群馬県の桐生市で帯の織物業として創業した
株式会社笠盛。現在は刺繍業へと転向し、長年培ってきた経験を携え、最先端の機械織りも取り入れながら、新たな技術や商品の開発に勤しんでいる。
同社を代表する技術である「kasamoriレース」、それを用いた自社ブランドの刺繍アクセサリーが「
000(トリプル・オゥ)」だ。
私たちが「刺繍」と聞くと、スカジャンのように全面に施された柄や、シャツやバッグにワンポイントで施されたものを想像するだろう。当たり前かと思われるかもしれないが、それらはいずれも布地に糸が縫われている。今回紹介するアクセサリーはそうした布地が一切ない、まったく新しい商品だ。
前例のない商品や技術への挑戦。その原動力はどこにあったのか。同社広報部の野村文子さんに伺った。
PROFILE| プロフィール
野村 文子(ノムラ アヤコ)
株式会社笠盛広報担当。
2016年笠盛入社。ミシンオペレーターの経験を経て広報担当に就任。
「000(トリプル・オゥ)」を通して織物の街桐生の魅力を全国に発信している。
群馬県桐生市の老 舗「笠盛」
群馬県桐生市のホームページに「観光・文化」というページがある。そのページを開くと、豪華絢爛な日本文化を想起させるデザインが目に入る。「古くから織物のまちとして発展してきた桐生市」とあり、1300年ほど前から続く織物の歴史を有する町だとわかる。その桐生市で、1877年に帯の機屋(はたや)として創業したのが株式会社笠盛だ。1949年には同社の最初の発明とされる「笠盛献上帯」があり、一時は桐生市内の機屋の総出荷額の3割を占めたとも言われている。