々によるチャリティーイベントのブースを展開したり、2021年にLDH所属のユニット『PKCZ®』によるイベントを開催したりするなど、さまざまなアイドルやアーティストに参加いただいています。
その際、たくさんのファンの方々にお越しいただいたのですが、アプリやソフトウェアのダウンロードなどの仕組みが分からない方も多く、『頑張ったけどできなかった』という方もいらっしゃいました。そういう方々にも私たちの世界を体験してもらいたいと、開発しているのがMy Vketです。
My Vketは、アプリやソフトウェアが不要で、スマートフォン、PC上で誰もが気軽にメタバース空間を楽しめるサービスになっています。自分のアバターを持てるだけでなく、マイルームというメタバース上の自分の部屋も持てます。また特定のイベント期間中だけではなく、日常的にオープンしている場所もあるので、いつでもそこにアクセスしてコミュニケーションを楽しむことができます。
さらに、Vket Avatar Makerで作成したアバターはVRM(VR向けの3Dアバターファイルフォーマット)を採用しているので、VRMに対応している別のプラットフォームでも同じアバターを利用することができます」

広がりを見せるアバターとデジタルファッション

HIKKYは、My Vketを展開する当初からデジタルファッションの強化を考えており、Vket Avatar Makerの機能として、アバターの衣装デザインを変更・作成できる機能をリリースしたという。同機能は、アバターの衣装デザインの変更が、Webブラウザ上で自分の好きなpngデータをアップロードすることで、簡単に行えるものだ。デザイン変更可能なアイテムは、Tシャツ・スカート・パンツ・シューズなど8種類となっている。
「初心者の方は、公式で展開されているパーツがたくさんあるので、まずはそれを使って組み合わせを楽しんでほしいですね。最初から『これが私だ』と、しっくりくるアバターを見つけることは、結構難しいと思います。肌や髪の毛の色も簡単に変えられるので、まずは触って遊んでもらえればと思っています」
そのうえで、メタバースに慣れているユーザーの中には、想定以上に機能を使いこなすケースもあったという。
「すごく印象的だったのは、たとえば『今度メタバースの〇〇でクラブイベントをするのでこのTシャツを着て来場してくださいね』と、3DTシャツを作って配布していたり、ユーザーさんがご自分のNFTコレクションを盛り上げるための一環として、デザインの販売や無料ダウンロードを行ったり、デジタルファッションはもちろん、その先にある企画や体験のための手段として活用している方もいらっしゃったことです」
制作したテクスチャデータ(デザインした衣装データ)は販売可能となっており、すでにメタバースでは個人でも大きな売り上げを達成したり、ブランドとして有名になっていたりするケースもあるという。
「私たちが開催した過去のメタバースイベントを見ても、イベントの度に個人のブースで、3桁、4桁万円の売り上げがある人もいますし、すでに人気のあるデジタルファッションブランドも出てきています。
リアルだと、着やすさとか使い回しが評価されやすいファッションですが、アバターは体型を気にしなくていいので、作り手やユーザーの『好き』という要素や『癖』が詰まっているものなど、リアルで売れているものとは異なるラインが人気という特徴があります」
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